ひと昔前、日本人は「メガネを掛けカメラを持っている」と思われていたが、コンタクトが定着し、カメラもバッグに入るコンパクトなものになると、そのイメージは消えた。そしてコンタクトに今日では「LASIK(レーシック)」がせまっている。
昨年、東京・中央区の眼科で感染症防止体制がずさんだったため、LASIK手術を受けた人のうち67人が感染性角膜炎などを発症、ニュースとなった。一般化した近視矯正手術だからこそ、リスクとメリットを認識し、信頼できる医療機関で受けてもらいたい。そこで、今回はLASIK手術を紹介しよう。
近視は網膜の手前でピントが合ってしまうので、近くは見えても遠くはボヤッとしてしまう。近視に対する矯正手術のLASIKが普及し始めたのは1990年代後半からだ。
両眼で約20分程度で終わる眼科手術。まず、点眼麻酔をし、次にマイクロケラトームという小さなカンナのような器械を用いて、透明の角膜を厚さ約0.5ミリ、直径約12ミリほど薄くめくる。それをフラップという。その時点で角膜実質が露出している。そこにエキシマレーザーを約20〜50秒照射してカーブを調節して屈折力を変える。
エキシマレーザーは波長193ナノメートルの紫外線レーザーで、角膜を通過しないため、角膜だけを削ることができる。照射するレーザーはあらかじめ患者の度数に合わせてコンピュータにプログラミングされている。レーザー照射が終了するとフラップを元に戻す。2分もするとフラップは密着するので縫う必要はない。
わずか20分で手術が終了し、術後の痛みがなく、術後翌日には予定視力になる。また、フラップでフタをするので角膜実質への感染の危険も最小限に抑えられる。そのため、手術希望者が急増し、米国では年間約150万件のLASIKが行われ、日本でも約80万件行われていると推測されている。
ただし、LASIKを希望しても手術不適応となる人がいる。それは「視力・屈折が適応外」の場合。強度近視、遠視、遠視性乱視、老眼などである。また「眼疾患がある」場合。これは円錐角膜、白内障、弱視、眼底疾患などがあるケース。さらに「全身疾患」。これは、精神疾患、膠原病、コントロールのできない重度の糖尿病などである。「20歳未満」も適応外である。
LASIKを受ける場合、このように適応か不適応かを確実にチェックできる医療施設であることが重要ポイントになる。加えて、注意が必要な術後の合併症の「角膜拡張症」「ドライアイ」「乱視」「角膜の炎症」「角膜の感染症」などに十分に対応するとともに、術前にしっかり説明がなされていること。もちろん、説明するまでもないが、術者は「眼科専門医」であること――。
(近視)
レーシック手術のレーシック(LASIK)とは、laser in situ keratomileusisの頭文字をとったもので、日本語に訳せば「レーザー角膜切削形成術」となります。眼の屈折異常を矯正する手術の一つで、レーシック手術は現在の主流となっています。
一般的には、マイクロケラトームとよばれるカンナのような機械で角膜の表面を薄く削り、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくります。そこで露出した角膜の実質部分にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を蒸散させ、角膜表面の屈折力を減ずる手術です。
そもそも近視とは、目に入ってきた平行光線が、網膜の前方に像を結ぶような屈折状態を指します。正視の人はしっかりと網膜の所で像を結ぶのでぼやけたりしないのですが、近視では網膜の前の方で結像してしまうので、ぼやけてしまうわけです。
眼軸が長すぎるか、角膜や水晶体の屈折力が強いためにこうしたことが起こってしまい、前者を軸性近視、後者を屈折性近視といいます。通常みられる近視は、軸性近視です。
そのため、しっかりと網膜の所で結像できるように、角膜を削って矯正するのがレーシック手術です。そのため、事前検査では屈折度検査、角膜曲率半径測定、角膜形状解析など多くの検査を行い、その検査結果をもとにレーザー照射を行います。
ちなみに、イントラレーシック(Intra-LASIK)は、INTRALASE社製イントラレースFSレーザーを用いて、コンピュータ制御によってフラップを精密に作成する点が特徴的です。これにより、より精度の高いフラップ作成ができるといわれています。
より高い矯正精度を得るためには、コンタクトレンズの装用で圧迫されている角膜を元の状態に戻し、正確な検査を行う必要があるわけです。そのため、1週間程度コンタクトレンズ装着を中止しておく必要があるわけです。
