以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

イギリス・ロンドンに住むルース・ライアンは、クラスでも明るく人気の女の子だった。しかし、両親は毎日のようにケンカ。そして離婚。ルースは、母親に引き取られ、新しい街に引っ越した。

その後も母親の仕事の都合で、転校を繰り返し、そして9歳の時、母親は再婚したが、新しい父親は、毎日のように母に暴力を振るった。転校の多いルースは、学校でいじめの対象だった。そして母は2度目の離婚。夫からの暴力と離婚の影響で、母はうつ状態になっていた。誰にも相談できないルース。そんな時、ふと鏡を見ると…私の顔は気持ち悪いのかも…と思うようになった。

そして、ある日、母親の化粧品で化粧をしてみた。そこには、全く違う顔の自分がいた。以来、自分の醜い顔を隠すため化粧をした。中学、高校に上がっても化粧をしなければ外出できない。一人暮らしを始めたが、一日中部屋にこもっていた。鏡を見ては、化粧を続ける毎日。そんな彼女をなんとか救おうとしたのは、幼なじみのカイレンだった。

彼は、家に引きこもるルースのために、毎日食事を届けどんなときでもルースのことを気にかけてくれた。やがて2人は一緒に住むようになったのだが、ルースはカイレンにさえも素顔を見せることはなかった。

そんなある夜、朝の4時に起きて化粧を直そうするルースをカイレンが引き止めた。彼女の異常ぶりを心配し、一緒に病院へ行った。カウンセラーが下した診断とは…「身体醜形障害」。自分の容姿にこだわり、醜いと思い込んでしまう病気であった。そして彼女は治療を受けることに。2003年から催眠療法を中心に治療を続けた結果、現在はずいぶん薄化粧になった。

身体醜形障害とは


身体醜形障害とは、実際には存在しない外見上の欠陥にとらわれている状態を指します。そのために、著しい苦痛または社会的・職業的機能の障害が引き起こされています。

以前は、醜形恐怖などと呼ばれることもありました。一方で、患者が顔だけではなく身体全体を気にしだしたため「身体醜形障害」と呼ばれることも多くなってきています。

他覚的には異常がみられないのに、「自分の身体が醜い」「奇異な形をしている」と訴える病態を指します。にきび、皺、多毛、腫れ、不均衡性など顔や頭の想像上あるいは小さい欠陥が訴えられます。

他人に不快感を与えたり、他人から軽蔑されるといって悩み、人との接触を避けるといった傾向がみられます。また、医師に自己の異常性を執拗に認めさせようとするといったこともみられます。さまざまな疾患の一症状として現れます。

欠陥の修正のために一般身体的、歯科的、外科的治療を求め、実際に処置を受けることも多いです(度重なる整形手術など)。苦痛は高度で、自殺に至る例もあります。

身体醜形障害の治療


身体醜形障害の治療としては、以下のようなものがあります。
身体醜形障害には、訴える症状の根底に現実的に満たされない欲求が潜んでいて、あきらめきれず、未解決のままになっているといったことがあります。そのために、不安が強いといったこともあります。

まずは、抗不安薬の処方で不安をやわらげることも必要となることもあります。症状のうち自律神経系、随意筋緊張には抗不安薬が有効となります。強迫的な観念や知覚過敏には、抗うつ薬SSRI(パキシルなど)が有効となります。

精神療法は、未解決欲求問題が明らかでない場合には、患者側に立脚した「支持的精神療法」を用います。支持的精神療法とは、患者の苦痛、不自由、不安などの緩和を目的に、治療者が言語的・非言語的サポートをする心理療法の基本的技法の1つです。

行動化された症状には「認知行動療法」を行います。認知行動療法とは、不快な感情や不適応な行動の背景にある認知に焦点を当て、適応的な感情や行動へと変化させることを目的とする治療法です。

現実問題の処理が難しい例では、「森田療法」、人格障害を伴う例では精神分析的精神療法により人格の再構成を行います。

上記のケースでは、いじめや家庭内での問題が原因となっていたようです。しかしながら、サポートしてくれる男性のお陰で、治療を進めることができたようです。

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