リヴァプールに所属するイングランド代表DFグレン・ジョンソンは、しばらくの離脱を強いられることになるようだ。

リヴァプールは29日にアストン・ヴィラと対戦し、後半ロスタイムのゴールで勝利を収めている。しかしその直前、グレン・ジョンソンは足を痛めて交代していた。そのとき、右ヒザのじん帯を損傷したという。

クラブのスポークスマンは、「検査の結果、彼の内側じん帯に問題が見つかった。選手は明日(31日)、専門医の検査を受ける。そして、リハビリに要するより正確な期間がはっきりするだろう」と明かした。
(G・ジョンソンがじん帯損傷)

三角靱帯とは


三角靱帯とは、足関節の内側を補強する靭帯で、内果(内くるぶし)から起こって放射状に下方に向かい、三角形を呈するため、その名前があります。

付着部位により、4線維束(前・後脛距部、脛舟部、脛踵部)に分けられます。多少の弾性線維を含み、外側の靭帯より強靭となっています。

足部には多くの短骨があり、筋組織が比較的に少ないため、その支持機構の大部分を靱帯に委ねています。

足関節部では脛腓間に前・後脛腓靱帯があり、外側靱帯は前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯からなり、内側には前脛距部、脛舟部、脛踵部、後脛距部からなる三角靱帯が存在します。

これらにより足関節は安定性が保たれており、そのほかに距踵関節間には外側距踵靱帯、骨間距踵靱帯、後距踵靱帯があり、Chopart関節には踵骨と舟状骨および立方骨を結ぶ二分靱帯(Y靱帯)があります。底部には底側踵舟靱帯、長・短足底靱帯が縦アーチの保持に関与してます。

足関節における靱帯損傷


足関節は荷重中間位(底背屈0°)では骨性の安定性が高い関節であるといわれています。しかし、底屈位(足の裏方向へ曲げる)では内・外側靱帯の安定性への関与が大きくなります。

また、距骨下関節は外がえし方向に可動域が少なく骨性に安定していますが、内がえし方向には可動域が大きく、距踵関節間の靱帯が安定性を支えています。

したがって、足関節捻挫の多くは足関節底屈内反の内がえし捻挫であり、足関節外側靱帯、とくに底屈位で緊張する前距腓靱帯を損傷しやすく、さらに重症となると踵腓靱帯も損傷してしまいます。また、同時に距踵関節間の靱帯を損傷することも多いです。

足関節中間位から背屈位で内反を強制されると踵腓靱帯単独さらには距踵関節間の靱帯を損傷してしまいます。足関節内側靱帯群(三角靱帯)は、底屈位で外旋強制されると脛舟部が損傷され、中間位から背屈位で外反強制されると脛踵部、脛距部が損傷されます。

靱帯損傷の治療


治療としては、以下のようなものがあります。
靱帯断裂を疑わない新鮮損傷例では、弾性包帯固定などで10日ほどの患肢安静でよいとされています。少しでも断裂を疑う所見のある症例には、機能的装具療法を行います。

機能的装具療法はギプス固定による保存療法や手術療法と比較し、合併症・筋萎縮・可動域制限が少なく、医療経済性にもすぐれています。機能的装具療法をうまく行えば、足関節・距骨下関節複合体の不安定性なく靱帯修復が行われ、靱帯不安定性の愁訴を残す例はほとんどありません。

受傷後24〜48時間以内は、テーピングによる中間位固定で可及的アイシングに努めます。

装具は入浴と就眠時以外、受傷後5〜6週ころまで着けるようにします。装具を外しているときは足関節を意識的に中間位に保たせます。

捻挫後に強い不安定感を訴える症例では、「機能的不安定性」と呼ばれていますが、この発症頻度は機能的装具療法と各療法に大きな差がなく、神経・筋トレーニングなど別なアプローチが必要となります。

陳旧例(受傷後、時間が経っている場合)で、靱帯不安定性を愁訴とする場合は、靱帯の解剖学的修復術を行います。要は手術であり、遺残靱帯を腓骨に骨溝を掘り縫着するKarlsson法などが用いられています。

サッカー選手ともなれば、こうした怪我が選手生命にとって非常に大きなダメージとなりかねないと思われます。しっかりと治療を受けていただければ、と思われます。

【関連記事】
内側靱帯損傷と診断され、膝の痛みに悩む40歳女性

前十字靱帯損傷に対する再建手術を決意−中田浩二さん