こうした手術前の検査の結果、角膜厚が足りなかったり(450μm以下の角膜厚)、小角膜など眼自体に問題があったり、合併症(白内障・緑内障・網膜剥離・結膜炎など)がある場合などでは、適応できない人がいます。また、全身疾患との関連で、膠原病、自己免疫疾患の患者さんでは創傷治癒に障害をきたす可能性もあり、ドライアイの合併によりレーシック治療が行えない場合があります。
レーシック手術を受ける際の注意点としては、以下のようなものがあります。
昨年、東京・中央区の眼科で感染症防止体制がずさんだったため、LASIK手術を受けた人のうち67人が感染性角膜炎などを発症、ニュースとなった。一般化した近視矯正手術だからこそ、リスクとメリットを認識し、信頼できる医療機関で受けてもらいたい。そこで、今回はLASIK手術を紹介しよう。
近視は網膜の手前でピントが合ってしまうので、近くは見えても遠くはボヤッとしてしまう。近視に対する矯正手術のLASIKが普及し始めたのは1990年代後半からだ。
両眼で約20分程度で終わる眼科手術。まず、点眼麻酔をし、次にマイクロケラトームという小さなカンナのような器械を用いて、透明の角膜を厚さ約0.5ミリ、直径約12ミリほど薄くめくる。それをフラップという。その時点で角膜実質が露出している。そこにエキシマレーザーを約20〜50秒照射してカーブを調節して屈折力を変える。
エキシマレーザーは波長193ナノメートルの紫外線レーザーで、角膜を通過しないため、角膜だけを削ることができる。照射するレーザーはあらかじめ患者の度数に合わせてコンピュータにプログラミングされている。レーザー照射が終了するとフラップを元に戻す。2分もするとフラップは密着するので縫う必要はない。
わずか20分で手術が終了し、術後の痛みがなく、術後翌日には予定視力になる。また、フラップでフタをするので角膜実質への感染の危険も最小限に抑えられる。そのため、手術希望者が急増し、米国では年間約150万件のLASIKが行われ、日本でも約80万件行われていると推測されている。
ただし、LASIKを希望しても手術不適応となる人がいる。それは「視力・屈折が適応外」の場合。強度近視、遠視、遠視性乱視、老眼などである。また「眼疾患がある」場合。これは円錐角膜、白内障、弱視、眼底疾患などがあるケース。さらに「全身疾患」。これは、精神疾患、膠原病、コントロールのできない重度の糖尿病などである。「20歳未満」も適応外である。
LASIKを受ける場合、このように適応か不適応かを確実にチェックできる医療施設であることが重要ポイントになる。加えて、注意が必要な術後の合併症の「角膜拡張症」「ドライアイ」「乱視」「角膜の炎症」「角膜の感染症」などに十分に対応するとともに、術前にしっかり説明がなされていること。もちろん、説明するまでもないが、術者は「眼科専門医」であること――。
(近視)
レーシック手術とは
レーシック手術のレーシック(LASIK)とは、laser in situ keratomileusisの頭文字をとったもので、日本語に訳せば「レーザー角膜切削形成術」となります。眼の屈折異常を矯正する手術の一つで、レーシック手術は現在の主流となっています。
一般的には、マイクロケラトームとよばれるカンナのような機械で角膜の表面を薄く削り、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくります。そこで露出した角膜の実質部分にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を蒸散させ、角膜表面の屈折力を減ずる手術です。
そもそも近視とは、目に入ってきた平行光線が、網膜の前方に像を結ぶような屈折状態を指します。正視の人はしっかりと網膜の所で像を結ぶのでぼやけたりしないのですが、近視では網膜の前の方で結像してしまうので、ぼやけてしまうわけです。
眼軸が長すぎるか、角膜や水晶体の屈折力が強いためにこうしたことが起こってしまい、前者を軸性近視、後者を屈折性近視といいます。通常みられる近視は、軸性近視です。
そのため、しっかりと網膜の所で結像できるように、角膜を削って矯正するのがレーシック手術です。そのため、事前検査では屈折度検査、角膜曲率半径測定、角膜形状解析など多くの検査を行い、その検査結果をもとにレーザー照射を行います。
ちなみに、イントラレーシック(Intra-LASIK)は、INTRALASE社製イントラレースFSレーザーを用いて、コンピュータ制御によってフラップを精密に作成する点が特徴的です。これにより、より精度の高いフラップ作成ができるといわれています。
