福島県いわき市から、人工透析が必要な患者の新潟県内への受け入れが進んでいる。
18日までに12医療機関が協力を申し出ており、約150人の患者全員が1回目の透析を終えた。人工透析は、週2、3回受けなければ命にかかわるだけに、患者は一様に安堵(あんど)の表情を見せた。
福島県から患者の受け入れ要請を受けた新潟県は17日、胎内市の協力で宿泊施設を確保し、新潟大医歯学総合病院に対応を依頼した。第二内科の成田一衛教授らが、透析設備がある県内の医療機関にメールや電話で協力を要請し、受け入れ可能な患者数を把握していった。
同日午後、患者と医師、看護師ら計約170人がバス7台で県庁に到着。そこから県が用意したバス5台に分乗し、信楽園病院(新潟市西区)や長岡赤十字病院(長岡市)などに向かった。透析には大量の水が必要なため、患者は当分の間、県内で透析を続ける見通しという。
このうち、県内の透析治療の中核病院である信楽園病院は、同日夕方に30人の患者を受け入れた。全員の透析終了が深夜となるのに、患者が夕飯を食べていないことが分かり、急きょ食事を作って提供した。同病院の調理職員や、日勤の看護師、臨床工学技士などが夜間も出勤して対応した。
皆川信院長は「率先して協力するのは当然。ガソリン不足で物流が不安定になったり、医薬品の製造工場が被災したりと、うちにも不安はあるが、人工透析には最優先で取り組みたい」と話す。
透析を受け、胎内市内の避難先に戻った元漁師の志賀功さん(69)は、地震発生直後に高台に上って難を逃れたが、海岸沿いあった自宅は跡形もなくなった。福島県内の避難所に妻と長女を残してきたといい、「治療を受けられて良かった。家族が心配なので、できるだけ早く帰りたい」と話した。須藤重幸さん(52)は「向こうに残る人たちを早く助けてほしい」と訴えた。
医療関係者によると、いわき市以外の被災地からも透析患者が県内に避難を続けており、「このままだと、県内の病院だけでは対応しきれなくなる可能性もある」と事態を憂慮する声も出ている。
(透析患者、150人受け入れ…新潟)
現在、透析療法が導入されている患者さんは、全国で約28万人おり、毎年新たに約3万人が透析導入を余儀なくされています。原因疾患の1位は、糖尿病に合併する糖尿病性腎症です。
腎機能の低下が起こってくると、老廃物の蓄積や水・電解質の不均衡から生体内の恒常維持ができなくなり、いわゆる尿毒症症状を呈してきます。被災地では透析療法が受けられないとなると、命に関わってくる問題となります。
尿毒症の主たる原因物質(尿毒症性物質)として、グアニジン、フェノール、インドールなどの低分子物質、アルカロイド、脂肪族アミン、副甲状腺ホルモンをはじめとするホルモン、ポリペプチドなどが挙げられています。こうしたものを除去する方法として、人工透析があります。
透析療法とは、以下のようなものです。

福島県から患者の受け入れ要請を受けた新潟県は17日、胎内市の協力で宿泊施設を確保し、新潟大医歯学総合病院に対応を依頼した。第二内科の成田一衛教授らが、透析設備がある県内の医療機関にメールや電話で協力を要請し、受け入れ可能な患者数を把握していった。
同日午後、患者と医師、看護師ら計約170人がバス7台で県庁に到着。そこから県が用意したバス5台に分乗し、信楽園病院(新潟市西区)や長岡赤十字病院(長岡市)などに向かった。透析には大量の水が必要なため、患者は当分の間、県内で透析を続ける見通しという。
このうち、県内の透析治療の中核病院である信楽園病院は、同日夕方に30人の患者を受け入れた。全員の透析終了が深夜となるのに、患者が夕飯を食べていないことが分かり、急きょ食事を作って提供した。同病院の調理職員や、日勤の看護師、臨床工学技士などが夜間も出勤して対応した。
皆川信院長は「率先して協力するのは当然。ガソリン不足で物流が不安定になったり、医薬品の製造工場が被災したりと、うちにも不安はあるが、人工透析には最優先で取り組みたい」と話す。
透析を受け、胎内市内の避難先に戻った元漁師の志賀功さん(69)は、地震発生直後に高台に上って難を逃れたが、海岸沿いあった自宅は跡形もなくなった。福島県内の避難所に妻と長女を残してきたといい、「治療を受けられて良かった。家族が心配なので、できるだけ早く帰りたい」と話した。須藤重幸さん(52)は「向こうに残る人たちを早く助けてほしい」と訴えた。
医療関係者によると、いわき市以外の被災地からも透析患者が県内に避難を続けており、「このままだと、県内の病院だけでは対応しきれなくなる可能性もある」と事態を憂慮する声も出ている。
(透析患者、150人受け入れ…新潟)
現在、透析療法が導入されている患者さんは、全国で約28万人おり、毎年新たに約3万人が透析導入を余儀なくされています。原因疾患の1位は、糖尿病に合併する糖尿病性腎症です。
腎機能の低下が起こってくると、老廃物の蓄積や水・電解質の不均衡から生体内の恒常維持ができなくなり、いわゆる尿毒症症状を呈してきます。被災地では透析療法が受けられないとなると、命に関わってくる問題となります。
尿毒症の主たる原因物質(尿毒症性物質)として、グアニジン、フェノール、インドールなどの低分子物質、アルカロイド、脂肪族アミン、副甲状腺ホルモンをはじめとするホルモン、ポリペプチドなどが挙げられています。こうしたものを除去する方法として、人工透析があります。
透析療法とは、以下のようなものです。
透析療法とは、血液を半透膜を用いて透析し、水分および溶質を除去して血液の浄化を図る方法です。急性腎不全や慢性腎不全、透析可能な薬物による中毒(医療用薬剤、農薬、工業薬品など)、急性肝不全などの治療として行われます。
大別して、血液を透析器(ダイアライザー)に導き浄化した後に体内に返血する血液透析(HD)と、透析液を腹腔内に注入し腹膜の半透膜機能を利用して透析を行う腹膜透析(PD)とがあります。
血液透析(HD)とは、カテーテルあるいは皮下の動静脈瘻(シャント)のいずれかにより、血液をダイアライザーに導入し、透析液と透析膜を介して、血液中の高窒素血症、水・電解質異常を是正する方法です。
透析導入の基準としては、
今後、被災地ではどのようにしてこうした人工透析を受ける患者さんを受け入れる病院を確保するのか、そうした取り決めなどを事前に行っていく必要があると考えられます。
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大別して、血液を透析器(ダイアライザー)に導き浄化した後に体内に返血する血液透析(HD)と、透析液を腹腔内に注入し腹膜の半透膜機能を利用して透析を行う腹膜透析(PD)とがあります。
血液透析(HD)とは、カテーテルあるいは皮下の動静脈瘻(シャント)のいずれかにより、血液をダイアライザーに導入し、透析液と透析膜を介して、血液中の高窒素血症、水・電解質異常を是正する方法です。
透析導入の基準としては、
1)乏尿、貧血、重症高血圧、不眠、頭痛、悪心・嘔吐、体液貯留などの臨床症状こうした項目を参考にします。合併症の多い高齢者や糖尿病患者では、生命予後や良好な社会復帰のためにも早めの導入がよいとされています。
2)血清クレアチニン濃度8mg/dl以上か、内因性クレアチニンクリアランス10ml/分以下
3)軽い日常作業が困難
今後、被災地ではどのようにしてこうした人工透析を受ける患者さんを受け入れる病院を確保するのか、そうした取り決めなどを事前に行っていく必要があると考えられます。
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