タレントの友寄蓮さんが、ご自身の「急性リンパ性白血病」との闘病を語っておられました(高2で白血病、1年4カ月間の入院生活…18歳タレントが闘病語る)。

急性リンパ性白血病は、遺伝子の突然変異により、癌化してしまったリンパ系前駆細胞(リンパ系幹細胞/前駆細胞)が原因で起こります(癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化も伴って腫瘍化します)。急性リンパ性白血病とは、このように生じた白血病細胞が、分化・成熟が障害されて著しく増える造血器腫瘍です。
骨髄で増殖しつづけた白血病細胞は、次第に正常造血幹細胞による造血を抑制し、増殖したリンパ系の芽球は末梢血を循環し始めます。結果、全身の臓器に浸潤する血中、さらには諸臓器に浸潤するようになります。こうした状態になると、骨髄不全による感染症や出血、さらに臓器不全を生じ、死に至る可能性もあります。
症状は、正常造血幹細胞による造血が抑制されることによって起こってきます。
つまり、
・赤血球減少:貧血症状(息切れ、動悸、倦怠感、顔面蒼白など)
・好中球減少:発熱(感冒症状の遷延化)
・血小板減少:出血症状(点状出血,紫斑,口腔粘膜・歯肉出血,性器出血)
などが多いと言われています。他にも、脾腫、肝腫、リンパ節腫大のほか、髄膜浸潤による髄膜刺激症状や中枢神経白血病による頭痛なども時にみられます。
治療としては、主体は抗がん剤を用いた化学療法と、造血幹細胞移植です。まずは化学療法によって白血病細胞を叩き、完全寛解(正常造血の回復によって末梢血液像および骨髄像が正常化し、臓器浸潤も消失した状態)と呼ばれる状態になるまで治療します。
第1選択薬としては、ビンカアルカロイド製剤であるビンクリスチン(VCR)、アンスラサイクリン系薬剤であるドキソルビシン(DNR)、副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロン(PSL)の併用療法がよく用いられます(DNRの代わりにアドリアマイシンこともあります)。
年齢や病状などにより治療法は異なりますが、複数の抗がん剤を組み合わせて行う化学療法が基本です。効果的な投与方法について工夫が続けられています。
新薬としては2年前に、「ネララビン」(商品名アラノンジー)という抗がん剤が登場しました。リンパ球のうち、「T細胞」と呼ばれる細胞ががん化した場合に使われています。
完全寛解に到達した直後に、寛解地固め療法が行われます。これは、残存白血病細胞をさらに減少させ、完全寛解状態をより強固なものにする目的で行われます。地固め療法には、寛解導入療法と同じ治療法(投与量をある程度減量する場合が多い)あるいは交差耐性のない薬剤を組み合わせた多剤併用療法が2〜3回繰り返されます。その後、より安定した状態を維持するため、維持強化療法が1〜2年継続されます。
化学療法のみでは治癒が期待できない患者さんなどでは(HLAが一致した兄弟姉妹のドナーがいる場合では、寛解後できる限り早期に移植を行うことを考えます)、治癒を目指した治療法として、同種造血幹細胞移植が積極的に検討されます。
同種造血幹細胞移植とは、(血縁者・非血縁者をドナーとして)採取した正常な骨髄液を、患者さんの静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された造血幹細胞と入れ替えます。
一般的には、骨髄移植によって、造血幹細胞を多く含む骨髄を採取・輸注することで行います。ただ、最近では、末梢血あるいは臍帯血もその細胞ソースとして用いられており、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植とよばれています。
造血幹細胞移植は、自分や他人の体から骨髄を取り出し、移植する方法です。最も強力な治療法と考えられ、主に化学療法だけでは治りにくいと予想される場合に行われます。
【関連記事】
