ロス・インディオス&シルヴィアの元ボーカルで、デュエット曲「別れても好きな人」などで知られる歌手のシルヴィア(52)が肺がんのため都内の病院に入院していることが8日、分かった。

関係者によると、肺がんがみつかったのは昨年の5月末。体調不良を訴え、精密検査を受けたところ、すでにステージ4の肺がんで、手術は不可能な状態だった。

その後は月1度の検診や入退院を繰り返しながら抗がん剤や放射線治療を行い、歌手活動も続けてきた。当初、余命半年と言われたが、今年8月には広島・三原市でのイベントに出席し、約40分のステージもこなした。

だが、9月に入って再び体調を崩し、同月下旬に入院。先週末から個室に移ったという。1995年12月に離婚した前夫でフリープロデューサーの中山敏久さん(55)、一人息子の貴大さん(19)が病床に付き添っている。
(シルヴィア 肺がんで闘病中、昨年5月に発見)

肺癌とは


肺癌とは、気管支および肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍で、一般にその生物学的特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数 × 年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます。中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

小細胞癌は、原発性肺癌の15%を占め、きわめて悪性度が高く、発見時にすでに遠隔臓器への転移や肺門縦隔リンパ節転移をみることが多いといわれています。

小細胞肺癌は、重喫煙者で男性に多いです。多くは肺門型(縦隔のある中心部付近に発生しやすいです。ちなみに肺門とは、左右の肺の内側面中央にある部分で、第5から第7胸椎の高さに相当する)で、区域枝から亜区域枝の上皮の基底膜近辺に発生し、気管支粘膜下を長軸方向に浸潤増殖するという特徴があります。

非小細胞肺癌の腺癌は、肺癌全体の約40%を占め、最も頻度の高い組織型です。女性肺癌の80%は腺癌であり、非喫煙者が多いです。ほとんどの症例で気管支肺胞系の末梢に発生し、孤立結節型の増殖を示し、画像上、結節影を形成します。

腫瘍細胞は、肺胞細胞を置換して隣接する肺胞、小葉へと進展します。腺癌の特殊型である細気管支肺胞型は円柱状の腫瘍細胞が肺胞壁に沿って増殖し、新たな腫瘍間質の形成がみられず、臨床的には多量の喀痰を伴い、しばしば肺炎や間質性肺炎と誤診されることもあります。

扁平上皮癌は、腺癌に次いで発生頻度の高い癌で約35%を占めます。多くは重喫煙者で男性に多いです。発症部位は肺門部の主気管支や葉気管支に多く、気管支上皮を癌組織で置換しながら進展し、気管支内腔の狭窄や閉塞をきたします。腫瘍の中心部は壊死を起こしやすく、空洞を形成することも多いです。

治療としては、以下のようなものがあります。
小細胞肺癌は、早期に転移をみることが多く、放射線治療の観点から一照射野か否かの基準として、「限局型」(limited disease; LD)、「進展型」(extensive disease; ED)の分類が用いられることが多いです。化学療法と放射線療法が基本となります。

小細胞肺癌の場合、多くの場合癌は縮小し、消失することもあります。しかし、小細胞肺癌は早くみつかっても既にほかの臓器へ転移していることが多く、治療がよく効いた後も再発する場合も多いです。

抗癌剤には、現在、エトポシド、シスプラチン、カルボプラチン、塩酸イリノテカン、アムルビシンなどの薬剤が主に使われており、シスプラチン/カルボプラチン+エトポシド、シスプラチン+トポテシンなどの組み合わせもしくはアムルビシン(カルセド)単剤などで用いられます。

放射線療法は、全身状態がよく、70歳以下で、限局型が対象であり、抗癌剤(シスプラチン CDDP+エトポシド VP-16など)との同時併用治療が行われます。放射線治療の総線量は50〜55Gyであり、成績として、中間生存期間が14〜18ヶ月、2年生存率30〜40%、5年以上生存率は15〜20%となっています。

また、1回1.5Gy1日2回照射(AHF:accelerated-hyperfractionation法、加速多分割照射法)、総線量45Gyと化学療法の併用で良好な成績が報告されています。

非小細胞肺癌の場合、通常はI期からIIIA期の一部が手術の対象となります(N2 症例に対する手術単独の治療成績は不良であり、集学的治療の対象)。IIIB期症例に対しては、プラチナ製剤を含む化学療法と胸部放射線治療の併用療法が標準であり、IV期は化学療法などが用いられます(ただし、治療意義は生存期間の延長と癌に伴う症状の緩和)。

非小細胞肺癌の場合、シスプラチン/カルボプラチン+タキソールや、特に腺癌ではシスプラチン/カルボプラチン+アリムタなどがまず用いられることが多いです。また、脳転移性腫瘍がある場合は使用できませんが、血管新生阻害薬であるベバシズマブ(アバスチン)なども用いられることもあります。

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