米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿「私の医学的な選択」の中で、がん抑制遺伝子(BRCA1)の変異が見つかり、予防のため両乳房の全摘手術(ダブル・マステクトミー)と再建手術を受けていたことを告白した。
ジョリーさんの選択と、それを支えたパートナーのブラット・ピットさん(49)の愛情をたたえたい。ジョリーさんの告白は、女性が抱える乳がんリスクとそれを予防する遺伝子検査の重要性、全摘手術への偏見と再建手術への希望にスポットライトを当てた。
「ダブル・マステクトミー」と宣告されたショックと、それを受け止められるようになるまでの葛藤は、乳がんを患った女性とその家族でなければなかなか理解できないだろう。
(アンジェリーナ・ジョリーの選択)
遺伝性(家族性)乳癌とは、同一家系内に多数の乳癌患者が集積し、通常 3 名以上、2名の場合でも若年発生、両側乳癌、他臓器癌(卵巣癌など)の合併をみる場合を指します。全乳癌の5〜10 %であると言われています。
多くは遺伝的要因で発症する遺伝性乳癌であり、家族性乳癌の原因遺伝子として、BRCA1、BRCA2、BRCA3が同定されています。
BRCA1遺伝子は、第17番染色体長腕(17q21)に存在します。BRCA1蛋白は、放射線感受性蛋白Rad51と複合体を形成することから、DNA損傷時の組換え修復に関与し、ゲノムの安定性を制御していると考えられています。また、転写活性化能を有する領域が存在し、転写因子としても機能していることが推測されています。
BRCA1は、全長は約100kbにわたる大きな遺伝子であり、転写産物の大きさは7.8kbで、精巣、胸腺で強く発現し、乳腺、卵巣でも発現を認めます。乳癌で家族性を認める症例は全体の約10%であり、そのうちの約45%にBRCA1の異常が関与するといわれています。また、乳癌家系の一部には卵巣癌も集積している家系があり、これらの家系では約80%にBRCA1の異常が関与すると考えられています。
BRCA2遺伝子は、第13番染色体長腕(13q12-13)に存在します。BRCA2蛋白は、放射線感受性蛋白Rad51と複合体を形成し、またヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を有することから、DNA複製や損傷時の組換え修復に機能すると考えられています。さらに、N末端付近の領域には、転写活性化能を有します。
BRCA2は、家族性乳癌に関連する癌抑制遺伝子としてBRCA1につづき,1995年Woosterらによって分離同定されています。家族性乳癌家系の約35〜45%に関与するといわれていますが、卵巣癌のリスクも高めるという報告があります。
ジョリーさんの選択と、それを支えたパートナーのブラット・ピットさん(49)の愛情をたたえたい。ジョリーさんの告白は、女性が抱える乳がんリスクとそれを予防する遺伝子検査の重要性、全摘手術への偏見と再建手術への希望にスポットライトを当てた。
「ダブル・マステクトミー」と宣告されたショックと、それを受け止められるようになるまでの葛藤は、乳がんを患った女性とその家族でなければなかなか理解できないだろう。
(アンジェリーナ・ジョリーの選択)
遺伝性(家族性)乳癌とは
遺伝性(家族性)乳癌とは、同一家系内に多数の乳癌患者が集積し、通常 3 名以上、2名の場合でも若年発生、両側乳癌、他臓器癌(卵巣癌など)の合併をみる場合を指します。全乳癌の5〜10 %であると言われています。
多くは遺伝的要因で発症する遺伝性乳癌であり、家族性乳癌の原因遺伝子として、BRCA1、BRCA2、BRCA3が同定されています。
BRCAとは
BRCA1遺伝子は、第17番染色体長腕(17q21)に存在します。BRCA1蛋白は、放射線感受性蛋白Rad51と複合体を形成することから、DNA損傷時の組換え修復に関与し、ゲノムの安定性を制御していると考えられています。また、転写活性化能を有する領域が存在し、転写因子としても機能していることが推測されています。
BRCA1は、全長は約100kbにわたる大きな遺伝子であり、転写産物の大きさは7.8kbで、精巣、胸腺で強く発現し、乳腺、卵巣でも発現を認めます。乳癌で家族性を認める症例は全体の約10%であり、そのうちの約45%にBRCA1の異常が関与するといわれています。また、乳癌家系の一部には卵巣癌も集積している家系があり、これらの家系では約80%にBRCA1の異常が関与すると考えられています。
BRCA2遺伝子は、第13番染色体長腕(13q12-13)に存在します。BRCA2蛋白は、放射線感受性蛋白Rad51と複合体を形成し、またヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を有することから、DNA複製や損傷時の組換え修復に機能すると考えられています。さらに、N末端付近の領域には、転写活性化能を有します。
BRCA2は、家族性乳癌に関連する癌抑制遺伝子としてBRCA1につづき,1995年Woosterらによって分離同定されています。家族性乳癌家系の約35〜45%に関与するといわれていますが、卵巣癌のリスクも高めるという報告があります。
現在臨床応用されているのはBRCA遺伝子であり、BRCA遺伝子変異に原因するHBOCが診断可能であり、BRCA遺伝子診断の研究もこれまでにいくつかなされています。
アメリカでは、第二度近親に乳癌あるいは卵巣癌の家族歴を有する乳癌あるいは卵巣癌患者を対象とした10,000例のBRCA遺伝子診断の解析報告があり、変異陽性率は約17%であったとされています。
家族性乳癌を診療する上では、遺伝子診断が必要であるとされます。しかし、遺伝子診断の検査料が高額であり保険適応がないこと、家族歴が濃厚でも陰性の場合がかなりあること、陰性の場合でも遺伝性乳癌が否定できないこと、などの問題で一般臨床として普及する状況には未だ至っていません。
もし近親者に乳癌の方がいて、ご心配であるといったケースでは、お考えいただくのもいいかもしれません。
ちなみに、検査が受けられる施設は、「遺伝子検査はどこで受けられるの?」に掲載されています。
【関連記事】
乳癌の再発および肺や骨髄への転移を告白−川村カオリさん
耳鼻咽喉科医である小倉恒子さん、乳癌で亡くなる
早期乳癌と診断され、手術していた−ジェーン・フォンダさん
アメリカでは、第二度近親に乳癌あるいは卵巣癌の家族歴を有する乳癌あるいは卵巣癌患者を対象とした10,000例のBRCA遺伝子診断の解析報告があり、変異陽性率は約17%であったとされています。
家族性乳癌を診療する上では、遺伝子診断が必要であるとされます。しかし、遺伝子診断の検査料が高額であり保険適応がないこと、家族歴が濃厚でも陰性の場合がかなりあること、陰性の場合でも遺伝性乳癌が否定できないこと、などの問題で一般臨床として普及する状況には未だ至っていません。
もし近親者に乳癌の方がいて、ご心配であるといったケースでは、お考えいただくのもいいかもしれません。
ちなみに、検査が受けられる施設は、「遺伝子検査はどこで受けられるの?」に掲載されています。
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