急性リンパ性白血病と診断され、治療へ−大塚範一さん
急性リンパ性白血病と診断・治療中の60歳女性
急性リンパ性白血病の女性、化学療法前に結婚式を挙げる

タレントの友寄蓮(ともよせ・れん)さんは高校2年生のとき、急性リンパ性白血病と診断され、通常より長い約1年4カ月間の入院生活を送った。
今年3月には抗がん剤治療も終了する。闘病経験を語ることで、同年代に命を守るとは何かを考えてもらいたいという。
平成23年9月頃、咳が止まらない、風邪のような症状が始まりました。体もだるく、近所の病院で受診したら、「風邪」。でも、息切れして階段が上れない、鼻血が一日中、止まらない、試験中のような大切な場面で気を失うように寝てしまう。こんな状況で別の複数の病院に行っても、やはり風邪との診断でした。
よく知る小児科で受診するとすぐに採血検査をしてくれて。結果は、芽球(がきゅう)(白血病細胞)が33%(正常の場合は検出されない)、母から「大きな病院へ行く」とだけ言われたんです。風邪でこんなに体調がつらいなんて私がおかしいのかとも思っていたので、ようやく原因が分かるんだと安心感もありました。
急性リンパ性白血病は、遺伝子の突然変異により、癌化してしまったリンパ系前駆細胞(リンパ系幹細胞/前駆細胞)が原因で起こります(癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化も伴って腫瘍化します)。急性リンパ性白血病とは、このように生じた白血病細胞が、分化・成熟が障害されて著しく増える造血器腫瘍です。
骨髄で増殖しつづけた白血病細胞は、次第に正常造血幹細胞による造血を抑制し、増殖したリンパ系の芽球は末梢血を循環し始めます。結果、全身の臓器に浸潤する血中、さらには諸臓器に浸潤するようになります。こうした状態になると、骨髄不全による感染症や出血、さらに臓器不全を生じ、死に至る可能性もあります。
症状は、正常造血幹細胞による造血が抑制されることによって起こってきます。
つまり、
・赤血球減少:貧血症状(息切れ、動悸、倦怠感、顔面蒼白など)
・好中球減少:発熱(感冒症状の遷延化)
・血小板減少:出血症状(点状出血,紫斑,口腔粘膜・歯肉出血,性器出血)
などが多いと言われています。他にも、脾腫、肝腫、リンパ節腫大のほか、髄膜浸潤による髄膜刺激症状や中枢神経白血病による頭痛なども時にみられます。
急性リンパ性白血病との診断。16歳と子供だったため、小児向けの白血病治療と決まりました。大人とは違い、子供は強い抗がん剤を使う長期入院。1年間は入院することや副作用などの説明も受け、11月から治療が始まったんです。
抗がん剤は芽球と一緒に良い細胞も壊すため、一定の回復を待ち、次の抗がん剤という治療の中で、とにかく体調の良いときが全くない。39度台の高熱が1週間とか、帯状疱疹(ほうしん)で左半身が水ぶくれになるとか、鼻血が8時間出続けるなど、副作用という副作用は全て経験しました。顔が腫れ上がる「ムーンフェース」になったら、鏡を見ても自分とは分からない。
病院に泊まり、付き添う母を責めてばかりいました。抗がん剤に殺されると思うほど苦しくて心が折れ、3カ月目には看護師さん相手に大泣きしたんです。千羽鶴をくれた友達は修学旅行中で、きっと笑って過ごしている。何か悪いことをしたのか、神様は罰を与え、私一人苦しんでいると思い詰めた結果です。それを機に、看護師さんにも「つらい」と言っていいと分かり、心を開くようになりました。
治療としては、主体は抗がん剤を用いた化学療法と、造血幹細胞移植です。まずは化学療法によって白血病細胞を叩き、完全寛解(正常造血の回復によって末梢血液像および骨髄像が正常化し、臓器浸潤も消失した状態)と呼ばれる状態になるまで治療します。
第1選択薬としては、ビンカアルカロイド製剤であるビンクリスチン(VCR)、アンスラサイクリン系薬剤であるドキソルビシン(DNR)、副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロン(PSL)の併用療法がよく用いられます(DNRの代わりにアドリアマイシンこともあります)。
