
肝硬変は、肝細胞が損傷され、自然に修復できなくなる病態で、ウイルス性疾患やアルコール依存症の結果として生じることが多い。
米国家庭医学会(AAFP)によると、肝硬変によくみられる症状には以下のものがある:
・体重減少
・食欲低下
・悪心または吐血
・倦怠感、脱力感または錯乱、注意力の低下
・腹部膨張
・皮膚の痒みまたは手掌紅斑
・月経不順
・黄疸
・濃褐色の尿
肝硬変とは
肝硬変とは、あらゆる慢性肝疾患の終末像です。著明な線維化と再生結節形成を示します。
原因としては、肝炎ウイルスによるものが約80%を占め(HCV 約65%、HBV 約15%)、その他をアルコール(約10%)などが占めます。
肝細胞数の減少、門脈末梢枝圧迫による門脈圧上昇、肝臓内外の門脈と大循環系のシャント(短絡)形成などが起こることにより、諸症状を呈することになります。臨床的に、腹水、浮腫、出血傾向など自他覚所見のみられない時期を「代償期」、自他覚所見がみられるようになると「非代償期」とよびます。
まず、症状ですが、これは以下のように分類することができます。
1)肝細胞機能不全による症状
初期自覚症状として、食欲不良、腹部膨満、体重減少、全身倦怠、発熱などが認められ、他覚的には黄疸、くも状血管腫、手掌紅斑、睾丸萎縮および女性化乳房(男子)と希発月経ないし無月経(女子)、出血傾向などがあります。また、肝性脳症といって、意識障害などをきたすこともあります。
2)門脈圧亢進による症状
腹壁静脈怒張、脾腫、腹水、痔核、食道胃静脈瘤などがあります。食道胃静脈瘤についてはred color(RC)signのみられる食道胃静脈瘤はriskyな静脈瘤であり出血しやすいといわれ、注意が必要です。静脈瘤破裂の結果、大量出血をきたし時に直接死因となりえます。たとえ止血しえても循環動態の障害が進行し肝不全が著明となり死に至ることがあります。
3)門脈・大循環系の短絡形成による症状
比較的まれな症状ですが、著明なシャントの形成により意識障害が生じ種々の異常行動を呈します。時に、肝疾患の存在に気づかず精神科を受診することもあります。
まず、ウイルスマーカー、自己抗体などによるウィルス性肝炎の検索は重要です。肝生検や腹腔鏡で肝臓の再生結節が確認できれば診断できますが、侵襲のある検査なので血液検査や画像診断により診断されることも多いです。
代償期には慢性肝炎との鑑別が必要で、腹部超音波検査やCT/MRIなどの画像検査で肝表面の凹凸不整など再生結節が指摘できれば診断できます。
しかしそれができない場合、血液検査でAST>ALT、アルブミン値低下、凝固機能低下、血小板低下(<10万/μL)、ICG15分停滞値上昇(>25%)などが参考となります。
肝硬変の治療
肝硬変の治療としては、以下のようなものがあります。
まず、一般的治療として、生活習慣の改善が求められます。規則正しい生活を守り、便秘や過労を避けます。バランスのよい食事を心がけるが、塩分は取りすぎると浮腫などの原因となるため、控えめ(7g/日程度)に慣れてもらい、飲酒は原則禁止します。
AST、ALTが高いときや腹水浮腫などの症状があるときは安静が基本になりますが、安定期にはむしろ骨格筋の萎縮を防ぐ目的で、散歩程度の軽い運動は勧められます。AST、ALTが高く、原因治療が困難な場合、肝庇護剤を投与します。肝移植の適応となることもあります。
原因療法は有効なものが多いですが、肝予備能低下例が多いため、インターフェロンなど副作用の強い治療は注意を要します。インターフェロン治療はC型代償性肝硬変のうちセログループ1の低ウイルス量(アンプリコア法で100KIU/mL以下)もしくはセログループ1以外(ウイルス量の制限なし)の症例について天然型インターフェロンβの投与が可能となります。
肝機能の低下により各栄養素の代謝障害が起こることもあります。低アルブミン血症や、窒素バランス異常、低亜鉛血症などが起こりえます。これらを補充するなど、調節することも重要です。
肝臓癌の発生や、出血の危険性の高い食道静脈瘤の早期発見と早期治療が重要なので、症状がなくても腫瘍マーカーを含む血液検査、超音波やCTなどの画像診断、胃カメラなどの定期検査は必要となります。
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