以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
2008年1月。埼玉県。妻と二人の息子を持つ49歳の父親は一般的なサラリーマン。そんな彼の体にある異変が・・・帰宅したある夜のこと、左胸の乳頭が湿っていた。
初めてのことで、思い当たるふしはない。汗なのか?特ににおいもない・・・夫はある事情で年に2回病院で検査を受けていたが、特に問題はなかった。それからしばらくして同じように左の胸だけまたぬれていた。乳頭からのなぞの分泌物。それは週に1回ほどのペースだった。その後も時々湿っていたが、痛みもなくほかに異常がなかったため、いつしか気にしなくなっていた。
状況が変わったのは、6月。衣替えの頃だった。左胸にあきらかにシコリのようなものが…。このとき初めて妻に相談した。
彼は15年前、35歳の時、左足大腿骨の骨肉腫になった事がある。骨にできる悪性腫瘍。骨のガンとも言われ、正常な細胞を破壊していく。今では定期検診で再発の恐れもないと言われていた。その事もあって、彼は独自に症状について調べると、「乳ガン」の疑いがでてきた。
すぐに近くの病院へ。だが、そこは専門的な診察をせずガンとは診断されなかった。しかし、妻は納得できず、自分が乳ガン検診をした病院に連れて行った。すぐに検査となった。
胸のレントゲン、マンモグラフィは胸をつぶし薄くすることで、放射線が通りやすくより鮮明に見ることが出来るが、胸に脂肪の少ない男性にとっては、ちぎれそうなほど痛い。さらに、超音波による検査。
シコリの組織を採取して調べるなど、女性の乳ガンと同じ検査が続く。そして、1週間後。夫に下された診断は、乳ガン。乳ガンは乳腺にできるガン。実は乳腺はわずかだが男性にもある。ガンになる過程も女性と同じだ。すぐにリンパ節への転移がないか調べられた。幸い転移は見られなかったが、男性の場合、乳腺は乳頭のすぐ下にしかない。そのため、乳頭ごと摘出する方法がとられる。
妻はどうにか胸の形を変えずに手術する方法はないものかと色々探していた。
そして妻はインターネットで「ラジオ波・熱凝固療法」という治療法を見つけた。
患部に対し、最も熱を伝えやすいラジオ波を直接ガン細胞にあて、60~70度の熱で死滅させる方法。まだ、国に認可された治療ではないため保険が利かず、およそ30万から50万円の費用となる。
さらに新しい治療法なので、術後の長期的データはまだない治療法だった。
しかし、手術も1時間程度で済み、術後も負担が少ないため、男性は治療する事を決意。
2週間後、局所麻酔により、意識はあるまま左胸にラジオ波があてられた。およそ1時間後には腫瘍は死滅した。体への負担が少ないのが何よりの特徴。しかし、超音波で見えないがん細胞が残っている可能性があるため1ヶ月間、毎日、放射線治療を行った。そしてガンは消えた。
手術から2年、現在シコリの跡も、治療の跡もない。
乳癌は、乳腺組織から発生する悪性腫瘍の99%を占めます。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。
ちなみに、男性乳がんの発生頻度は女性乳癌100に対して1ほどの割合で、全乳癌の約1%となります。患者の平均年齢は60歳前後で女性より10歳以上高く、乳頭乳輪近傍で比較的早期なものが多いです。主訴としては腫瘤触知が最も多いですが、乳頭皮膚のひきつれや血性乳頭分泌も多いです。
組織学的には高分化癌で、乳頭腺管癌や充実腺管癌が硬癌よりも多いです。現在では7割近くが組織学的リンパ節転移陰性であるといわれています。
ホルモン受容体陽性率が非常に高く、抗ホルモン療法に反応します。予後に関しては、女性よりも悪いあるいは同等という報告が多くみられましたが、近年の報告では良好な予後を示しています。
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取します。女性であれば、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。乳腺疾患の診断に基本的な画像検査は、この超音波検査と乳房単純X線写真(マンモグラフィ、MMG)であり、腫瘤を認めた場合には両者を行う必要があります。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。7.5MHz以上の高周波振動子を使うことが望ましとされ、嚢胞や充実性腫瘤の質的診断に有効であるといわれています。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。専用の器械で2方向撮影します。必要に応じて拡大スポット撮影などを追加します。異常乳頭分泌の場合には、乳管造影が有用です。
乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます(マンモグラフィー上の石灰化病変のみのものはマンモトーム生検を行うことも)。
穿刺吸引細胞診では、針付注射器で腫瘤を穿刺吸引し、スライドグラスに吸引内容を吹き付け、ただちにアルコール固定、Papanicolaou染色を行い検鏡します。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class ?(正常)から class ?(癌)の5段階で行われます。
乳管上皮の増殖性病変(3大疾患すべてでみられる)では、穿刺吸引細胞診による確定診断が困難な症例があります。その場合は、針生検(Sure-Cut針などの専用キットを用い、糸状の腫瘤組織を採取)による病理組織学的診断が有用であるといわれています。
