マラソンとヨットで世界一周する「アースマラソン」に挑戦中の間寛平が、前立腺がんを患っていることを公式サイトで発表した。現在、間寛平はトルコのイスタンブールに滞在しているが、治療をしながら「アースマラソン」は継続していくという。

公式サイトで公開された動画メッセージによると、昨年の春に米ロサンゼルスに到着した際の検査でPSA値が高く、「前立腺の炎症ではないか」との疑いがあったことから、これまで抗生物質を飲みながら「アースマラソン」を続けてきたそう。その後、3か月に1度の検査を受けてきたが、12月のイスタンブールでの検査時にPSA値の数値が思わしくなく、もう一度検査をしたところ、前立腺がんであることが判明したという。

それから1週間は「ほんと不安で、『このままアースマラソンを続けれんのか、この病気は治るのか、ひょっとしたら死ぬんかなぁ』とか一杯思いました」「不安で寝られへん時もいっぱいありました」。しかし、トルコの泌尿器科の専門医、ニューヨーク在住の日本人専門医、日本在住の日本人専門医といろいろな話し合いが持たれた結果、注射や投薬で行うホルモン療法で治しながら走れることに。その旨を告げられた際には、「ほんまに、ほんまに、ものすごく嬉しかった」と胸の内を明かしている。

治療は現地時間の13日から始まり、15日にはマラソンを再開。「『寛平ちゃん、頑張ってや!」いうていつも通り、応援お願いします」と、声援を力に、これからも「アースマラソン」に全力を注いでいく構えだ。

2008年12月に大阪からスタートした間寛平の「アースマラソン」は、太平洋横断、アメリカ大陸横断、大西洋横断、ヨーロッパ横断を経て、昨年12月にトルコ入り。スタートから380日目の12月31日には、トルコ・アンカラ郊外にあるララハンで累計走行距離が1万キロを突破した。再び大阪に戻るのは2011年春の予定で、これからアジア横断が待ち受けている。
(間寛平が前立腺がんを公表、「アースマラソン」は治療しながら継続。)

前立腺癌とは


前立腺とは、男性のみに存在し、膀胱の前下部で直腸膨大部の前面に位置する栗の実様の器官です。尿道の起始部(前立腺部)を取り囲んで放射状に配列する分枝胞状管状腺の集合体で、線維性の皮膜に包まれています。

前立腺癌は、主に前立腺外腺(peripheral zone)より発生する腺癌です。臨床癌は50歳以上の男性に多く(典型的な高齢者癌)、高齢になるほど発生率が高いです。

発見率、罹患率ともに増加しており、特に腫瘍マーカーである前立腺特異抗原Prostate Specific Antigen(PSA)を用いたスクリーニングでPSA高値のみで発見される早期癌の割合が増えています。

日系アメリカ人の年齢調整罹患率は、日本在住の日本人のそれの約5倍高いといわれています。このことは生活環境が前立腺癌の顕性化に大きな影響を与えていることを推測させます。

罹患率は、1975年以降増加していますが、その理由の1つとして前立腺特異抗原(PSA)による診断方法の普及によると指摘もされています。

前立腺は男性ホルモンの標的臓器であり、その構造および機能の維持は男性ホルモン依存性です。このように強い男性ホルモン依存性臓器である前立腺から発生する前立腺癌の90%以上は男性ホルモン依存性を有しているといわれています。

前立腺癌の診断


前立腺癌の症状としては、発生部位が周辺部なので早期癌だけでは排尿障害などの症状はありません。ただし、肥大症と合併することが多く、排尿障害があることもあります。骨転移による症状も起こることがあり、骨の痛み、病的骨折、進行例では造血機能障害、発熱などがみられることもあります。

直腸指診では、大きさ、硬さ、被膜周囲の状態をみます。経直腸的超音波断層法(transrectal ultrasonography;TRUS)でも、同様に経直腸的に前立腺の大きさ、エコーレベル、被膜の状態がわかります。

