頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。一次性頭痛は、はっきりした脳内の病気はない片頭痛、緊張型頭痛など、慢性的ないわゆる頭痛。二次性頭痛は、頭部の外傷、脳血管障害や感染症など頭部の病気によって生じる頭痛です。
二次性頭痛には、死に至るような重篤な病気が原因のものも含まれるので、注意が必要です。突然現れた激しい頭痛、発熱やまひ、視野狭窄、意識障害などを伴う頭痛は、命にかかわる場合もあります。早めに医療機関で精密検査を受けることが望まれます。
慢性の頭痛で最も多いのは、緊張型頭痛です。肩こりの延長で、僧帽筋と側頭筋のこりが原因に。長時間ずっと同じ姿勢でいると起こりやすい頭痛です。子どもでも、受験勉強やゲームへの熱中が原因でしばしば現れる症状です。1時間に1回は、ストレッチをすることが対策になります。
片頭痛は、こめかみを中心にズキンズキンと脈打つような、拍動性の頭痛を感じます。ストレス、睡眠不足や寝過ぎなどが誘因になりやすく、飲食物によって誘発されることもあります。
片頭痛の前触れとして視野に光るジグザグの線が見えたり、生あくびが出ることもあります。片頭痛のメカニズムはまだ不明ですが、脳の血管が拡張し炎症を起こすことがかかわっていると考えられます。そのため治療薬として、血管の拡張と炎症を抑える薬を使用します。
片頭痛の予防は、発症の誘因になるものを避けること。睡眠不足、過労、まぶしい光や騒音、アルコールやチーズまたはチョコレートなどきっかけになる飲食物を極力控えます。
どのタイプの頭痛か不明の場合も含めて「頭痛日記」をつけてみるとよいでしょう。いつ、どのような頭痛か?痛みの強さや持続時間は?他の症状の有無、頭痛の始まりから薬剤の投与までの時間と薬の効果、他に行った対処法も記します。頭痛の誘因がわかったり自分の頭痛に関して理解しやすくなります。また、受診時に治療方針を決めるときにもとても役立ちます。
頭痛は、生活改善や適切な投薬により軽減につなげられる場合も多いのです。
(チョコやチーズで偏頭痛!?「頭痛日記」をつけてみましょう)
上記のように、頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に代表され、いわゆる慢性の頭痛といわれるものです。それぞれの有病率は片頭痛8.4%、(20代女性に限ると約20%)、緊張型頭痛22.3%、群発頭痛0.07−0.09%と報告されており、頻度の高い疾患であるといえます。
二次性頭痛(続発性頭痛)は、脳、血管、鼻、眼、関節、歯などの器質性疾患に起因する頭痛です。原因は多く、生命の危険も存在するところから、特に注意深い診察が必要とされます。
一次性頭痛の代表的なものの1つが片頭痛です。片頭痛とは、拍動性頭痛(ズキンズキンと脈打つような痛み)を主体として、これにさまざまな随伴症状を伴う発作性頭痛です。こうした痛みが月に1〜2回、多い人では週に1〜2回発作性に起き、数時間から3日間ほど続きます。前兆を伴うものと伴わないものがあります。
片頭痛とは、拍動性頭痛(ズキンズキンと脈打つような痛み)を主体として、これにさまざまな随伴症状を伴う発作性頭痛です。片頭痛には前兆を伴うものと伴わないものがあります。
片頭痛の特徴としては、「若くして発症し、女性に多く、主に片側性(両側性もありうる)に繰り返す拍動性の頭痛」です。悪心・嘔吐といった随伴症状を伴いやすく、体動、光、音で痛みが増強します。発作間欠期には症状は示しません。
約3割に視覚異常や麻痺や感覚障害などの前兆を伴う症例(前兆を伴う偏頭痛)があり、しばしば家族歴を有します。中でも、代表的前徴は視野の中心付近から始まるキラキラ光る境界をもつ暗点(閃輝暗点)です。前徴は5〜10分にわたって徐々に進行し、60分以内に治まり、引き続いて頭痛が出現します。
前兆を伴わない片頭痛は、最も多いタイプ(50〜80%)で、明らかな前駆症状を伴わず発現します。頭痛が4〜72時間持続します。日常の動作で増悪することがあり、光過敏、音過敏を認めることがあります。
誘因として空腹や寝不足、寝すぎ、アルコール、月経周期、経口避妊薬、運動、入浴、外出(騒音、暑さ、乾燥、日光での誘発)、匂い、ストレスなどが挙げられます。