また、多発乳癌あるいは乳管内進展の検索など、精査用画像診断としてはMRI、CTが有用であり、追加することも重要です。
乳癌の治療としては、以下のようなものがあります。
2008年1月。埼玉県。妻と二人の息子を持つ49歳の父親は一般的なサラリーマン。そんな彼の体にある異変が・・・帰宅したある夜のこと、左胸の乳頭が湿っていた。
初めてのことで、思い当たるふしはない。汗なのか?特ににおいもない・・・夫はある事情で年に2回病院で検査を受けていたが、特に問題はなかった。それからしばらくして同じように左の胸だけまたぬれていた。乳頭からのなぞの分泌物。それは週に1回ほどのペースだった。その後も時々湿っていたが、痛みもなくほかに異常がなかったため、いつしか気にしなくなっていた。
状況が変わったのは、6月。衣替えの頃だった。左胸にあきらかにシコリのようなものが…。このとき初めて妻に相談した。
彼は15年前、35歳の時、左足大腿骨の骨肉腫になった事がある。骨にできる悪性腫瘍。骨のガンとも言われ、正常な細胞を破壊していく。今では定期検診で再発の恐れもないと言われていた。その事もあって、彼は独自に症状について調べると、「乳ガン」の疑いがでてきた。
すぐに近くの病院へ。だが、そこは専門的な診察をせずガンとは診断されなかった。しかし、妻は納得できず、自分が乳ガン検診をした病院に連れて行った。すぐに検査となった。
胸のレントゲン、マンモグラフィは胸をつぶし薄くすることで、放射線が通りやすくより鮮明に見ることが出来るが、胸に脂肪の少ない男性にとっては、ちぎれそうなほど痛い。さらに、超音波による検査。
シコリの組織を採取して調べるなど、女性の乳ガンと同じ検査が続く。そして、1週間後。夫に下された診断は、乳ガン。乳ガンは乳腺にできるガン。実は乳腺はわずかだが男性にもある。ガンになる過程も女性と同じだ。すぐにリンパ節への転移がないか調べられた。幸い転移は見られなかったが、男性の場合、乳腺は乳頭のすぐ下にしかない。そのため、乳頭ごと摘出する方法がとられる。
妻はどうにか胸の形を変えずに手術する方法はないものかと色々探していた。
そして妻はインターネットで「ラジオ波・熱凝固療法」という治療法を見つけた。
患部に対し、最も熱を伝えやすいラジオ波を直接ガン細胞にあて、60~70度の熱で死滅させる方法。まだ、国に認可された治療ではないため保険が利かず、およそ30万から50万円の費用となる。
さらに新しい治療法なので、術後の長期的データはまだない治療法だった。
しかし、手術も1時間程度で済み、術後も負担が少ないため、男性は治療する事を決意。
2週間後、局所麻酔により、意識はあるまま左胸にラジオ波があてられた。およそ1時間後には腫瘍は死滅した。体への負担が少ないのが何よりの特徴。しかし、超音波で見えないがん細胞が残っている可能性があるため1ヶ月間、毎日、放射線治療を行った。そしてガンは消えた。
手術から2年、現在シコリの跡も、治療の跡もない。
男性乳癌とは
乳癌は、乳腺組織から発生する悪性腫瘍の99%を占めます。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。
ちなみに、男性乳がんの発生頻度は女性乳癌100に対して1ほどの割合で、全乳癌の約1%となります。患者の平均年齢は60歳前後で女性より10歳以上高く、乳頭乳輪近傍で比較的早期なものが多いです。主訴としては腫瘤触知が最も多いですが、乳頭皮膚のひきつれや血性乳頭分泌も多いです。
組織学的には高分化癌で、乳頭腺管癌や充実腺管癌が硬癌よりも多いです。現在では7割近くが組織学的リンパ節転移陰性であるといわれています。
ホルモン受容体陽性率が非常に高く、抗ホルモン療法に反応します。予後に関しては、女性よりも悪いあるいは同等という報告が多くみられましたが、近年の報告では良好な予後を示しています。
乳癌の診断
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取します。女性であれば、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。乳腺疾患の診断に基本的な画像検査は、この超音波検査と乳房単純X線写真(マンモグラフィ、MMG)であり、腫瘤を認めた場合には両者を行う必要があります。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。7.5MHz以上の高周波振動子を使うことが望ましとされ、嚢胞や充実性腫瘤の質的診断に有効であるといわれています。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。専用の器械で2方向撮影します。必要に応じて拡大スポット撮影などを追加します。異常乳頭分泌の場合には、乳管造影が有用です。
乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます(マンモグラフィー上の石灰化病変のみのものはマンモトーム生検を行うことも)。
穿刺吸引細胞診では、針付注射器で腫瘤を穿刺吸引し、スライドグラスに吸引内容を吹き付け、ただちにアルコール固定、Papanicolaou染色を行い検鏡します。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class ?(正常)から class ?(癌)の5段階で行われます。
乳管上皮の増殖性病変(3大疾患すべてでみられる)では、穿刺吸引細胞診による確定診断が困難な症例があります。その場合は、針生検(Sure-Cut針などの専用キットを用い、糸状の腫瘤組織を採取)による病理組織学的診断が有用であるといわれています。
