世界保健機関(WHO)の下で化学物質などの発がん性を評価している専門組織、国際がん研究機関(IARC)は17日、大気汚染について、中国などで深刻化していることを念頭に肺がんなどの発がん性を有すると初めて認定し、5段階のリスク評価で最も危険が高い「グループ1」に分類したと発表した。

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日本への飛来も問題となっている微小粒子状物質(PM2・5)を含む粒子状物質についても別途、グループ1に分類した。アスベスト、喫煙、コールタールなどと同等のリスクに当たる。

IARCは、2010年に大気汚染が原因の肺がんによる死者が世界全体で22万人に上ったと推計。特に中国など急速な工業化が進む地域で大気汚染が深刻化しており、早急な対策が必要だと指摘した。

IARCは従来、ベンゼンなど個々の大気汚染物質の発がん性評価を行ってきたが、今回から「大気汚染」と、大気汚染を構成する「粒子状物質」に分けて評価した。
(PM2・5など、高い発癌性と認定…WHO機関)

PM2.5とは


環境省の「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」によると、
・大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質(SPM:10μm以下の粒子)よりも小さな粒子です。

・PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。

・粒子状物質には、物の燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質が、主として環境大気中での化学反応により粒子化したものとがあります。発生源としては、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機等、人為起源のもの、さらには、土壌、海洋、火山等の自然起源のものもあります。
厚生労働省「微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q and A)」によると、その健康被害に関しては

・微小粒子状物質(PM2.5)は粒子の大きさが非常に小さい(髪の毛の太さの 30 分の ため、肺の奥深くまで入りやすく、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も懸念されています。

と記載されています。肺癌のリスク上昇がどの程度なのか、といったことは言及されていませんが、WHOの認定があった以上、看過できるものではないでしょう。隣国との問題でもありますが、是非とも外交問題の1つとして、解決の糸口をさぐっていただきたいところです。

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