yomiDr 医療相談室で、「ろれつが回らない どんな病気の可能性?
2、3年前から徐々にろれつが回らなくなり始めました。年を追うごとに症状は進行し、今では、口が大きく動かないせいか明瞭な話ができないだけでなく、緊張すると吃るようになり普段のコミュニケーションもやや億劫になっています。他には口角に垂涎を覚える、知らずと目を閉じてしまう、歩行時左の足が突っかかり気味となる、排尿や排便が難しくなるなどの症状が出ています。どんな病気の可能性が有り、何科を受診するのが適当だと考えられるでしょうか。(59歳男性)

この相談に対して、島根大学学長 小林祥泰先生は、以下のようにお答えになっています。
ろれつが回りにくい症状(構音障害)が緩徐に進行しているのが特徴です。構音障害は脳卒中でよく起こりますがその場合は突発するので、本例は難病の神経変性疾患が疑われます。

ヨダレが出るのは軽度の嚥下障害がある可能性があります。知らずと目を閉じてしまうというのは瞼の力が抜けて下がるのではなく、パーキンソン症候群などでみられる開眼しにくい開眼失行の可能性もあります。また軽度の左下肢の麻痺(痙性?)もあるようです。

緩徐進行性の構音障害、嚥下障害(この症状を球麻痺といいます)は難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の特徴でもありますが、ALSでは排尿障害などの自律神経障害を伴わないのが特徴ですので否定的です。

球麻痺、運動麻痺、自律神経障害などいくつもの神経系統が障害される多系統変性症という神経変性疾患の可能性があります。経験を積んだ神経内科専門医がMRIその他の高度な検査機器を使って診断する必要がありますので、この分野の専門家のいる大学病院の神経内科を受診されたがよいと思います。ただ、もしこの病気と診断された場合、治療法は対症療法に限られることも念頭に置く必要があります。


多系統萎縮症(変性症)


多系統萎縮症(変性症)とは、以下の様なものです。
多系統萎縮症とは、小脳性運動失調、パーキンソン症候,自律神経症候などを呈する神経変性疾患の一部であり、オリーブ・橋・小脳萎縮症(OPCA),線条体黒質変性症(SND)およびシャイ・ドレーガー症候群の3者を包括する病理学的概念といわれています。

オリーブ・橋・小脳萎縮症(OPCA)型は小脳性運動失調で初発し、線条体黒質変性症(SND)型は筋固縮,動作緩慢などのパーキンソン症候で、シャイ・ドレーガー症候群は起立性低血圧、排尿障害、発汗減少、陰萎などの自律神経症候でそれぞれ初発しますが、進行とともに程度の差はあるが他の症候も徐々に出そろうと言われています。

それぞれの疾患に関する説明としては、以下が詳しいです。
線条体黒質変性症
オリーブ橋小脳萎縮症
シャイ・ドレーガー症候群