年齢や病状などにより治療法は異なりますが、複数の抗がん剤を組み合わせて行う化学療法が基本です。効果的な投与方法について工夫が続けられています。
新薬としては2年前に、「ネララビン」(商品名アラノンジー)という抗がん剤が登場しました。リンパ球のうち、「T細胞」と呼ばれる細胞ががん化した場合に使われています。
寛解に達したのは同時期でしたが、治療計画は続行でした。長い寝たきり生活で、24年6月には自力で起きることさえできなくなってしまい、歩行訓練などリハビリも始まりました。一方で、主治医の先生からは退院後を見据えて、体調の良いときは普通の女の子みたいに化粧して、外出着で過ごすよう指導されました。病棟内の季節イベントで、子供たちに紙芝居の読み聞かせをしたときなどは先生との約束通りに過ごせました。
退院できたのは25年3月。高校は入院中の提出物で卒業が認められたけれど、卒業式には出られなかった。直前に病棟で仲良しだった女の子が亡くなったショックも重なり、家に引きこもりました。発病前は明確な目標もなく、ぼんやり芸能界に憧れ、タレント養成所に通っていたけど、熱中するものがない。それでも卒業したら進学して、と思っていたのが病気で一転した。
でも、気づいたんです。入院中は明日死ぬかもしれない死の恐怖があったけど、何をしたらいいと悩むのは、未来への不安が原因だと。闘病経験からの座右の銘は「明日死ぬと思って今日を過ごし、未来を生きると信じて今、努力する」。今は何をやっても楽しいし、自分に合う何かを見つける努力の最中で、舞台やドラマへ挑戦する機会をいただき、頑張っています。
将来的には医療支援の団体を立ち上げ、治療中の人を支える活動や、命って何かを考えてもらうきっかけづくりをしたい。薬の副作用がひどくて、こんな苦しい思いをしてまで乗り越える必要がある命なのかと、闘病中は前向きになることは一度もなかった。
でも、今は闘病を支えてくれた家族から無償の愛が何かを教えられたとも思うんです。病院の先生や看護師さんにも恩返しができるとしたら、私が行動し、思いをかなえることなんだと信じています。
完全寛解に到達した直後に、寛解地固め療法が行われます。これは、残存白血病細胞をさらに減少させ、完全寛解状態をより強固なものにする目的で行われます。地固め療法には、寛解導入療法と同じ治療法(投与量をある程度減量する場合が多い)あるいは交差耐性のない薬剤を組み合わせた多剤併用療法が2〜3回繰り返されます。その後、より安定した状態を維持するため、維持強化療法が1〜2年継続されます。
化学療法のみでは治癒が期待できない患者さんなどでは(HLAが一致した兄弟姉妹のドナーがいる場合では、寛解後できる限り早期に移植を行うことを考えます)、治癒を目指した治療法として、同種造血幹細胞移植が積極的に検討されます。
同種造血幹細胞移植とは、(血縁者・非血縁者をドナーとして)採取した正常な骨髄液を、患者さんの静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された造血幹細胞と入れ替えます。
一般的には、骨髄移植によって、造血幹細胞を多く含む骨髄を採取・輸注することで行います。ただ、最近では、末梢血あるいは臍帯血もその細胞ソースとして用いられており、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植とよばれています。
造血幹細胞移植は、自分や他人の体から骨髄を取り出し、移植する方法です。最も強力な治療法と考えられ、主に化学療法だけでは治りにくいと予想される場合に行われます。
【関連記事】
急性リンパ性白血病と診断され、治療へ−大塚範一さん
急性リンパ性白血病と診断・治療中の60歳女性
急性リンパ性白血病の女性、化学療法前に結婚式を挙げる