読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、東京大病院女性診療科・産科講師である大須賀穣先生は以下のようにお答えになっています。
子宮腺筋症とは、原因は不明ですが、子宮筋層内に子宮内膜腺が侵入したものです。
かつては、「子宮内膜症」を内性子宮内膜症と外性子宮内膜症に分けていましたが、両者を区別して、内性子宮内膜症の方を「子宮腺筋症」と名付けることになりました。
症状としては、子宮筋腫とほぼ同様です。過多月経・月経困難症が主な症状となり、これらについては症例によって訴えが異なっていることもあります。具体的には、月経時に鎮痛薬などを使用しなければならないかどうか、月経が10日以上長期間にわたって続くかどうか、凝血塊がおりるかどうかなどを、把握します。
過多月経があり、持続すると貧血が起こってきます。鉄欠乏性貧血が怒り、症例によってはHbが5〜6g/dlになっても気づかれないことがあります。高度な貧血が長期に続くことによって、心不全症状が出現することもあります。
また、下腹部腫瘤も生じてきます。診断は内診で腫大した子宮を触知することであり、検査として超音波断層、CT、MRIなどが有効となります。内診、画像診断などで子宮の腫大を認めれば子宮筋腫・子宮腺筋症を想定します。ただし、両疾患とも子宮内膜症の合併が多いです。
子宮腺筋症の治療としては、以下のようなものがあります。
症状、年齢、挙児希望の有無などにより治療の必要性や治療法を判断します。一般的にはどちらも生命に危険を与えることはほとんどなく、閉経すれば自然に縮小することを念頭に治療方針を考えます。
症状が軽い場合は経過観察となります。過多月経の貧血や月経困難症などには、鉄剤や鎮痛薬で経過をみていきます。
ホルモン療法としては、Gn-RHアゴニストやダナゾールなどを用います。
Gn-RHアゴニストは、下垂体からのゴナドトロピン分泌を抑制し、エストロゲンを低下させ、腫瘤を縮小させます。また、長期の使用は骨量の低下を招くため6ヶ月が限度とされています。ダナゾールは、エストロゲン分泌を抑制し、さらに直接効果で腫瘤を縮小させます。
経口避妊薬、ピルも用いられることもあります。月経量や月経痛を軽減するため筋腫や腺筋症の症状を改善します。しかし、保険適用がないこと、また時に腫瘤が増大することに注意が必要です。
手術療法としては、子宮筋腫核出術が用いられます。正常子宮を残し、筋腫核のみを摘出する術式です。開腹術、腹腔鏡によるもの、子宮鏡によるものなどがあります。不妊症などには有効ですが、再発があるります。腺筋症には核出術は一般的ではないですが、腫瘤が子宮の一部に偏っている場合は可能なことがあります。
子宮全摘出は、根治療法です。開腹術、腟式手術、腹腔鏡下手術などの方法があります。
その他、子宮動脈塞栓術や集束超音波などによる治療法が発表されていますが、保険適用外といった問題もあります。
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子宮筋腫があっても、閉経後のホルモン補充療法はできるのか?
数か月前から次第に生理痛が強くなり、家事を行うのも困難になりました。産婦人科で「子宮腺筋症」と診断されたのですが、どんな治療が必要ですか。(38歳女性)
この相談に対して、東京大病院女性診療科・産科講師である大須賀穣先生は以下のようにお答えになっています。
子宮の内側にある膜、子宮内膜が、なぜか子宮の壁の筋肉の中に発育し、増殖するのが子宮腺筋症で、子宮以外の場所にできてしまうのが子宮内膜症です。子宮腺筋症は、しばしば子宮内膜症と一緒にできますが、どちらも詳しい原因は分かっていません。
子宮腺筋症は、月経のある年齢で発症するのが特徴で、特に30〜40歳代に多くみられます。子宮内膜に似た組織は、卵巣から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンに反応して増殖しますので、卵巣機能がなくなる閉経後には、自然に治っていきます。
主な症状は、強い月経痛や、月経時以外の下腹部の痛み、生理の量の増加、大きくなった子宮による下腹部のしこりです。良性の疾患なので、症状が軽いうちは鎮痛薬などで様子をみることもできますが、症状が重くなれば、我慢せず、しっかりと治療することが大切です。
子宮腺筋症とは
子宮腺筋症とは、原因は不明ですが、子宮筋層内に子宮内膜腺が侵入したものです。
かつては、「子宮内膜症」を内性子宮内膜症と外性子宮内膜症に分けていましたが、両者を区別して、内性子宮内膜症の方を「子宮腺筋症」と名付けることになりました。
症状としては、子宮筋腫とほぼ同様です。過多月経・月経困難症が主な症状となり、これらについては症例によって訴えが異なっていることもあります。具体的には、月経時に鎮痛薬などを使用しなければならないかどうか、月経が10日以上長期間にわたって続くかどうか、凝血塊がおりるかどうかなどを、把握します。
過多月経があり、持続すると貧血が起こってきます。鉄欠乏性貧血が怒り、症例によってはHbが5〜6g/dlになっても気づかれないことがあります。高度な貧血が長期に続くことによって、心不全症状が出現することもあります。
また、下腹部腫瘤も生じてきます。診断は内診で腫大した子宮を触知することであり、検査として超音波断層、CT、MRIなどが有効となります。内診、画像診断などで子宮の腫大を認めれば子宮筋腫・子宮腺筋症を想定します。ただし、両疾患とも子宮内膜症の合併が多いです。
子宮腺筋症の治療
子宮腺筋症の治療としては、以下のようなものがあります。
最も確実な治療法は、子宮を全摘する手術です。手術は開腹のほか、傷の目立たない内視鏡で行うこともできます。
子宮を残して将来妊娠したいと望んでいる方には、閉経後または妊娠時と似たホルモン環境を作るホルモン剤で治療します。子宮腺筋症の病巣になっている部分だけを切り取って子宮を残す手術もあります。
患者さんの年齢や妊娠希望の有無、症状の種類、その程度によって治療法もいろいろありますので、担当の医師とよく相談して治療することをお勧めします。
症状、年齢、挙児希望の有無などにより治療の必要性や治療法を判断します。一般的にはどちらも生命に危険を与えることはほとんどなく、閉経すれば自然に縮小することを念頭に治療方針を考えます。
症状が軽い場合は経過観察となります。過多月経の貧血や月経困難症などには、鉄剤や鎮痛薬で経過をみていきます。
ホルモン療法としては、Gn-RHアゴニストやダナゾールなどを用います。
Gn-RHアゴニストは、下垂体からのゴナドトロピン分泌を抑制し、エストロゲンを低下させ、腫瘤を縮小させます。また、長期の使用は骨量の低下を招くため6ヶ月が限度とされています。ダナゾールは、エストロゲン分泌を抑制し、さらに直接効果で腫瘤を縮小させます。
経口避妊薬、ピルも用いられることもあります。月経量や月経痛を軽減するため筋腫や腺筋症の症状を改善します。しかし、保険適用がないこと、また時に腫瘤が増大することに注意が必要です。
手術療法としては、子宮筋腫核出術が用いられます。正常子宮を残し、筋腫核のみを摘出する術式です。開腹術、腹腔鏡によるもの、子宮鏡によるものなどがあります。不妊症などには有効ですが、再発があるります。腺筋症には核出術は一般的ではないですが、腫瘤が子宮の一部に偏っている場合は可能なことがあります。
子宮全摘出は、根治療法です。開腹術、腟式手術、腹腔鏡下手術などの方法があります。
その他、子宮動脈塞栓術や集束超音波などによる治療法が発表されていますが、保険適用外といった問題もあります。
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