第23回日本外来小児科学会年次集会の発達障害をテーマとしたシンポジウムで、福岡市立西部療育センター長で、小児科の宮崎千明氏が講演を行っていた(発達障害「喘息よりも多い」)。



その中で、発達障害の見られる幼児が増えていると指摘。今や喘息を持つ小児の頻度よりも高いのではないかと述べた。その上で、早期の気付きで早期に対応する体制を作るのが大切だと訴えた。

この数年で発達相談児の数が増えていると宮崎氏は言う。全国の療育センターで傾向は同様と見る。
その傾向としては、以下のようなものがあるという。
・精神遅延や脳性まひの小児は横ばいなのに対して、知的な遅延がないが発達に偏りのある発達障害の小児が急増している。
・乳幼児健診や医療機関の相談で受診するのは2-3歳がピークで、最近では4-5歳の保育園や幼稚園に通う幼児の相談が増えている。
・生まれた子どもの7-8%は療育センターに相談に来る。
・喘息の小児は5%前後の頻度であるから、発達障害の頻度の方が上回るのではないかと、推定される。
・男児が女児の2.5倍と男児で多い。

注意欠陥多動性障害、学習障害、自閉症スペクトラム障害などの診断名そのものは同一でも小児によって症状は多岐にわたっている。複数の診断が重なることもあるという。人との関わり、社会性、学習力、感覚、運動機能、注意力、理解力など、医師、教師、保育士、保護者など、立場によっても異なってくる。


発達障害は、医療関係者だけでなく、学校の先生や保育士、そして保護者の方たちの理解が必要となっている問題であると思われます。

以前は診断されていなかった患児が、診断されるようになってきたという背景はあると思いますが、「意外と多い」ということが認識として広まり、決して他人事でなく、身近な事柄であるということをご理解いただければな、と思います。