米国神経学会(AAN)は5月15日、皮膚癌を有する患者では、アルツハイマー病の発症の確率が低下するとの研究所見を、Neurology誌のオンライン版で紹介した。ただし、こうした関連性は、悪性黒色腫については認められない。
この試験には、平均年齢79歳の1102人が参加した。これらの参加者は、試験開始時には、認知症を発症していなかった。追跡調査の期間は、平均3.7年間であった。試験開始時に皮膚癌の既往歴を有していたのは109人であった。試験期間中に皮膚癌および認知症を発症したのは、それぞれ32人および126人(アルツハイマー型認知症を発症した100人を含む)であった。
皮膚癌を有する人々では、アルツハイマー病の発症の確率が、皮膚癌を有さない人々よりも約80%低くなっていた。皮膚癌の発症と、アルツハイマー病のリスク低下との関連性については、「身体的な活動が、認知症のリスク低下に関連することが分かっており、戸外での活動は紫外線への暴露量の増加につながる可能性があり、ひいては、皮膚癌のリスク増加を招く可能性がある」という視点から説明できる。
ただし、こうした所見は、日焼け止めの使用などの、皮膚癌に対する予防措置が不要であるということを意味するものではない。この試験を実施した研究者は、「こうした試験結果が、アルツハイマー病に対する我々の理解を深め、より効果的な予防法や治療法の開発につなげていけることを期待している」と述べている。
(皮膚癌、アルツ発症減と関連 【米国神経学会】)
あくまでも日焼け止めなどの紫外線対策をしなくて良い、というわけではなく、「身体的な活動が、認知症のリスク低下に関連することが分かっており、戸外での活動は紫外線への暴露量の増加につながる可能性があり、ひいては、皮膚癌のリスク増加を招く可能性がある」ということにご注意ください。
紫外線対策もしつつ、アクティブに動くことが認知症のリスクを低下させる、ということですね。
認知症は65歳以上の高齢者の8 %以上を占め、加齢により発症率・有病率ともに急増します。日本では、人口の高齢化に伴い今後20年間で患者数は倍増すると見込まれます。2大原因疾患は、1) アルツハイマー病と2) 脳血管性認知症です。
アルツハイマー病とは、初老期〜老年期に認知症を生ずる代表的な変性疾患です。簡単に言ってしまえば、何らかの原因によって大脳皮質の神経細胞が少しずつ死滅し、脳が萎縮、記憶や意欲など生きるために必要な能力が徐々に失われていく疾患です。
この試験には、平均年齢79歳の1102人が参加した。これらの参加者は、試験開始時には、認知症を発症していなかった。追跡調査の期間は、平均3.7年間であった。試験開始時に皮膚癌の既往歴を有していたのは109人であった。試験期間中に皮膚癌および認知症を発症したのは、それぞれ32人および126人(アルツハイマー型認知症を発症した100人を含む)であった。
皮膚癌を有する人々では、アルツハイマー病の発症の確率が、皮膚癌を有さない人々よりも約80%低くなっていた。皮膚癌の発症と、アルツハイマー病のリスク低下との関連性については、「身体的な活動が、認知症のリスク低下に関連することが分かっており、戸外での活動は紫外線への暴露量の増加につながる可能性があり、ひいては、皮膚癌のリスク増加を招く可能性がある」という視点から説明できる。
ただし、こうした所見は、日焼け止めの使用などの、皮膚癌に対する予防措置が不要であるということを意味するものではない。この試験を実施した研究者は、「こうした試験結果が、アルツハイマー病に対する我々の理解を深め、より効果的な予防法や治療法の開発につなげていけることを期待している」と述べている。
(皮膚癌、アルツ発症減と関連 【米国神経学会】)
あくまでも日焼け止めなどの紫外線対策をしなくて良い、というわけではなく、「身体的な活動が、認知症のリスク低下に関連することが分かっており、戸外での活動は紫外線への暴露量の増加につながる可能性があり、ひいては、皮膚癌のリスク増加を招く可能性がある」ということにご注意ください。
紫外線対策もしつつ、アクティブに動くことが認知症のリスクを低下させる、ということですね。
アルツハイマー病とは
認知症は65歳以上の高齢者の8 %以上を占め、加齢により発症率・有病率ともに急増します。日本では、人口の高齢化に伴い今後20年間で患者数は倍増すると見込まれます。2大原因疾患は、1) アルツハイマー病と2) 脳血管性認知症です。
アルツハイマー病とは、初老期〜老年期に認知症を生ずる代表的な変性疾患です。簡単に言ってしまえば、何らかの原因によって大脳皮質の神経細胞が少しずつ死滅し、脳が萎縮、記憶や意欲など生きるために必要な能力が徐々に失われていく疾患です。
記銘力障害(物忘れ)、失見当識(日付や今いる場所などが分からなくなります)で発症し、中期には失認・失行(以前できていたことが分からない、行えない)のため、日常生活に支障をきたします。ほかにも、物盗られ妄想(自分でどこかにしまってしまって忘れてしまっているのに、誰かに盗られたと思い込んでしまう)や徘徊(出歩いて帰れなくなる)、不眠などの周辺症状のため、介護負担が大きいことも問題となります。
日本では、65歳以上での認知症の約半数がアルツハイマー型痴呆とされています。一般には65歳以上の高齢者に多い病気ですが、40歳から50歳という働き盛りで発症してしまうこともあります。これは「若年性アルツハイマー病」と呼ばれ、通常より進行が早いのが特徴です。
神経病理学的特徴としては、老人斑、神経原線維変化、神経細胞脱落などがあります。上記にもありますが、沈着するβ蛋白が発症に大きく関わっているといわれています。アミロイド前駆体蛋白(APP)から切り出されたβ蛋白が、神経細胞障害を起こし、神経細胞死や神経原線維変化が生ずる、と考えられています。
ほとんどが孤発性(遺伝性がない)のアルツハイマー病ですが、家族性アルツハイマー病では、APP遺伝子やプレセニリン1遺伝子、プレセニリン2遺伝子の異常などが認められます。
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DHAがアルツハイマー病に効く可能性
日本では、65歳以上での認知症の約半数がアルツハイマー型痴呆とされています。一般には65歳以上の高齢者に多い病気ですが、40歳から50歳という働き盛りで発症してしまうこともあります。これは「若年性アルツハイマー病」と呼ばれ、通常より進行が早いのが特徴です。
神経病理学的特徴としては、老人斑、神経原線維変化、神経細胞脱落などがあります。上記にもありますが、沈着するβ蛋白が発症に大きく関わっているといわれています。アミロイド前駆体蛋白(APP)から切り出されたβ蛋白が、神経細胞障害を起こし、神経細胞死や神経原線維変化が生ずる、と考えられています。
ほとんどが孤発性(遺伝性がない)のアルツハイマー病ですが、家族性アルツハイマー病では、APP遺伝子やプレセニリン1遺伝子、プレセニリン2遺伝子の異常などが認められます。
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