前立腺癌の疑いのある患者さんに対しては、前立腺特異抗原prostate specific antigen(PSA)検査、直腸内触診(DRE)、経直腸的超音波検査(TRUS)を行います。

前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)は、前立腺肥大症(BPH)でも上昇しますが、前立腺癌ではさらに上昇します。75〜95%の前立腺癌患者では異常高値(>4ng/ml)を示し、病勢,癌細胞の量をよく反映し、治療が奏功すると低下、前立腺全摘除術後は測定限界以下となります。

前立腺針生検では、確定診断ができ、経直腸超音波断層法ガイド下6ヶ所の生検を行います。血清PSA >10ng/mlでは癌発見率40%、血清PSA 4〜10ng/ml(グレーゾーン)では癌発見率10%であるといわれています。

直腸診で陽性の場合やTRUS陽性の場合、またはPSA値10.1ng/ml以上の場合には超音波ガイド下6か所系統的前立腺針生検を行います。PSAが10.0ng/ml以下の場合には年齢階層別PSA,、PSAD、 PSAvelocityを参考にして、前立腺針生検を行います。病理組織学的に確定診断された症例をもって前立腺癌とするので、針生検などの病理学的検索は重要です。

また、骨盤CT、MRIでは、前立腺の形態と骨盤内リンパ節の腫大を判定できます。骨シンチグラフィーでは、いずれかの骨に異常積像を認めれば転移が考えられます。

前立腺癌の治療


前立腺癌の治療としては、以下のようなものがあります。
前立腺がんの治療法には、手術療法、放射線治療、内分泌療法、さらには特別な治療を実施せず、当面経過観察する待機療法があります。限局した腫瘍には根治的前立腺全摘術や放射線療法が、進行した場合には抗男性ホルモン療法が一般的に行われます。

手術療法は、適応は限局性癌、すなわちstage A、Bです。最近、局所浸潤度に対しネオアジュバントとしての内分泌療法を行い、縮小をはかった後、手術する方法もとられています。手術方法は所属リンパ節も含め、前立腺、精嚢を一塊として摘出します。

手術の方法には下腹部を切開して前立腺を摘出する場合(恥骨後式前立腺全摘除術)と腹腔鏡とよばれる内視鏡下に切除する方法、あるいは肛門の上を切開して前立腺を摘出する方法(会陰式前立腺全摘除術)があります。

合併症として、尿失禁と性機能障害があります。尿失禁に関しては、1%程度の手術で起こっているようです。ただし、この手術では性機能障害は精管が切断されるため術後、射精することができません。ですが、勃起神経を残す神経保存術も行われています。

局所進行癌、すなわち癌が前立腺被膜を超えて浸潤しているが、遠隔転移のない場合では、内分泌療法を補助療法とした根治的前立腺摘除術、または放射線療法が行われますが、内分泌療法による単独治療も行われます。

放射線療法には外照射と内照射があり、内照射はさらに192Irによる一時的刺入法と125Iによる密封小線源永久挿入療法に分かれています。治療前PSAが高い症例や分化度の低い症例に対しては内分泌療法を併用することにより予後の改善が期待できます。

合併症として急性期には膀胱、直腸障害、晩期には直腸出血などがあります。性機能障害も長期的には発生します。また、骨転移の疼痛コントロール目的に施行されることもあります。

転移癌や再燃癌では、内分泌(ホルモン)療法も行われ、LH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリン)が用いられます。これは、薬物的去勢とよばれ内分泌療法の中核的治療法となっています。副作用として、ほてり、発汗、顔面紅潮、筋力低下、性機能障害など急激な男性ホルモン低下による男性更年期障害があります。

また、抗アンドロゲン薬が用いられ、ステロイド性と非ステロイド性があり、非ステロイド性(カソデックス、オダイン)は血中テストステロン値がほとんど低下しないため、性機能の維持に有利といわれています。

ゴールを目指して頑張って頂きたいという思いとともに、あまり無理をなさらず、治療などを受けて頂きたいという思いもあります。是非ともご自愛頂きたいと思われます。

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