読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、NTT東日本関東病院・ペインクリニック科部長である大瀬戸清茂先生は次のようにお答えになっています。
顔面けいれんとは、片側顔面筋の被刺激性亢進による無痛性かつ不規則な不随意収縮で、発作性かつ反復性に起きます。
典型的な片側顔面けいれんは、片側眼輪筋のピクツキに始まり同側の顔面全体に及ぶが、少数例で頬筋に始まり顔面全体にけいれんが及びます。食事や会話などで顔面けいれんは誘発・促進され、ストレス、疲労や精神的緊張で増強します。通常中年以降の女性に多く、一側性で、症状は進行で顔面けいれんの頻度や強さが増し、持続的になる場合が多いです。
顔面けいれんの主な原因として、顔面神経起始部(root exit zone:REZ)の器質的病変、特に後下小脳動脈、前下小脳動脈や椎骨動脈、あるいはその分枝による圧迫が挙げられます。
圧迫の原因となる血管は本来REZに近接して存在するが、動脈硬化や加齢の要素が加わり、より接近し顔面神経を圧迫する。その他の血管病変では脳動静脈奇形、解離性動脈瘤、静脈血管腫、腫瘍病変ではシュワン細胞腫、髄膜腫や類上皮腫が報告されています。
治療としては、以下のようなものがあります。
薬物療法としては、リボトリールやテグレトールなどがあります。ボツリヌスA型毒素療法では、眼輪筋であれば、成人ではボツリヌスA型毒素として初回1.25−2.5単位/部位を、眼輪筋6ヶ所に分割し筋肉内に注射しますが、初回投与の場合は合計で10単位とします。
初回投与後4週間の観察後、効果不十分の場合、さらに追加で合計20単位を上限として投与可能になります。再発の場合、30単位を上限として投与可能ですが、2ヶ月以内の再投与はできません。
根治的治療法として、外科的治療もあります。神経血管減圧術といって、全身麻酔下、乳様突起後方の小開頭にて、顔面神経起始部より圧迫血管を移動し固定します。合併症としては、聴力障害があり、0.45−3.7%の割合で出現するといわれています。
【関連記事】
悪性耳下腺腫瘍の摘出手術が成功へ−アダム・ヤウクさん
本当は怖い歯痛-三叉神経痛
「顔がこわばる」、「笑うと顔がぴくぴくする」、「笑顔のつもりでも全く笑えない」という症状が続いています。顔面神経痛なのでしょうか。(42歳女性)
この相談に対して、NTT東日本関東病院・ペインクリニック科部長である大瀬戸清茂先生は次のようにお答えになっています。
顔面神経は顔を動かす「運動神経」で、痛みを感じるのは、「感覚神経」の「三叉神経」です。医学的に顔面神経痛という病気はありません。
症状から、「顔面けいれん」という病気である可能性が高いと考えられます。40歳以上の女性によく見られますが、小児でも発症するという報告があります。
この病気の場合、脳の磁気共鳴画像(MRI)検査を行い、脳の奥の方から出る顔面神経が血管に接触して圧迫されていないかどうかを調べます。
血管が神経を圧迫していれば、頭蓋(ずがい)骨を少し切開し、血管と神経を離して圧迫を取り除く手術を行うことで改善が期待できます。
顔面けいれんとは、片側顔面筋の被刺激性亢進による無痛性かつ不規則な不随意収縮で、発作性かつ反復性に起きます。
典型的な片側顔面けいれんは、片側眼輪筋のピクツキに始まり同側の顔面全体に及ぶが、少数例で頬筋に始まり顔面全体にけいれんが及びます。食事や会話などで顔面けいれんは誘発・促進され、ストレス、疲労や精神的緊張で増強します。通常中年以降の女性に多く、一側性で、症状は進行で顔面けいれんの頻度や強さが増し、持続的になる場合が多いです。
顔面けいれんの主な原因として、顔面神経起始部(root exit zone:REZ)の器質的病変、特に後下小脳動脈、前下小脳動脈や椎骨動脈、あるいはその分枝による圧迫が挙げられます。
圧迫の原因となる血管は本来REZに近接して存在するが、動脈硬化や加齢の要素が加わり、より接近し顔面神経を圧迫する。その他の血管病変では脳動静脈奇形、解離性動脈瘤、静脈血管腫、腫瘍病変ではシュワン細胞腫、髄膜腫や類上皮腫が報告されています。
治療としては、以下のようなものがあります。
手術をしない治療としては、症状がある部分の筋肉に少量の「ボツリヌス毒素」を注射する方法があります。効果は3~4か月続き、繰り返し行えます。片側顔面けいれんは、進行性の疾患のために、自然寛解は少ないといわれています。そのため、薬物療法やボツリヌスA型毒素療法および外科療法などを行うことが望まれます。顔面けいれんの原因が腫瘍病変などではなく血管病変の場合(MRIで確認)、機能的な疾患であるので患者に治療選択を委ねます。
また、「顔面神経まひ」という別の病気により、「左右どちらかまひした方の顔がこわばる」、「笑うとまひした側の顔全体が引きつって軽くぴくぴくする」という症状が出る人がいます。笑顔でも顔が引きつるので「笑えない状態」になります。
この場合も、少量のボツリヌス毒素をぴくぴく動く筋肉に注射する治療法があります。精神的に緊張すると症状が出やすくなるので、リラックスすることが大切で、顔を軽くマッサージするのもよいでしょう。
ペインクリニックや脳外科などで適切な治療を受けて下さい。
薬物療法としては、リボトリールやテグレトールなどがあります。ボツリヌスA型毒素療法では、眼輪筋であれば、成人ではボツリヌスA型毒素として初回1.25−2.5単位/部位を、眼輪筋6ヶ所に分割し筋肉内に注射しますが、初回投与の場合は合計で10単位とします。
初回投与後4週間の観察後、効果不十分の場合、さらに追加で合計20単位を上限として投与可能になります。再発の場合、30単位を上限として投与可能ですが、2ヶ月以内の再投与はできません。
根治的治療法として、外科的治療もあります。神経血管減圧術といって、全身麻酔下、乳様突起後方の小開頭にて、顔面神経起始部より圧迫血管を移動し固定します。合併症としては、聴力障害があり、0.45−3.7%の割合で出現するといわれています。
【関連記事】
悪性耳下腺腫瘍の摘出手術が成功へ−アダム・ヤウクさん
本当は怖い歯痛-三叉神経痛