こうした誘因をしっかりと把握することで、頭痛がおこることを回避することができるかもしれません。その意味で、記録を残しておくことは重要です。
治療としては、以下のようなものがあります。
軽症例には解熱鎮痛薬(NSAIDsなど)またはエルゴタミン製剤に適宜制吐薬を併用します。トリプタン系薬物とは、セロトニンという1Bと1D受容体に選択的に作用して血管の拡張と炎症を抑える薬です。いずれも発作初期の服用で有効です。
エルゴタミン製剤については有効性も確認されていますが、ほかの内服薬に比し吐き気の副作用が多いため胃腸機能調整薬(プリンペラン、ナウゼリンなど)との併用が有用であるといわれています。
中等から重症なものには、初めからトリプタン系薬剤を用います。ある程度頭痛が強くなってからでも効果がありますが、1錠当たりの薬価が高いというデメリットがあります。また、前兆期には使用できず、冠動脈疾患などを有する患者さんでは使用できません。
発作頻度が高いときや、発作が重度のときが多い場合には、予防治療を併用することもあります。ただ、すぐに効果が発現しない場合もあるので、有効性は少なくとも2ヶ月の投与をする必要があります。Ca拮抗薬(テラナス)やβ遮断薬(インデラル)、抗てんかん薬(デパケン)、抗うつ薬(トリプタノール)などが用いられます。
こうした治療でも反応しにくい患者さんの場合、自己注射が有効なことがあるようです。トリプタンの一つ「スマトリプタン」(商品名イミグラン)の自己注射薬が発売されています。使い方は簡単で、注射液が入ったカートリッジをペン型の注射器にセット、太ももに押し当ててボタンを押します。バネで5 mmほどの針が飛び出して皮膚に刺さり、薬剤が注入されるという仕組みです。
ただし、注射液の値段(健康保険での自己負担額)は1本1,000円強で、錠剤(1錠約300円)の3倍以上となっています。ほかに、医師が使い方を教える指導管理料や、初診時には注射器本体の加算があり、さらに3,000円以上負担が増えてしまいます。
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二次性頭痛には、死に至るような重篤な病気が原因のものも含まれるので、注意が必要です。突然現れた激しい頭痛、発熱やまひ、視野狭窄、意識障害などを伴う頭痛は、命にかかわる場合もあります。早めに医療機関で精密検査を受けることが望まれます。
慢性の頭痛で最も多いのは、緊張型頭痛です。肩こりの延長で、僧帽筋と側頭筋のこりが原因に。長時間ずっと同じ姿勢でいると起こりやすい頭痛です。子どもでも、受験勉強やゲームへの熱中が原因でしばしば現れる症状です。1時間に1回は、ストレッチをすることが対策になります。
片頭痛は、こめかみを中心にズキンズキンと脈打つような、拍動性の頭痛を感じます。ストレス、睡眠不足や寝過ぎなどが誘因になりやすく、飲食物によって誘発されることもあります。
片頭痛の前触れとして視野に光るジグザグの線が見えたり、生あくびが出ることもあります。片頭痛のメカニズムはまだ不明ですが、脳の血管が拡張し炎症を起こすことがかかわっていると考えられます。そのため治療薬として、血管の拡張と炎症を抑える薬を使用します。
片頭痛の予防は、発症の誘因になるものを避けること。睡眠不足、過労、まぶしい光や騒音、アルコールやチーズまたはチョコレートなどきっかけになる飲食物を極力控えます。
どのタイプの頭痛か不明の場合も含めて「頭痛日記」をつけてみるとよいでしょう。いつ、どのような頭痛か?痛みの強さや持続時間は?他の症状の有無、頭痛の始まりから薬剤の投与までの時間と薬の効果、他に行った対処法も記します。頭痛の誘因がわかったり自分の頭痛に関して理解しやすくなります。また、受診時に治療方針を決めるときにもとても役立ちます。
頭痛は、生活改善や適切な投薬により軽減につなげられる場合も多いのです。
(チョコやチーズで偏頭痛!?「頭痛日記」をつけてみましょう)
片頭痛とは
