日本コンタクトレンズ学会は3月7日、カラーコンタクトレンズ(カラーCL)による眼障害の実態について調べた調査の結果を発表した。報告された約400例の眼障害のうち、視力障害が残る可能性がある症例が2.8%いたことが分かった。

日本コンタクトレンズ学会カラーコンタクトレンズ障害調査小委員会は、カラーCLによる眼障害の実態把握に加え、医師が医療機器の安全性情報報告書の提出を後押しする目的で調査を実施。2012年7月1日〜9月30日までの3カ月間に395例の眼障害の情報が学会に寄せられ、同学会が厚生労働省に報告した。

眼障害を起こした患者の年齢は、15〜19歳が40.5%、20〜24歳が30.1%で若年者が中心だった。購入先は、インターネット販売や通信販売が52.7%、大型ディスカウントショップや雑貨店・化粧品店が28.4%と大半を占めており、眼科施設に隣接した量販店や販売店は14.7%だけだった。購入時に眼科を受診した患者も13.4%にとどまり、若年者が眼科を受診せずにインターネットなどでカラーCLを購入し、眼障害に至る実態が明らかになった。

395例のうち、カラーCLを毎日装用していたのは64.6%で、装用時間は8〜16時間が53.2%、16時間以上が17.2%。眼障害を起こした例の多くが毎日長時間にわたってカラーCLを装用していた。洗浄や消毒など正しいケアをしていた例も33.4%いたが、していなかった例も35.5%と多かった。

充血(58.0%)や疼痛(44.4%)、異物感(30.0%)、眼脂(26.2%)、流涙(17.3%)、かすみ(14.1%)、かゆみ(11.9%)、乾燥感(10.6%)、視力低下(8.0%)と、眼障害を起こした患者のほとんどが何らかの症状を自覚していた。受診時の所見は、点状表層角膜症(36.6%)が最も多く、他にもアレルギー性結膜炎(21.9%)、毛様充血(17.8%)、角膜浸潤(17.2%)、角膜びらん(15.8%)、角膜潰瘍(5.3%)、巨大乳頭結膜炎(4.4%)、角膜新生血管(3.7%)、虹彩炎(2.8%)、低矯正・過矯正(1.3%)、角膜内皮細胞減少(1.1%)が認められた。2.8%の症例には、視力障害が残る可能性があった。

一般にカラーCLは、視力補正のために装用するCLと比べ、酸素透過性が低い素材が使われている製品が多い。日本コンタクトレンズ学会理事でウエダ眼科(山口県下関市)院長の植田喜一氏は「色素が入っておりレンズが厚いため酸素不足になったり、サイズが大きいため角膜や結膜に吸着しやすい」と指摘する。色素がレンズの深層に封入されているものばかりでなく、レンズの外面や内面に色素が印刷された製品もあり、それらの製品については色素が角膜を擦るのではないかといった懸念が聞かれる。
(カラーCL装用者に点状表層角膜症や角膜潰瘍)

コンタクトにまつわる疾患とは


コンタクトにまつわる疾患には、以下のようなものがあります。
角膜は、涙から酸素を取り入れていますが、角膜がコンタクトレンズに覆われると酸素不足になり、角膜は傷つきやすくなってしまいます。さらに、コンタクトレンズを装用している目では涙の量が不安定なことが多く、角膜表面が乾燥して、ドライアイを引き起こしてしまいます。

ドライアイとは、涙の量が少なくなったり、成分が変化する事により、眼球の表面が乾燥し、傷や障害が生じる病気です。涙が減少すると、涙の役割が低下し、眼は乾いて角膜が傷つきます。重症になると角膜の表面に無数の傷がつきます。結果として、目の乾燥感や目の疲れがでたり、肩が凝ったり、頭痛を引き起こしたりしてしまいます。集中力の低下により、仕事の能率低下なども問題となることがあります。

最近では、コンタクトレンズ、とくにソフトコンタクトレンズで問題となることが多いようです。全国の眼科医療機関に対して行ったコンタクトレンズ眼障害の調査によれば、10%の人になんらしらかの障害が起こっているようです。

他にも、しっかりと消毒や装用時間・期限を守らなければ、細菌や真菌に感染するリスクが上がります。特に注目されているのが、失明の危険の高いアカントアメーバ角膜炎です。

こうした危険性を下げるためにも、洗浄や消毒を適切に行う、装用時間を守る、使用期限を守る、装用したまま眠らない、自覚できる異常が無くても定期的に医師の検診を受けるなど、医師の指示を守って正しく使用することが何よりも重要であるとされています。