また、多発乳癌あるいは乳管内進展の検索など、精査用画像診断としてはMRI、CTが有用であり、追加することも重要です。
乳癌の治療
乳癌の治療としては、以下のようなものがあります。
乳癌はホルモン療法や化学療法への感受性があり、全身病としての認識が確立しています。ですが、治療はやはり手術が基本で、病期?までの約9割は手術療法の適応となります。
術後には、全身に対する補助療法を行うのが標準的な治療法です。間質浸潤がない乳管内癌はリンパ節を含め転移はないため、手術だけで治癒できますが、エストロゲン受容体(ER)陽性のことが多く、ホルモン療法を付加するのが一般的です。遠隔転移がある場合は全身療法を行いますが、局所の疼痛や出血、壊死により日常生活に支障をきたすような場合は、手術を行うこともあります。
手術方法としては、最近では胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術および、乳房温存手術が主流となり、乳房温存手術が半数以上に行われています。
乳房温存手術は、超音波検査やマンモグラフィー、CTやMRIで広範囲な乳管内進展巣のない腫瘍径3cm以下の腫瘍に対し、マージンを十分とった乳腺部分切除と腋窩リンパ節郭清を行った後、残存乳房に対する放射線治療(通常50グレイ)を付加することが原則となっています。さらに、センチネルリンパ節生検を行い、転移の有無を病理組織学的に検索し郭清を省略することも行われています。
進行乳癌では、根治が期待できる全身状態の良いものに対しては術後治療に準じた根治的治療を行います。乳癌の組織学的悪性度(HER2/neu 遺伝子)、ホルモン感受性を調べたうえで、抗癌剤や内分泌療法剤、抗体[トラスツズマブ(ハーセプチン)]を使った乳癌標的療法などを組み合わせて治療します。
さらに、最近では「ラジオ波熱凝固療法」といった治療法も行われています。「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というものです。
原理的には電気メスと同じです。周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。
乳癌細胞の7割が女性ホルモン受容体を有し、癌の発育はホルモン療法に感受性があるといわれています。ホルモン療法には、ホルモン受容体拮抗薬(閉経前)やLH-RHアナログ(閉経前)、合成黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)などがもちいられています。
ホルモン感受性乳癌に対しては、術後5年間のタモキシフェン投与が有用であるといわれています。また、閉経前乳癌であれば、卵巣機能抑制療法が有用であり、LH-RHアナログが推奨されています。
【関連記事】
早期乳癌を教えてくれた赤ちゃん−Milk-rejection signとは
乳癌の新治療法 メスを使わない「ラジオ波熱凝固療法」
乳癌の転移を引き起こす遺伝子を発見?SATB1
術後には、全身に対する補助療法を行うのが標準的な治療法です。間質浸潤がない乳管内癌はリンパ節を含め転移はないため、手術だけで治癒できますが、エストロゲン受容体(ER)陽性のことが多く、ホルモン療法を付加するのが一般的です。遠隔転移がある場合は全身療法を行いますが、局所の疼痛や出血、壊死により日常生活に支障をきたすような場合は、手術を行うこともあります。
手術方法としては、最近では胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術および、乳房温存手術が主流となり、乳房温存手術が半数以上に行われています。
乳房温存手術は、超音波検査やマンモグラフィー、CTやMRIで広範囲な乳管内進展巣のない腫瘍径3cm以下の腫瘍に対し、マージンを十分とった乳腺部分切除と腋窩リンパ節郭清を行った後、残存乳房に対する放射線治療(通常50グレイ)を付加することが原則となっています。さらに、センチネルリンパ節生検を行い、転移の有無を病理組織学的に検索し郭清を省略することも行われています。
進行乳癌では、根治が期待できる全身状態の良いものに対しては術後治療に準じた根治的治療を行います。乳癌の組織学的悪性度(HER2/neu 遺伝子)、ホルモン感受性を調べたうえで、抗癌剤や内分泌療法剤、抗体[トラスツズマブ(ハーセプチン)]を使った乳癌標的療法などを組み合わせて治療します。
さらに、最近では「ラジオ波熱凝固療法」といった治療法も行われています。「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というものです。
原理的には電気メスと同じです。周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。
乳癌細胞の7割が女性ホルモン受容体を有し、癌の発育はホルモン療法に感受性があるといわれています。ホルモン療法には、ホルモン受容体拮抗薬(閉経前)やLH-RHアナログ(閉経前)、合成黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)などがもちいられています。
ホルモン感受性乳癌に対しては、術後5年間のタモキシフェン投与が有用であるといわれています。また、閉経前乳癌であれば、卵巣機能抑制療法が有用であり、LH-RHアナログが推奨されています。
【関連記事】
早期乳癌を教えてくれた赤ちゃん−Milk-rejection signとは
乳癌の新治療法 メスを使わない「ラジオ波熱凝固療法」
乳癌の転移を引き起こす遺伝子を発見?SATB1