昨年、およそ7年ぶりの新作で復活を遂げ、現在11年ぶりの世界ツアーNothing But Love World Tourを行っている歌姫ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)が、病気のためパリ公演を延期していたことが分かった。
今月5日に発表された公式声明によると、彼女は上気道感染という呼吸器の感染症にかかり、やむなく6日に予定されていたパリ公演を6月に延期することにしたという。いまのところ8日の英マンチェスター公演の日程は変更されていない。
先月のオーストラリア・ツアーではキャンセルになる公演もあり、くわえて彼女のパフォーマンスが万全でないという批判も出ていたが、彼女の広報から健康に問題はまったくないという声明が発表されていたところ。
(ホイットニー、病気のためパリ公演を延期)
上気道炎とは、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)の細菌やウイルス感染、化学物質の吸入によって生じる急性および慢性炎症を指します。
上気道炎の代表としては、いわゆる「風邪」があります。かぜ症候群(かぜ症候群、急性上気道炎)とは、上気道粘膜の急性炎症をとりまとめて総称しています。鼻閉、鼻汁、咽頭発赤、発熱などを主徴とし、主に急性鼻炎や咽頭炎の形を取る急性呼吸器感染症です。
年間を通じてみられますが、秋から冬のこの時期の流行が多いです。誘因として、個体の条件(免疫不全、脱水、疲労、飲酒、喫煙など)や環境の変化(乾燥、寒冷)が重要となります。
くしゃみ、鼻汁、咽頭痛や咳嗽、喀痰などの呼吸器症状とともに発熱、関節痛などの全身症状、時に悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。軽い鼻症状の普通感冒から、全身症状の強いインフルエンザまでさまざまです。最も罹患頻度の高い疾患で多くの人が1年に1回以上罹患し、ことに小児において罹患回数が多いです。
通常約1週間の経過で治癒する予後良好の疾患です。ですが、放置すると各種の疾患を誘発、増悪することがあるので、早期の治療が必要となります。とくにお子さんや老人の場合は肺炎の誘発、基礎疾患の増悪をきたし重篤になることがあるので、特に注意が必要となります。
原因としては多岐にわたりますが、その多く(少なくとも70%以上)はウイルスが病原となります。鼻かぜはライノウイルス、RSウイルス、コロナウイルスが原因となりやすいです。
また、のど風邪はアデノウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルス、気管支かぜはアデノウイルスやパラインフルエンザウイルスのほかマイコプラズマやクラミジアが起こしやすいとされます。これら以外では、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、一般細菌などが含まれます。
他の患者からの飛沫感染により、ウイルスが上気道の粘膜上皮細胞に付着、侵入、増殖して感染が成立します。低温・低湿の条件が揃うと感染が成立しやすいですが、その一方でエンテロウイルスのように夏かぜを起こすものもあります。
鑑別すべき疾患には細菌性扁桃炎、細菌性気管支炎、異型肺炎、細菌性肺炎などがあります。細菌感染では膿性痰、白血球数増加などが鑑別の目安となります。異型肺炎はマイコプラズマやクラミジアが関与するので、ウイルス感染と同様に、検査成績があまり動かずに臨床症状や身体所見が強いため、慎重に鑑別する必要があります。
上気道炎の治療としては、以下のようなものがあります。
今月5日に発表された公式声明によると、彼女は上気道感染という呼吸器の感染症にかかり、やむなく6日に予定されていたパリ公演を6月に延期することにしたという。いまのところ8日の英マンチェスター公演の日程は変更されていない。
先月のオーストラリア・ツアーではキャンセルになる公演もあり、くわえて彼女のパフォーマンスが万全でないという批判も出ていたが、彼女の広報から健康に問題はまったくないという声明が発表されていたところ。
(ホイットニー、病気のためパリ公演を延期)
上気道炎とは
上気道炎とは、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)の細菌やウイルス感染、化学物質の吸入によって生じる急性および慢性炎症を指します。
上気道炎の代表としては、いわゆる「風邪」があります。かぜ症候群(かぜ症候群、急性上気道炎)とは、上気道粘膜の急性炎症をとりまとめて総称しています。鼻閉、鼻汁、咽頭発赤、発熱などを主徴とし、主に急性鼻炎や咽頭炎の形を取る急性呼吸器感染症です。
年間を通じてみられますが、秋から冬のこの時期の流行が多いです。誘因として、個体の条件(免疫不全、脱水、疲労、飲酒、喫煙など)や環境の変化(乾燥、寒冷)が重要となります。
