読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対し、東京女子医大病院 呼吸器内科教授である玉置淳先生は以下のようにお答えになっています。
咳喘息とは、喘鳴が明らかでなく、咳嗽のみを症状とする喘息を指します。病態や治療は慢性の喘息と同じであり、気道反応性の亢進(気道過敏性)が診断の根拠となります。喘鳴(「ヒューヒュー」「ゼェーゼェー」という音が、聴診器を使わずに聞こえる状態)が明らかでなく、咳のみを症状とする喘息のことです。
胸部X線所見や肺機能検査が正常で、慢性の咳嗽を認める疾患として気管支喘息の頻度が高いことから、「咳喘息」と呼ばれます。治療などは、いわゆる喘息と同じであり、慢性の咳を認める疾患として、特に気管支喘息の頻度が高いことから"咳"喘息といわれています。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱などのかぜ症状にせき(咳嗽)を伴っても、通常はかぜ症状の改善と同時に、1週間以内に治まります。しかし、せきだけが長引き、場合によってはますます強くなり睡眠に障害があったり、女性はせきとともに尿がもれたりすることがあります。2ヶ月以上続くと、慢性咳嗽と診断されます。
特徴的なのは気道過敏性といって、健康な人では問題にならないほどの軽微な刺激で、咳き込んでしまうなど、症状が出現することです。原因として多いのは、運動やなどで、他にも煙草の煙、香水などのニオイ、ストレスなどです。
せき喘息は、ヒューヒュー、ゼーゼーいう喘息の前段階で、多くは喘息と同じ治療(気管支拡張薬と吸入ステロイド)で改善します。アトピー咳嗽は、喉のイガイガ感や痰のひっつき感を伴いますが、アレルギー治療に使う抗ヒスタミン薬や吸入ステロイドで治療できます。
治療としては、以下のようなものがあります。
咳喘息も、基本的に気管支喘息治療と同様に行います。咳喘息の場合、風邪とは異なり、鎮咳薬(せきどめ)の効果は少ないといわれています。
治療法としては、急性発作に対しては、気管支拡張薬、ステロイド薬を中心とした治療を行います。気管支拡張薬としては、吸入β2-刺激薬を基本として、キサンチン製剤、抗コリン薬などを用いることもあります。ステロイド薬(炎症を抑える)は経口ないし点滴で用います。
持続する喘息の場合、軽症持続型では少量の吸入ステロイド薬が基本です。キサンチン製剤、β2-刺激薬吸入、抗アレルギー薬は、補助的に用います。中等症〜高度持続型の場合も、吸入ステロイド薬が基本ですが、量は増えます。同様に、キサンチン製剤、β2-刺激薬吸入、抗アレルギー薬を補助的に用いることもあります。
典型的な喘息発作で受診する患者の診断は比較的容易ですが、軽症例・慢性的な症状のある例や、咳喘息例などでは注意深い診断が必要になります。可逆性気流閉塞が認められない場合が多いですが、非特異的気道過敏性、慢性(好酸球性)気道炎症の存在で診断可能となります。
慢性咳嗽を主訴に受診することが多く、喀痰中の好酸球増多と気道過敏性の存在する場合に咳喘息と診断することができます。このような特徴があり、長引く咳がみられた場合、早期に呼吸器内科などを受診されることが望まれます。
【関連記事】
咳喘息−長引く咳にご注意
風邪の後、咳だけ続く…何故?
