YOUMIURI ONLINEで、「萎縮性胃炎 がんが心配」という記事が掲載されていました。
この相談に対して、昭和大藤が丘病院 消化器内科教授である高橋寛さんは、以下のようにお答えになっています。
慢性胃炎とは、胃の粘膜が持続的に炎症を起こし、粘膜の性状が変質する病気です。内視鏡検査によって診断すると、「表層性胃炎」、「萎縮性胃炎」、「肥厚性胃炎」の3つに分けることができます。
・表層性胃炎
胃の粘膜の表面だけに軽い炎症が起こったもの。そのまま萎縮性胃炎に移行するものもあります。
・萎縮性胃炎
胃の粘膜が薄くなり、胃腺が働かなくなって粘膜が萎縮してきます。高齢になるほど萎縮性胃炎の人の割合が増えてきます。
・肥厚性胃炎
萎縮性胃炎と逆に胃の粘膜が厚くなります。胃液や、その中の胃酸の分泌が増加し、過酸症がみられることがあります。
慢性胃炎の症状としては、上腹部の不快感や胃もたれなどがあらわれることがありますが、慢性胃炎特有の症状といったものはありません。また、長期にわたって自覚症状がない場合もあります。
疼痛は40〜85%にみられ、鈍痛のことが多いようです。また、膨満感、あるいは胃の存在を自覚するという訴えが20〜70%にみられます。その他、食欲不振、胸やけ、げっぷなどもしばしば認められます。
治療としては、以下のようなものがあります。
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は幼児時に経口感染し、胃に数十年すみ続け、慢性胃炎を起こします。日本では40代以上の7割が感染しているといいます。
日本の全人口の約50%が感染しているのではないかといわれ、年代が高い方が感染率も高いといわれています。そして、胃癌では最も重要な発がん因子であるとされています。
一般的に、病院で行われている除菌治療は、抗生物質2剤と、一過性の胃酸過多による副作用を防止するためのプロトンポンプ阻害薬の併用が標準的です。
国内では、プロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾールまたはオメプラゾールまたはラベプラゾール)+ クラリスロマイシン + アモキシシリンの3剤併用が健康保険の適用となっています(ただし保険適応は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍がある場合)。
ですが、最近ではクラリスロマイシン耐性菌株が増えてきてしまっているそうです。そこで除菌できていなかったら、メトロニダゾールに変えて再除菌するようです。副作用は、軟便や下痢、薬剤性皮疹などであり一般に軽微であるとされています。
除菌判定は治療薬剤の内服終了後6〜8週の時点で行います。少なくとも培養法、鏡検法、尿素呼気試験の3種類の検査法を用い、すべての検査が陰性であれば陰性とし、その症例を除菌成功例とします。さらに診断精度を上げるため、治療中止後6ヶ月、12ヶ月の時点で除菌判定を追加して行うことが望ましいといわれています。
6年前、胃の内視鏡検査を受け、萎縮性胃炎と診断されました。薬は効果がありません。ピロリ菌はいないようですが、がんになる可能性が高いと言われ、不安でなりません。(68歳女性)
この相談に対して、昭和大藤が丘病院 消化器内科教授である高橋寛さんは、以下のようにお答えになっています。
萎縮性胃炎は、胃粘膜の慢性的な炎症によって、萎縮が起こる現象です。約80%がピロリ菌の感染によるもので、その他の原因としては化学物質や全身疾患が関係しています。
腹部の不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、痛みなどを訴えることもありますが、自覚症状がない場合も多く、特有の症状はありません。
診断は造影剤(バリウム)を飲むエックス線検査や内視鏡検査で行います。根本的な治療法はなく、一般的には自覚症状がなければ治療の必要はありません。
慢性胃炎とは、胃の粘膜が持続的に炎症を起こし、粘膜の性状が変質する病気です。内視鏡検査によって診断すると、「表層性胃炎」、「萎縮性胃炎」、「肥厚性胃炎」の3つに分けることができます。
・表層性胃炎
胃の粘膜の表面だけに軽い炎症が起こったもの。そのまま萎縮性胃炎に移行するものもあります。
・萎縮性胃炎
胃の粘膜が薄くなり、胃腺が働かなくなって粘膜が萎縮してきます。高齢になるほど萎縮性胃炎の人の割合が増えてきます。
・肥厚性胃炎
萎縮性胃炎と逆に胃の粘膜が厚くなります。胃液や、その中の胃酸の分泌が増加し、過酸症がみられることがあります。
慢性胃炎の症状としては、上腹部の不快感や胃もたれなどがあらわれることがありますが、慢性胃炎特有の症状といったものはありません。また、長期にわたって自覚症状がない場合もあります。
疼痛は40〜85%にみられ、鈍痛のことが多いようです。また、膨満感、あるいは胃の存在を自覚するという訴えが20〜70%にみられます。その他、食欲不振、胸やけ、げっぷなどもしばしば認められます。
治療としては、以下のようなものがあります。
症状がある場合は、胃酸分泌抑制剤や胃粘膜防御因子薬、消化管運動機能調節剤などを使用します。
ピロリ菌が関与していれば除菌治療をします。ただし、胃潰瘍など特定の病気以外では保険がききません。除菌の副作用は主に抗生物質による下痢、味覚障害などです。まれにショック症状や出血性大腸炎などが起きます。胸やけなどが強くなることもありますが一時的なものです。
萎縮性胃炎は長期化すると、腸上皮化生(腸の粘膜に類似した組織)へと進行します。腸上皮化生は胃がんとの関連が深いと言われていますが、年に1度の定期検診で、早期に発見できますので過度な心配はしないようにしましょう。
日常生活ではできるだけストレスを避け、刺激の強い食品の摂取は控えた方が良いでしょう。治療や経過観察については、エックス線や内視鏡検査ができる消化器専門医に相談されると良いでしょう。
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は幼児時に経口感染し、胃に数十年すみ続け、慢性胃炎を起こします。日本では40代以上の7割が感染しているといいます。
日本の全人口の約50%が感染しているのではないかといわれ、年代が高い方が感染率も高いといわれています。そして、胃癌では最も重要な発がん因子であるとされています。
一般的に、病院で行われている除菌治療は、抗生物質2剤と、一過性の胃酸過多による副作用を防止するためのプロトンポンプ阻害薬の併用が標準的です。
国内では、プロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾールまたはオメプラゾールまたはラベプラゾール)+ クラリスロマイシン + アモキシシリンの3剤併用が健康保険の適用となっています(ただし保険適応は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍がある場合)。
ですが、最近ではクラリスロマイシン耐性菌株が増えてきてしまっているそうです。そこで除菌できていなかったら、メトロニダゾールに変えて再除菌するようです。副作用は、軟便や下痢、薬剤性皮疹などであり一般に軽微であるとされています。
除菌判定は治療薬剤の内服終了後6〜8週の時点で行います。少なくとも培養法、鏡検法、尿素呼気試験の3種類の検査法を用い、すべての検査が陰性であれば陰性とし、その症例を除菌成功例とします。さらに診断精度を上げるため、治療中止後6ヶ月、12ヶ月の時点で除菌判定を追加して行うことが望ましいといわれています。