より高い矯正精度を得るためには、コンタクトレンズの装用で圧迫されている角膜を元の状態に戻し、正確な検査を行う必要があるわけです。そのため、1週間程度コンタクトレンズ装着を中止しておく必要があるわけです。
こうした手術前の検査の結果、角膜厚が足りなかったり(450μm以下の角膜厚)、小角膜など眼自体に問題があったり、合併症(白内障・緑内障・網膜剥離・結膜炎など)がある場合などでは、適応できない人がいます。また、全身疾患との関連で、膠原病、自己免疫疾患の患者さんでは創傷治癒に障害をきたす可能性もあり、ドライアイの合併によりレーシック治療が行えない場合があります。
レーシック手術を受ける際の注意点
レーシック手術を受ける際の注意点としては、以下のようなものがあります。
レーシック手術にも、術後合併症(感染症など)のリスクがあります。また、レーシック手術の副作用と思われる角膜拡張症が1%とはいえ、認められています。
「角膜拡張症(keratectasia)」とは、潰瘍や炎症、変性、屈折矯正手術などの原因で菲薄化した角膜が、眼圧の影響によって前方に膨らんだ状態です。こうなると、再び角膜のカーブは強くなり近視化するばかりか、メガネでは矯正できないくらいの強い乱視を引き起こす可能性があります。これは、強い近視を矯正したり、円錐角膜などを見逃して近視、乱視を矯正した場合に起こるといわれています。
一過性にハロ・グレアが起こることもあります。これは、夜間や蛍光灯の下でまぶしく感じたり、光の周りがぼやけて見えたりする症状です。手術で修正した角膜の内側と外側で光の焦点に違いの出てしまうことが原因といわれています。他にも、一時的にドライアイになることもあります。
視力が十分に出なかったり、さらに、術中のトラブルでフラップ作成が不完全になり上皮剥離を起こしてしまったり、術後早期に目を強くこすったり、ぶつけたりすると、まれにフラップがズレてしまう可能性があり、不正乱視の原因となってしまうこともあります。
レーシックを避けた方が良い場合というのは、
このようなケースが考えられます。角膜厚が足りなかったり(450μm以下の角膜厚)、小角膜など眼自体に問題があったり、合併症(白内障・緑内障・網膜剥離・結膜炎など)がある場合などでは、適応できない人がいます。
まずは眼科専門医としっかりとご相談の上、適応などを判断し、さらには合併症のリスクを考えた上で、手術に臨まれるのが宜しいかと思われます。
【関連記事】
レーシック手術を受ける前に、チェックしたい10項目
レーシック手術を受ける際の注意点
レーシック手術の利点と合併症とは
「角膜拡張症(keratectasia)」とは、潰瘍や炎症、変性、屈折矯正手術などの原因で菲薄化した角膜が、眼圧の影響によって前方に膨らんだ状態です。こうなると、再び角膜のカーブは強くなり近視化するばかりか、メガネでは矯正できないくらいの強い乱視を引き起こす可能性があります。これは、強い近視を矯正したり、円錐角膜などを見逃して近視、乱視を矯正した場合に起こるといわれています。
一過性にハロ・グレアが起こることもあります。これは、夜間や蛍光灯の下でまぶしく感じたり、光の周りがぼやけて見えたりする症状です。手術で修正した角膜の内側と外側で光の焦点に違いの出てしまうことが原因といわれています。他にも、一時的にドライアイになることもあります。
視力が十分に出なかったり、さらに、術中のトラブルでフラップ作成が不完全になり上皮剥離を起こしてしまったり、術後早期に目を強くこすったり、ぶつけたりすると、まれにフラップがズレてしまう可能性があり、不正乱視の原因となってしまうこともあります。
レーシックを避けた方が良い場合というのは、
・膠原病、自己免疫疾患の患者さん
・妊婦、授乳中の人、または妊娠の可能性がある人
・糖尿病
・ステロイド内服治療中
・ケロイド体質
・散瞳をきたす薬剤の使用
・18歳未満
・1年以上安定していない屈折
・450μm(500μm)以下の角膜厚
・小角膜
・平均値より大きくはずれた角膜曲率半径
・円錐角膜、不正乱視
・活動期の虹彩炎、角結膜炎 炎症の増悪
・重症ドライアイ
・緑内障
このようなケースが考えられます。角膜厚が足りなかったり(450μm以下の角膜厚)、小角膜など眼自体に問題があったり、合併症(白内障・緑内障・網膜剥離・結膜炎など)がある場合などでは、適応できない人がいます。
まずは眼科専門医としっかりとご相談の上、適応などを判断し、さらには合併症のリスクを考えた上で、手術に臨まれるのが宜しいかと思われます。
【関連記事】
レーシック手術を受ける前に、チェックしたい10項目
レーシック手術を受ける際の注意点
レーシック手術の利点と合併症とは