間違った薬の飲み方 part1−アスピリン喘息
最近咳が止まらず、咳喘息と診断されました。普通の喘息と何が違うのですか。完治は可能なのでしょうか。(67歳女性)
この相談に対し、東京女子医大病院 呼吸器内科教授である玉置淳先生は以下のようにお答えになっています。
「咳喘息」と普通の「喘息」は、実はとてもよく似た病気です。
どちらもその原因の多くは、家の中のダニ、ホコリ、ペットの毛などの抗原に対するアレルギーです。このアレルギーによって気管支の粘膜に慢性的な炎症が生じ、気道全体が異常に敏感な状態(気道過敏性)になると、健康な人なら何でもないような軽い刺激、例えばそれらの抗原や冷たい空気、たばこの煙、大気汚染物質などの吸入で簡単に咳が出てしまいます。これが咳喘息です。
この状態が長期間続くうちに気管支の炎症が強くなり、やがては咳だけではなく、気道を取り囲む「気道平滑筋」が収縮します。すると気道が狭くなって呼吸が苦しくなり、呼吸音に「ヒューヒュー、ゼーゼー」といった音が混じる発作が起きるようになります。これが喘息です。
言い換えると、咳喘息の症状は咳だけで、典型的な喘息発作はありません。このように、「咳喘息」は喘息のうちの最も軽症な型、あるいは「喘息」の前段階というふうに考えられています。
咳喘息とは、喘鳴が明らかでなく、咳嗽のみを症状とする喘息を指します。病態や治療は慢性の喘息と同じであり、気道反応性の亢進(気道過敏性)が診断の根拠となります。喘鳴(「ヒューヒュー」「ゼェーゼェー」という音が、聴診器を使わずに聞こえる状態)が明らかでなく、咳のみを症状とする喘息のことです。
胸部X線所見や肺機能検査が正常で、慢性の咳嗽を認める疾患として気管支喘息の頻度が高いことから、「咳喘息」と呼ばれます。治療などは、いわゆる喘息と同じであり、慢性の咳を認める疾患として、特に気管支喘息の頻度が高いことから"咳"喘息といわれています。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱などのかぜ症状にせき(咳嗽)を伴っても、通常はかぜ症状の改善と同時に、1週間以内に治まります。しかし、せきだけが長引き、場合によってはますます強くなり睡眠に障害があったり、女性はせきとともに尿がもれたりすることがあります。2ヶ月以上続くと、慢性咳嗽と診断されます。
特徴的なのは気道過敏性といって、健康な人では問題にならないほどの軽微な刺激で、咳き込んでしまうなど、症状が出現することです。原因として多いのは、運動やなどで、他にも煙草の煙、香水などのニオイ、ストレスなどです。
せき喘息は、ヒューヒュー、ゼーゼーいう喘息の前段階で、多くは喘息と同じ治療(気管支拡張薬と吸入ステロイド)で改善します。アトピー咳嗽は、喉のイガイガ感や痰のひっつき感を伴いますが、アレルギー治療に使う抗ヒスタミン薬や吸入ステロイドで治療できます。
治療としては、以下のようなものがあります。
この病気はアレルギーが原因ですので、風邪などとは違って完治は難しいのですが、薬によって症状をコントロールすることは可能です。
最近では、咳喘息の状態で治療せずに放置しておくと、患者の3人に1人は将来的に喘息になると言われています。そのため、咳喘息と診断された段階で吸入ステロイドなどの抗炎症薬による治療を行うことが勧められます。
咳喘息も、基本的に気管支喘息治療と同様に行います。咳喘息の場合、風邪とは異なり、鎮咳薬(せきどめ)の効果は少ないといわれています。
治療法としては、急性発作に対しては、気管支拡張薬、ステロイド薬を中心とした治療を行います。気管支拡張薬としては、吸入β2-刺激薬を基本として、キサンチン製剤、抗コリン薬などを用いることもあります。ステロイド薬(炎症を抑える)は経口ないし点滴で用います。
持続する喘息の場合、軽症持続型では少量の吸入ステロイド薬が基本です。キサンチン製剤、β2-刺激薬吸入、抗アレルギー薬は、補助的に用います。中等症〜高度持続型の場合も、吸入ステロイド薬が基本ですが、量は増えます。同様に、キサンチン製剤、β2-刺激薬吸入、抗アレルギー薬を補助的に用いることもあります。
典型的な喘息発作で受診する患者の診断は比較的容易ですが、軽症例・慢性的な症状のある例や、咳喘息例などでは注意深い診断が必要になります。可逆性気流閉塞が認められない場合が多いですが、非特異的気道過敏性、慢性(好酸球性)気道炎症の存在で診断可能となります。
慢性咳嗽を主訴に受診することが多く、喀痰中の好酸球増多と気道過敏性の存在する場合に咳喘息と診断することができます。このような特徴があり、長引く咳がみられた場合、早期に呼吸器内科などを受診されることが望まれます。
【関連記事】
咳喘息−長引く咳にご注意
風邪の後、咳だけ続く…何故?
間違った薬の飲み方 part1−アスピリン喘息