インディカーは10月20日、19日にオートクラブ・スピードウェイで行われシーズン最終戦のレースでスピンを起こし、トリスタン・ヴォーティエの運転する車に衝突されたジャスティン・ウィルソンが、手術の不必要な3箇所の骨盤の骨折と軽い肺挫傷を起こしていたことを公表した。

34才のウィルソンは即座に付近の病院に搬送され、様子見の為に一晩病院に収容された後、今週の初めにコロラドにある自宅に戻ってリハビリを開始することとなる。

「車が小刻みに振動し、僕はそれを鎮めようとしたがスピンを起こしてしまったんだ」とウィルソンは語った。

一方でスピンしたウィルソンの車に衝突したヴォーティエはレーシングトラック内の治療センターでチェックを受け、その後開放された。「雲のような煙が上がって、僕はウィルソンの車が見えなかった」とヴォーティエは語った。

この事故が起こった時点ですぐ後方にいたジョセフ・ニューガーデンは、前方の車を避ける為にコースの外側をすり抜けようと試みたが、オリオール・セルビアの運転する車に衝突して、2台ともバリアに突っ込んでしまった。両方のドライバーは同じくレーシングトラック内の治療センターで検査した後、退院した。

骨盤骨折とは


骨盤骨折とは、交通事故のような高エネルギー外傷により生じることが多く、重症骨盤骨折は非常に危険で、大量後腹膜出血による出血性ショックを起こす可能性があり、ならびに機能予後(整形外科的機能予後や膀胱直腸障害)に重大な影響を及ぼすといわれています。

骨盤骨折は、加わった外力の方向(側方圧迫外力、前後圧迫外力、垂直剪断外力)と、その結果生じた骨盤輪の不安定性の有無により安定型と不安定型に分類されます。

上記のようなケースは、安定型骨折に分類され、ほとんどの場合、保存的に治療可能となります。ただ、十二分に経過観察を行う必要があり、できれば入院して様子をみた方が良かったのではないか、とも考えられます。

肺挫傷とは


肺挫傷とは、交通事故などの外力が胸壁に作用し、肺の中の圧力が急激に高まり肺胞を過伸展させるため、肺胞と肺毛細血管壁に生ずる損傷です。

組織学的には肺胞内と間質内に浮腫と出血を来し、そのため肺内シャント(肺胞で酸素を受け取ることができない静脈血が、左心房に還流してしまう)の増加と肺コンプライアンス(肺が膨らみにくくなる)の低下を生じます。こうしたことが起き、肺の機能(ガス交換など)が損なわれてしまう状態です。

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