点眼のあとの目パチパチは禁物――。目薬をさしたあと目をしばたたかせるなど、不適切な点眼をしている人が9割を超すことが、医薬品メーカー、ファイザー(東京都渋谷区)の調査で分かった。

同社は、緑内障患者など病院で複数の目薬を処方された経験がある40~60代の男女1200人を対象にインターネットで調査した。

適切な点眼後の行動は「しばらく目を閉じて、薬が鼻やのどに流れないよう目頭を軽く押さえる」だが、適切な点眼を実行している人はわずか5.8%。最も多い43.3%が「目をパチパチさせている」で、「しばらくの間、目を閉じている」30.2%、「しばらくの間、目を見開いたままじっとしている」15.1%など、計90%以上が不適切だった。

「目をパチパチさせる」人の88.3%が「目薬が目全体や患部に行き渡ると思うから」と答えた。この方法では、薬が外に流れ出てしまい、十分な効果が得られないという。

目薬の1滴は、目の中にためることができる適切な量だが、33.5%が2滴以上さしており、3人に1人がさし過ぎだった。また、2種類以上の目薬を処方された場合、約5分以上の間隔を空けていない人も37・2%いた。
([目薬]目パチパチはダメ 正しい点眼5%)

考えてみると、目薬のCMで「しばらく目を閉じて、薬が鼻やのどに流れないよう目頭を軽く押さえる」といった仕草を見せているものもありましたね。あれは、正しい目薬の仕方をデモンストレーションしていたのでしょうか。

目頭を押さえるのが、「鼻やのどに流れないよう」という意味があると学んだ今、今後はこの通りにやってみてはいかがでしょうか。

目薬(点眼薬)と緑内障


目薬には、眼瞼と眼球からなる結膜嚢に適用する無菌の外用剤で、眼科用液剤(点眼剤、洗眼剤)と眼軟膏剤に大別されます。一般的な目薬、といえば点眼薬ですね。

上記では、緑内障の患者さんを対象とした点眼薬についてのアンケートだったようです。緑内障は、眼圧が上昇して視神経が障害され,特徴的な視神経乳頭障害と視野異常などの視機能異常を来す疾患です。糖尿病網膜症とならび失明原因の多くを占めます。

緑内障は40歳以上の5.0%に有病率をもつと言われています。眼圧の正常値は21mmHg以下といわれ、眼圧が高いことが緑内障により失明をきたす原因と考えられていますが、正常の眼圧でも視野障害が進行していく例が多数存在することも知られています。

隅角の所見によって開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障に大別されます。そのほかにぶどう膜炎やほかの眼疾患に続発する続発緑内障や、隅角の形成不全にみられる発達緑内障(先天緑内障)などがあります。

この緑内障の治療については、以下のようなものがあります。
治療としては、「視機能の悪化が認められないレベルまで眼圧を下降させる」ことに尽きることになります。開放隅角緑内障では、眼圧が25mmHg以下の場合、眼圧のベースラインを確定するため、しばらくの間(1〜2ヶ月)無治療で経過を観察します。ベースラインの眼圧が確定した時点で、まず薬物治療を行います。

眼圧下降効果、全身副作用の少なさから、第1選択薬はプロスタグランジン関連薬の点眼(キサラタン、レスキュラなど)とすることが多いようです。そのほか、β遮断薬(チモプトール、ミケラン)やαβ遮断薬(ハイパジール、ミロル)、α遮断薬(デタント−ル)などを用います。

薬物治療で眼圧がコントロールできない場合、手術治療が行われます。病期が初期で、目標眼圧が10mmHg台後半の場合には、レーザー線維柱帯形成術(LTP:laser trabeculoplasty)や線維柱帯切開術(トラベクロトミー)が適応になります。

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