yomiDrの医療相談室に「遺伝性乳がん・卵巣がん心配」という相談が寄せられていました。
この相談に対し、聖路加国際病院ブレストセンター長である山内英子先生は、以下のようにお答えになっています。
遺伝性(家族性)乳癌とは、同一家系内に多数の乳癌患者が集積し、通常 3 名以上、2名の場合でも若年発生、両側乳癌、他臓器癌(卵巣癌など)の合併をみる場合を指します。全乳癌の5〜10 %であると言われています。
多くは遺伝的要因で発症する遺伝性乳癌であり、家族性乳癌の原因遺伝子として、BRCA1、BRCA2、BRCA3が同定されています。
乳腺症があり、毎年乳がん検診を受けています。おばが50歳代前半で乳がんになり、卵巣がんにもなっています。遺伝性のがんのことをニュースで知り、私も心配です。(49歳女性)
この相談に対し、聖路加国際病院ブレストセンター長である山内英子先生は、以下のようにお答えになっています。
心配は、ごもっともです。あなた自身やご家族を守るため、必要な情報はしっかりと把握して、一つずつ選択していきましょう。
ご自身が遺伝している可能性があるか調べるためには、まずは、ほかの血縁者の中にもがんの方がいらっしゃらないか、しっかり聞いてみることが大事です。
おばさまが乳がんと卵巣がんになっており、遺伝性乳がん・卵巣がんの原因遺伝子であるBRCA1あるいは2に、変異(遺伝子の一部が異なり機能が変わること)を遺伝的に持っている家系という可能性は十分にあります。
しかし、血縁者全員が、変異を持つわけではありません。遺伝性乳がん・卵巣がんは、親から子へ50%の確率で遺伝します。遺伝子検査は、採血するだけでできますが、保険がきかないため、20万〜30万円近くかかります。
遺伝子に変異があると、乳がん、卵巣がんになりやすい傾向があります。早くからの検診や女性ホルモンを抑える薬の服用などで、発症を予防し、早期発見に努めることができます。
こうしたことを、わかりやすく説明し、一緒にどうすればいいのかを考えていくのが、遺伝カウンセリングです。
遺伝カウンセリングや遺伝子検査を行っている施設は、日本乳癌学会班研究のホームページで調べることができます。まずは、遺伝カウンセリングの窓口を訪ねてみてください。
遺伝性(家族性)乳癌とは、同一家系内に多数の乳癌患者が集積し、通常 3 名以上、2名の場合でも若年発生、両側乳癌、他臓器癌(卵巣癌など)の合併をみる場合を指します。全乳癌の5〜10 %であると言われています。
多くは遺伝的要因で発症する遺伝性乳癌であり、家族性乳癌の原因遺伝子として、BRCA1、BRCA2、BRCA3が同定されています。
BRCA1は、全長は約100kbにわたる大きな遺伝子であり、転写産物の大きさは7.8kbで、精巣、胸腺で強く発現し、乳腺、卵巣でも発現を認めます。乳癌で家族性を認める症例は全体の約10%であり、そのうちの約45%にBRCA1の異常が関与するといわれています。また、乳癌家系の一部には卵巣癌も集積している家系があり、これらの家系では約80%にBRCA1の異常が関与すると考えられています。
BRCA2は、家族性乳癌に関連する癌抑制遺伝子としてBRCA1につづき,1995年Woosterらによって分離同定されています。家族性乳癌家系の約35〜45%に関与するといわれていますが、卵巣癌のリスクも高めるという報告があります。
現在臨床応用されているのはBRCA遺伝子であり、BRCA遺伝子変異に原因するHBOCが診断可能であり、BRCA遺伝子診断の研究もこれまでにいくつかなされています。
アメリカでは、第二度近親に乳癌あるいは卵巣癌の家族歴を有する乳癌あるいは卵巣癌患者を対象とした10,000例のBRCA遺伝子診断の解析報告があり、変異陽性率は約17%であったとされています。
家族性乳癌を診療する上では、遺伝子診断が必要であるとされます。しかし、遺伝子診断の検査料が高額であり保険適応がないこと、家族歴が濃厚でも陰性の場合がかなりあること、陰性の場合でも遺伝性乳癌が否定できないこと、などの問題で一般臨床として普及する状況には未だ至っていません。
INOVA(BRCA遺伝子検査などを行なっている)のガイドラインによると、乳癌の遺伝カウンセリングの恩恵を受けることができる女性は、以下の特性の少なくとも一つを持っている女性だそうです。
BRCA遺伝子変異を持っている女性は、一生の間に乳癌を発症するリスクが65%以上であるとされています。
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BRCA2は、家族性乳癌に関連する癌抑制遺伝子としてBRCA1につづき,1995年Woosterらによって分離同定されています。家族性乳癌家系の約35〜45%に関与するといわれていますが、卵巣癌のリスクも高めるという報告があります。
現在臨床応用されているのはBRCA遺伝子であり、BRCA遺伝子変異に原因するHBOCが診断可能であり、BRCA遺伝子診断の研究もこれまでにいくつかなされています。
アメリカでは、第二度近親に乳癌あるいは卵巣癌の家族歴を有する乳癌あるいは卵巣癌患者を対象とした10,000例のBRCA遺伝子診断の解析報告があり、変異陽性率は約17%であったとされています。
家族性乳癌を診療する上では、遺伝子診断が必要であるとされます。しかし、遺伝子診断の検査料が高額であり保険適応がないこと、家族歴が濃厚でも陰性の場合がかなりあること、陰性の場合でも遺伝性乳癌が否定できないこと、などの問題で一般臨床として普及する状況には未だ至っていません。
INOVA(BRCA遺伝子検査などを行なっている)のガイドラインによると、乳癌の遺伝カウンセリングの恩恵を受けることができる女性は、以下の特性の少なくとも一つを持っている女性だそうです。
・早期発症乳癌の家族歴
・母方もしくは父方に、2人以上の親族に乳癌患者がいる
・様々な原発腫瘍
・複数の癌
・アシュケナージ(ドイツ・ポーランド・ロシア系ユダヤ人)の祖先
BRCA遺伝子変異を持っている女性は、一生の間に乳癌を発症するリスクが65%以上であるとされています。
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