上記のように、頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に代表され、いわゆる慢性の頭痛といわれるものです。それぞれの有病率は片頭痛8.4%、(20代女性に限ると約20%)、緊張型頭痛22.3%、群発頭痛0.07−0.09%と報告されており、頻度の高い疾患であるといえます。
二次性頭痛(続発性頭痛)は、脳、血管、鼻、眼、関節、歯などの器質性疾患に起因する頭痛です。原因は多く、生命の危険も存在するところから、特に注意深い診察が必要とされます。
一次性頭痛の代表的なものの1つが片頭痛です。片頭痛とは、拍動性頭痛(ズキンズキンと脈打つような痛み)を主体として、これにさまざまな随伴症状を伴う発作性頭痛です。こうした痛みが月に1〜2回、多い人では週に1〜2回発作性に起き、数時間から3日間ほど続きます。前兆を伴うものと伴わないものがあります。
片頭痛とは、拍動性頭痛(ズキンズキンと脈打つような痛み)を主体として、これにさまざまな随伴症状を伴う発作性頭痛です。片頭痛には前兆を伴うものと伴わないものがあります。
片頭痛の特徴としては、「若くして発症し、女性に多く、主に片側性(両側性もありうる)に繰り返す拍動性の頭痛」です。悪心・嘔吐といった随伴症状を伴いやすく、体動、光、音で痛みが増強します。発作間欠期には症状は示しません。
約3割に視覚異常や麻痺や感覚障害などの前兆を伴う症例(前兆を伴う偏頭痛)があり、しばしば家族歴を有します。中でも、代表的前徴は視野の中心付近から始まるキラキラ光る境界をもつ暗点(閃輝暗点)です。前徴は5〜10分にわたって徐々に進行し、60分以内に治まり、引き続いて頭痛が出現します。
前兆を伴わない片頭痛は、最も多いタイプ(50〜80%)で、明らかな前駆症状を伴わず発現します。頭痛が4〜72時間持続します。日常の動作で増悪することがあり、光過敏、音過敏を認めることがあります。
誘因として空腹や寝不足、寝すぎ、アルコール、月経周期、経口避妊薬、運動、入浴、外出(騒音、暑さ、乾燥、日光での誘発)、匂い、ストレスなどが挙げられます。
こうした誘因をしっかりと把握することで、頭痛がおこることを回避することができるかもしれません。その意味で、記録を残しておくことは重要です。
治療としては、以下のようなものがあります。
偏頭痛の治療
軽症例には解熱鎮痛薬(NSAIDsなど)またはエルゴタミン製剤に適宜制吐薬を併用します。トリプタン系薬物とは、セロトニンという1Bと1D受容体に選択的に作用して血管の拡張と炎症を抑える薬です。いずれも発作初期の服用で有効です。
エルゴタミン製剤については有効性も確認されていますが、ほかの内服薬に比し吐き気の副作用が多いため胃腸機能調整薬(プリンペラン、ナウゼリンなど)との併用が有用であるといわれています。
中等から重症なものには、初めからトリプタン系薬剤を用います。ある程度頭痛が強くなってからでも効果がありますが、1錠当たりの薬価が高いというデメリットがあります。また、前兆期には使用できず、冠動脈疾患などを有する患者さんでは使用できません。
発作頻度が高いときや、発作が重度のときが多い場合には、予防治療を併用することもあります。ただ、すぐに効果が発現しない場合もあるので、有効性は少なくとも2ヶ月の投与をする必要があります。Ca拮抗薬(テラナス)やβ遮断薬(インデラル)、抗てんかん薬(デパケン)、抗うつ薬(トリプタノール)などが用いられます。
こうした治療でも反応しにくい患者さんの場合、自己注射が有効なことがあるようです。トリプタンの一つ「スマトリプタン」(商品名イミグラン)の自己注射薬が発売されています。使い方は簡単で、注射液が入ったカートリッジをペン型の注射器にセット、太ももに押し当ててボタンを押します。バネで5 mmほどの針が飛び出して皮膚に刺さり、薬剤が注入されるという仕組みです。
ただし、注射液の値段(健康保険での自己負担額)は1本1,000円強で、錠剤(1錠約300円)の3倍以上となっています。ほかに、医師が使い方を教える指導管理料や、初診時には注射器本体の加算があり、さらに3,000円以上負担が増えてしまいます。
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