以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

イギリス、マンチェスターにある家族がいた。両親と2人の子供。ごく普通の幸せな4人家族。しかし、長女のジョーンが2歳のとき、異変が。すぐに病院に連れて行くと、なんと「副腎皮質癌」だと診断される。

2歳児には非常に珍しいガンだった。すぐに摘出手術を受け回復したが、その直後、今度は弟のデービッドに異変が。診断は「横紋筋肉腫」。すぐに治療が始まった。そうしている間に母は自分の胸に違和感を覚える。病院で診察してもらうと「乳癌」だと診断されてしまう。

たった1年ほどの間に家族3人が次々にガンにかかってしまったのだ。治療の甲斐もなく、間もなく母は他界。その5ヶ月後、弟のデービッドもこの世を去った。ジョーンは定期検査を受けながら再発しないことを願いながら暮らし…10年が過ぎたころ、医師がジョーンの遺伝子を検査。そして、彼女は「リ・フラウメニ症候群」であることがわかる。

リ・フラウメニ症候群とは白血病や乳がんなどの病気を次々に発症してしまう遺伝病。17番染色体にガン抑制遺伝子が存在するが、そこに変異があるために癌を抑制できないのだ。

ジョーンは母親からその遺伝子を受け継いだと考えられた。定期的な検査とセルフチェックを行い、もしもガンが発見されたら早急に処置をしなければならない。そうしてジョーン、27歳のとき。マットという男性と出会いジョーンは恋に落ちた。

1年後、2人は婚約。遺伝子異常のことはよく話し合った上での決断だった。そうして結婚式を1ヶ月後に控えたある日、ジョーンは自分の胸に異常を感じた。診断は両乳房の乳がんだった。

病状は深刻で出来るだけ早く切除するようにと医師に言われるが、結婚式を控えたジョーンは信じられない決断をする。乳房の切除はせずに予定通り結婚式を挙げたのだ。そしてハネムーンから帰ってから、両乳房の切除手術を受けた。その後、ふとももの骨にもガンが見つかり切除。現在は愛する夫にささえられながら暮らしている。

リ-フラウメニ症候群とは


リ-フラウメニ症候群(Li-Fraumeni syndrome)とは、主に肉腫あるいは副腎皮質腫瘍が発生する常染色体優性の遺伝性疾患です。

リ(Frederick P. Li)とフラウメニ(Joseph F. Fraumeni Jr)が横紋筋肉腫による小児死亡例を解析し、肉腫の好発家系を発見したことをきっかけに提唱されました。

この家系では、肉腫、副腎皮質腫瘍のほか、脳腫瘍、白血病、乳癌など、多臓器の癌が発生します。

患者さんの約半数は30歳までに癌が発生し、多発性の頻度が高いです。p53遺伝子の生殖細胞レベルでの変異が約半数の家系に認められ、これらの家系では発症前遺伝子診断が可能となります。変異のほとんどがミスセンス突然変異で、75%がエキソン5〜8に存在します。

p53遺伝子とは


p53遺伝子とは、以下のようなものがあります。
p53遺伝子とは、癌抑制遺伝子です。癌の50%以上で、変異がみられます。変異のほとんどはミスセンス突然変異で、p53蛋白質の中央部に位置するDNA結合領域に集中しています。

DNAに損傷が生じると、転写因子であるp53蛋白質が活性化され、種々の遺伝子の発現を誘導して、細胞のアポトーシス、あるいはG1停止を引き起こします。

乳癌では20〜25%にp53遺伝子の体細胞変異を認めますが、乳癌に特異的な変異の集中するDNA領域はないです。

特に、乳癌、骨肉腫、脳腫瘍、副腎皮質腫瘍などが発生する遺伝性疾患リ-フラウメニ症候群の原因遺伝子でもあり、この家系では乳癌は主に30歳以下の若年者に発症します。

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