yomiDrに「数値低い血小板 歯肉から出血」という相談が寄せられていました。

この相談に対し、慶応大血液内科講師である宮川義隆先生は以下のようにお答えになっています。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、出血を止めるために必要な血小板の数が血液1マイクロ・リットルあたり10万以下(正常値15万〜40万)に減り、血液が固まりにくくなる病気です。

免疫の異常が原因とされており、主な症状として、鼻血や月経過多、口の中の出血などがあります。血小板の数が1万以下になると、脳内出血、消化管出血などが起こる危険性が高まります。

治療は、こうした重大な出血を予防するために、血小板数を3万以上に増やすことを目指します。必ずしも血小板を正常値にする必要はありません。 

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは、血小板に対する自己抗体によって血小板数が減少し、出血傾向をきたす自己免疫疾患です。

血小板に対する自己抗体が産生されると、それに引き続いて抗血小板抗体を結合した血小板の細網内皮系(マクロファージ)への取り込み(貪食、破壊)により、血小板が減少することになります。

有病率は人口10万人に対して12人程度です。急性型は小児に、慢性型は20〜40歳代の女性に多いです。小児に好発する急性型は、多くの場合ウイルス感染症が先行し、発症が急激ですが、6ヶ月以内に治癒します。成人に多く発症し長期に遷延する慢性型では、約30%は通常の治療法に反応しない難治性となります。

症状としては、紫斑(皮膚点状出血および斑状出血)、歯肉出血、鼻出血、性器出血などがみられます。関節内出血や深部出血は稀です。血小板数が 5万/μl 以上あれば無症状のことが多いです。重症では口腔粘膜や歯肉の出血がみられます。
治療法にはまず、胃にいるピロリ菌の除菌治療と、ステロイド(副腎皮質ホルモン)療法があります。
ピロリ菌に感染している患者さんは、抗菌薬による除菌で約半数は改善します。また、ステロイド療法が効かない時や、副作用が強い場合は、脾臓の摘出手術も検討します。手術では患者さんの約6割が根治も期待できます。

ただし、手術をしても改善しない、持病があって手術が難しい、などの場合には、血小板の生産を促すトロンボポエチン受容体作動薬を使います。ITP患者の約8割に有効な新薬ですが、中断すると血小板が急減するので治療の継続が必要です。

体調が優れないなど、目立った症状がなければ普通に生活を続けても大丈夫ですが、血小板が減っており出血しやすいため、けがなどに注意しましょう。

治療としては、出血症状がないか軽度の場合には無治療経過観察(血小板数>3万)か、あるいは標準的治療が勧められます。血小板数が2万から3万でも、高血圧や高齢者、胃潰瘍などの易出血性疾患を合併しているなどの危険因子がなければ、経過観察でも良いですが、危険因子がある場合には標準的治療を開始することが勧められます。出血症状が高度の場合には血小板数に関係なく標準的治療を開始します。

副腎皮質ステロイド療法に全く反応せず、さらに出血症状のある患者には摘脾療法を行います。摘脾の施行時期に関しては、診断後6ヶ月以降とされています。手術予定日に合わせて、γグロブリン大量静注療法を施行するのが一般的だそうです。また、ITPの治療に対して、ピロリ菌の除菌療法が用いられ、60%以上の有効率が報告されています。

ステロイド内服治療では、多くの副作用が出てくる可能性があります。そのため、治療継続が難しいケースも出てくるわけです。摘脾を行うことも考えられますが、その際は、しっかりと担当医と手術に関するリスクや副作用などについて検討することが重要であると考えられます。

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