くしゃみ、鼻汁、咽頭痛や咳嗽、喀痰などの呼吸器症状とともに発熱、関節痛などの全身症状、時に悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。軽い鼻症状の普通感冒から、全身症状の強いインフルエンザまでさまざまです。最も罹患頻度の高い疾患で多くの人が1年に1回以上罹患し、ことに小児において罹患回数が多いです。
通常約1週間の経過で治癒する予後良好の疾患です。ですが、放置すると各種の疾患を誘発、増悪することがあるので、早期の治療が必要となります。とくにお子さんや老人の場合は肺炎の誘発、基礎疾患の増悪をきたし重篤になることがあるので、特に注意が必要となります。
原因としては多岐にわたりますが、その多く(少なくとも70%以上)はウイルスが病原となります。鼻かぜはライノウイルス、RSウイルス、コロナウイルスが原因となりやすいです。
また、のど風邪はアデノウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルス、気管支かぜはアデノウイルスやパラインフルエンザウイルスのほかマイコプラズマやクラミジアが起こしやすいとされます。これら以外では、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、一般細菌などが含まれます。
他の患者からの飛沫感染により、ウイルスが上気道の粘膜上皮細胞に付着、侵入、増殖して感染が成立します。低温・低湿の条件が揃うと感染が成立しやすいですが、その一方でエンテロウイルスのように夏かぜを起こすものもあります。
鑑別すべき疾患には細菌性扁桃炎、細菌性気管支炎、異型肺炎、細菌性肺炎などがあります。細菌感染では膿性痰、白血球数増加などが鑑別の目安となります。異型肺炎はマイコプラズマやクラミジアが関与するので、ウイルス感染と同様に、検査成績があまり動かずに臨床症状や身体所見が強いため、慎重に鑑別する必要があります。
上気道炎の治療
上気道炎の治療としては、以下のようなものがあります。
基本として安静、栄養補給、水分補給、そして咽頭痛や咳などの症状などへの対症療法を行います。ウイルスが原因であることが多いため、かぜ症候群に対し抗菌薬は効果があまりありません(むしろ耐性菌などの発生リスクの原因となる)。インフルエンザでは、ウイルスに直接作用する薬剤がいくつか実用化されましたが、通常のかぜウイルスに対する化学療法は研究途上です。
ですが、その一方で抗菌薬投与が必要な場合もあります。高熱が持続する場合や、膿性喀痰や鼻汁がみられる場合、膿栓・白苔を伴う扁桃腫大、中耳炎・副鼻腔炎の合併、高齢者や糖尿病などの基礎疾患を有するハイリスクグループなどでは、抗菌薬の使用を考えます。
対処療法として解熱・鎮痛薬、非ステロイド性消炎薬、蛋白分解酵素薬を基本とし、症状に応じて含嗽薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬(鼻汁の多い例)を内服します。ですが、過度の投薬やお子さん(特にNSAID喘息など)では注意が必要です。
小児の場合でも、機嫌がよく、水分が摂取できていれば(十分な水分摂取を心がけましょう)心配はないと考えられます。安静・栄養・保温が基本となります。また、室内を乾燥し過ぎないように注意することも重要です。ただ、けいれんや繰り返す嘔吐、呼吸困難、意識障害(とろとろしている)などが出現したら、再受診を要すると考えられます。
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子供の風邪に対して、抗生物質の処方が減った理由
ですが、その一方で抗菌薬投与が必要な場合もあります。高熱が持続する場合や、膿性喀痰や鼻汁がみられる場合、膿栓・白苔を伴う扁桃腫大、中耳炎・副鼻腔炎の合併、高齢者や糖尿病などの基礎疾患を有するハイリスクグループなどでは、抗菌薬の使用を考えます。
対処療法として解熱・鎮痛薬、非ステロイド性消炎薬、蛋白分解酵素薬を基本とし、症状に応じて含嗽薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬(鼻汁の多い例)を内服します。ですが、過度の投薬やお子さん(特にNSAID喘息など)では注意が必要です。
小児の場合でも、機嫌がよく、水分が摂取できていれば(十分な水分摂取を心がけましょう)心配はないと考えられます。安静・栄養・保温が基本となります。また、室内を乾燥し過ぎないように注意することも重要です。ただ、けいれんや繰り返す嘔吐、呼吸困難、意識障害(とろとろしている)などが出現したら、再受診を要すると考えられます。
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