メンバー・都啓一が血液のがんである濾胞性(ろほうせい)リンパ腫を発病し、治療のため昨年4月から活動を休止していたロックバンド・SOPHIAが13日、約1年4ヶ月ぶりのワンマンライブを東京・日本武道館で行った。

待ちわびたファン1万1000人の前に元気な姿で登場した都は「ただいま」と挨拶し、約3時間半にわたって行われたライブを完走した。

『HAPPY BIRTHDAY SOPHIA 〜SOPHIAが生まれ変わる日〜』と題されたライブでは、「今日という日を本当に待ち望んでいました。がんに勝った都を伴って帰ってきたよ!」とボーカルの松岡充が報告すると、会場は大歓声に包まれた。都の体調を気遣い、休憩を挟む2部構成で行われたライブはアンコールを含め全24曲を披露。デビュー曲「ヒマワリ」から最新曲「cod-E〜Eの暗号〜」まで、デビューから16年の集大成ともいえる内容でファンを魅了した。

途中、都は「1年前は正直不安でいっぱいでした」と当時の心境を語ると、松岡は「都が寛解したのは本当に奇跡」と喜び、「何ができるかわからないけれども、とにかく前に突き進む」と宣言。新たな活動の幕開けとなった彼らの今後の活躍に注目だ。
(SOPHIA、メンバー・都啓一がん克服で復活ライブ)

悪性リンパ腫とは


悪性リンパ腫は、リンパ節や全身のリンパ組織に存在する、リンパ球系細胞の悪性腫瘍です。リンパ節は、首もとやわきの下、足の付け根など、全身にあります。リンパ組織とは、胸腺、脾臓、扁桃腺、リンパ管などにあり、こういったところに発生する可能性があります。

若年者にもみられますが、30歳以上では年齢とともに増加します。男女比は2:1で男性に多いです。日本の悪性リンパ腫の発生率は10万人当たり約5人であり、欧米の約12人に比べて低いです(この理由としては、節性リンパ腫であるHodgkin病と濾胞性リンパ腫の発生率が低いためです。節外性リンパ腫の占める割合が相対的に高くなっています)。

病理組織学的所見から、Hodgkin(ホジキン)病と非Hodgkinリンパ腫(NHL)とに大別されます。

ホジキン病は、リード-ステルンベルグ(Reed-Sternberg)細胞の出現する特徴のあるリンパ腫です(ただ、その起源はまだ分かってません)。背景の多彩な細胞を病理組織学的特徴とするリンパ系腫瘍で、悪性リンパ腫全体の5〜10%を占めます。

好発年齢は若年者と中・高年者の2相性です。ホジキンリンパ腫は頸部に発生することが多く、連続性に進展し、しばしば縦隔に巨大腫瘍をきたします。

非ホジキンリンパ腫の大多数は、Bリンパ球あるいはTリンパ球の腫瘍であることが判明しています。そこで、非ホジキンリンパ腫は、形態学的特徴(病理学的分類)、細胞系質的特徴(B細胞性、T細胞性、NK細胞性)、染色体・遺伝子情報などをもとに分類されます。また、発症してからの病気の進行速度によっても分けることができます(年単位で進行する低悪性度、月単位で進行する中悪性度、週単位で進行する高悪性度など)。

一般的に低悪性度のものには、ろ胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などが該当し、中悪性度のものにはびまん性大細胞性B細胞性リンパ腫や未分化大細胞リンパ腫など、高悪性度のものにはリンパ芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫などが該当します。

濾胞性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫、特にB細胞リンパ腫に含まれます。欧米諸国では悪性リンパ腫の20〜30%を占めるのに対し、日本ではその半分程度(全悪性リンパ腫の約10〜15%)と少ないです。進行が緩徐で、生存期間中央値は7〜10年と比較的長いと言われています。

付加的染色体・遺伝子異常を獲得し、病理組織学的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫へと進展します。治癒しないと考えられるため、病勢が進行し症状が出現するまでは無治療経過観察(watchful waiting)されることが多かった時期がありました。

しかし、リツキシマブが導入され、R-C(H)OPで長期寛解が得られるようになっています。また、寛解維持療法としてのリツキシマブの有効性も示唆されています。

こうした治療については、以下のように行います。

濾胞性リンパ腫の治療


非ホジキンリンパ腫では、低悪性度B細胞リンパ腫の場合、限局期であればは30〜40グレイの局所放射線療法を選択します。胃のMALTリンパ腫であれば、Helicobacter pylori除菌療法が第1選択となります。ですが、染色体転座t(11;18)(q22;q22)をもつ例は除菌療法抵抗性であるため、生検時に確認する必要があります。眼付属器のMALTリンパ腫では、放射線療法を選択するか、無治療で経過観察し増悪傾向がみられたら治療します。

進行期の場合、CHOP(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)療法が標準となっています。

また、最近ではCD20陽性の成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫には、生物学的製剤であるリツキサンが用いられることもあります(海外では再発・難治性の低悪性度群リンパ腫に効果が認められている)。

リツキサンは、進行期濾胞性リンパ腫では、CHOP療法とRituximab(リツキサンのことで、マウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体)の併用療法などが行われています。

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