ザ!世界仰天ニュースの「美女を襲う恐怖の癖」で紹介されていた内容です。

アメリカでスタイリストとして活躍する女性、マンディ・ライン、36歳。ファッションをリードする卓越したセンスでカリスマとして注目されていたが…実は彼女は…30年近くある症状に苦しめられていた。

1986年。アメリカ・ロサンゼルス。
マンディはキッズモデルをする街で有名な美少女だった。そんな彼女の母はしつけに厳しく、娘への期待は大きく、何をするのも勝手に決めた。幼いころから英才教育。ピアノを習わせダンス教室にも通わせ、美しく完璧な女の子でいることを望んだ。幼いマンディにとっては気の休まらない日々…。母の期待が、重くのしかかる。

そんな中、彼女にあるクセがではじめる。それは…爪を噛むように、髪を抜く事。母親が注意して辞めさせようとしても、母からのプレッシャーを感じるたび彼女は追いつめられ…髪の毛を抜きたい、という衝動に駆られ、実際
髪の毛を抜けば、不思議と気持ちが和らぐようになってしまう。その奇妙なクセは成長しても治らなかった。しかしマンディは、母の期待に応え、高校では花形のチアガールに選ばれ、成績もオールA。周りにも褒められるようになり、この頃になると彼女自身も、自分のルックスに人一倍、こだわるようになる。「完璧でいたい」いつしか、そう思うようになり…そのストレスで髪の毛を抜く量はふえたが、もはやそのことをなんとも思わなくなっていた。

しかし高校3年のとき、いつものように髪を抜いていると、初めて異変に気付く。なんと、頭のてっぺんがはげていたのだ。これ以上は、抜かない…そう決心しガマンしようとしたが…「いい成績をとらなければ」「試合で活躍しなければ」「母の期待」 様々なプレッシャーがかかる度、ガマンできず…1本抜くと、何とも言えない充実感で、また一本抜いてしまう。

結局、衝動を抑えることができず、抜き続けてしまう。そして、我に返った時には、大きな後悔、自分自身が嫌になってもやめられなかった。そんな自分の姿を、母には絶対見せられない!必死で隠していたが、ばれてしまう。心配した母は娘を病院へ。すると「抜毛症」と診断される。

正常な髪を引き抜いてしまう精神疾患の一種で、ストレスや不安などが主な原因と考えられている。抜き続ければ、髪が生えてこなくなる可能性もある、と医師に言われたマンディは恐怖にかられたが…やめられなかった。
そんなマンディも、高校を卒業し、母のもとを離れ、スタイリストの仕事に就いた。もちろん髪の事は、誰にも打ち明けられないまま。いつまでこんな事に悩まされ続けるのか。そう思い、手をしばって、使えないようにもしてみたがかえってイライラは増し…どうにもならなくてまた、髪を抜いてしまう。

やがて彼女の髪の毛は、前髪以外ほぼなくなってしまった。そんなある日…あるテレビ番組を目にする。それは…異常な症状に悩む人々が心の闇をカミングアウトし、セラピストによる治療を受ける番組だった。いつまでもこんな醜い姿でいるわけにはいかないそう強く思ったマンディは決意した。

2009年7月。番組に出演したマンディは、全てを打ち明け、自らの髪を涙ながらにさらけ出した。セラピストの治療を受けたことで、周りの人にも理解され少しずつ症状は改善されているという。


抜毛症とは


抜毛症(Trichotillomaniaトリコチロマニア)とは、身体の毛、主として頭髪を引き抜く症状で、女子により多くみられます。ほとんどが学童ですが、稀に成人例もあります。脱毛斑で来院する頻度は、円形脱毛症の1/10〜1/20程度ですが、抜毛行為自体は学童期の癖としてかなり多いものとみられています。

患児なりの精神的ストレス(例えば家庭や学校での人間関係、特に母親との心の葛藤など)が引き金となり、抜毛行為を開始します。通常、知能低下はなく、むしろおとなしい内向的な性格の児が多いです。

脱毛巣は頭部の利き腕側に分布しますが、生え際は抜かないことが多いです。ときに眉を抜いてしまうこともあります。

脱毛巣の性状が診断に重要で、脱毛巣の形は不整で、どこか直線的な辺縁をみることが多いです。脱毛巣内に短い切れ毛が不規則に残存しますが、いずれも丈夫な成長期毛で太さは正常で、抜けやすさもありません。患児さんの部屋、特に机の周りなどに抜かれた毛髪がみられるかを家人に尋ねることも診断に重要です。爪咬み症を伴うことが多く、食毛症もときにあります。

なお、テレビでの紹介内容では、
・日本では人口の0.5〜2%
・発症しやすいのは、
 1) 10歳前後の学童期、思春期
 2) 母親が過干渉
 3) 第一子、一人っ子
 4) 成績優秀な子
・診断/治療
 患者だけでなく家族も含めてのカウンセリング
 治療には2〜3年以上かかる。
と紹介されていました。

抜毛症の治療


抜毛症の治療としては、以下の様なものがあります。
多くの場合、抜毛行為を指摘し、それを患児自身が認めると、以後、行為を中止して改善します。抜いていることを知っても、叱責しないことが大切です。通常、薬物療法は不要です。

知能低下や精神障害のある児では、なかなか抜毛行為を中止できないことがあり、その場合、精神科専門医にコンサルトする必要があります。

必要があれば、付き添いの家人とは別室で尋ねます。抜毛行為は患児の一種の癖によりますが、叱責しても解決せず、母親や周囲の人が暖かく患児に接することが大切であることが重要です。

なお、この番組で抜毛症の紹介・説明をしてくださった医師は、「ハッピースマイルクリニック」院長・千田要一先生でした。もし抜毛症でお悩みの方がいらっしゃったら、ご相談されるのもいいかもしれませんね。

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