yomiDr 医療相談室にて、「繰り返す膀胱炎 原因わからず」が掲載されていました。

膀胱炎を繰り返しますが、内科や婦人科、泌尿器科で検査をしても、原因となる菌は見つからず、薬でも良くなりません。憂うつな毎日です。良い治療法はないでしょうか?(63歳女性)


この相談に対して、東京女子医大東医療センター・骨盤底機能再建診療部長である巴ひかる先生は以下のようにお答えになっています。

一般的に膀胱炎といわれるのは「急性細菌性膀胱炎」で、そのほとんどが大腸菌が尿道から感染して起きる尿路感染症です。3大症状は
1) トイレにすぐ行きたくなる頻尿
2) 排尿中や終わる時に痛む排尿痛
3) 尿が白っぽく濁る尿混濁
です。抗菌薬で治療し、薬が合えば5日程度で治ります。

予防には、前から後ろに拭く、便秘に気をつける、生理用や尿漏れ用パッドはまめに交換する、性行為前のシャワーや性行為後の早めの排尿を心がける、陰部をせっけんで洗いすぎないなどのうち、思い当たる点があれば改善しましょう。

急性細菌性膀胱炎の診断には、尿中に白血球や細菌が認められることが必須要件ですので、質問者は違うようです。

慢性の膀胱炎には放射線性、薬剤性、結核性膀胱炎や、診断されにくい「間質性膀胱炎」があります。主な症状は、膀胱や陰部の痛みや不快感で、頻尿を伴います。間質性膀胱炎は膀胱の粘膜が欠損し、尿が染み込んで痛みを感じると考えられています。専門医の受診が必要ですが質問者はこれとも異なるようです。

日中は頻尿でも夜間は起きず、起床時の排尿量が300ミリ・リットルを超えるなら「心因性(神経性)頻尿」の可能性もあります。排尿日誌をつけると良いかもしれません。この場合、膀胱機能は損なわれてはいませんので、少しずつ尿意を我慢する訓練や、カウンセリング、軽い精神安定剤などが効果があります。

心因性(神経性)頻尿とは


排尿回数が異常に多いことを頻尿といいます。排尿回数は、強い尿意を知覚する機能性膀胱容量(日本人では約400ml)と1日に産生される総尿量によって規定されます。摂取する水分量や不感蒸泄量によって左右されますが、一般的には1日10回以上、就眠時 2回以上をいいます。

心因性(神経性)頻尿は、日中の1回尿量の減少を認めるが、1日総尿量や起床時尿量(早朝尿)は正常といった特徴があります。心因性の頻尿は、覚醒時のみのことがほとんどです。排尿記録より1日総尿量、覚醒時・就眠時の1回尿量、排尿回数などがわかるため、多飲多尿や心因性頻尿も鑑別できる大きな手がかりとなります。