歌手、森山良子(62)が12日、急性咽喉頭気管支炎と急性声帯炎のため、13日に開催予定だった埼玉・川口総合文化センター公演の中止を公式サイトで発表した。

森山は6日にのどの不調を訴え、同日開催予定だった山形・河北町サハトべに花ホール公演を来年2月5日に延期していたが、この日になっても万全な状態に戻らず、自宅で静養中。川口公演は会場の都合で代替開催ができないため、延期ではなく中止を決めた。

関係者は「入院はしていません。声が出にくいので、プロとしてベストのパフォーマンスができないと判断しました」と説明。今月16日の北海道・根室市総合文化会館公演は来年3月21日に、翌17日の同・中札内文化創造センター公演は日時未定ながら延期する。

今後は今月20日の東京・パルテノン多摩公演での復帰を目指す。
(森山良子、急性気管支炎と声帯炎で公演中止)

急性気管支炎とは


気管支炎とは、ウイルスや細菌などの微生物の感染、アレルギー、喫煙・大気汚染ガスなどの吸入などに起因する気管支粘膜の炎症を指します。症状の時間経過により、急性気管支炎と慢性気管支炎に分類されます。

急性気管支炎は、多くは数日で治癒し、全経過は通常2週間以内で、3週間以上続くことはほとんどないといわれています。ですが、高齢者や慢性呼吸器疾患が存在する場合には、肺炎へ進展することもあり用心が必要です。

冬季でインフルエンザが流行してくると、インフルエンザウイルスは気道上皮細胞に親和性があり、これらのウイルスが感染・増殖すると気道上皮の線毛細胞の脱落や変性、気管支粘膜の浮腫、分泌過多が生じます。結果、粘液線毛輸送系(気管に入ってくる異物を排除しようとするところ)が障害され、異物排除能が低下するとともに、二次感染細菌が付着しやすくなり、急性気管支炎の原因ともなります。そのため、肺炎を起こしやすくなり、注意が必要になります。

こうした可能性があるため、急性気管支炎なのか、細菌性の肺炎なのかといった鑑別が重要で、発熱や呼吸、脈拍、胸部聴診所見の異常などがある場合は、肺炎の合併を考えます。

急性気管支炎の診断・治療


診断、治療としては、以下のようなことが言えると思われます。
臨床所見としては、湿性せき(痰をともなう咳)、発熱など下気道症状がみられることが特徴的です。ウイルス感染の場合は、痰はあっても無色透明ですが、細菌感染を合併すると膿性痰にかわってきます。

急性気管支炎では、特異的な検査所見はなく、細菌感染が合併すると末梢血白血球増多、CRP上昇などの炎症反応があります。通常、胸部X線像に異常はみられません。ただ、肺炎などの合併があると、肺野に異常陰影などがあらわれてきて、重要な検査となります。

治療としては、安静休養、水分、栄養分の補給、喫煙などの刺激物質回避が原則で、これにより数日の経過で治癒することが多いです。ただ、合併症が生じたり、重症例では積極的治療が必要となります。

発熱が続いたり,呼吸が苦しそうなときは受診する必要があります。抗ヒスタミン薬は痰を粘稠にして喀出しにくくさせるので注意する必要があります。鎮咳薬は咳による痰の喀出を妨げることがあり、基本的に湿性咳嗽を伴う場合には用いません。抗菌薬は、菌による二次感染が起きた場合、必要となります。

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