日本テレビ系の番組『ザ!世界仰天ニュース』(毎週水 21:00 - 21:54)にて、「早死にする遺伝子を持つ女性」というタイトルで、DCML欠損症という疾患について特集されていました。

ステイシーの父は肺炎を患い35歳という若さで亡くなった。また祖父や叔母までもが若くして亡くなっていた。次々と早死にしていくこの家族…そして、ステイシー自身も22歳の若さで命の危機に瀕していた。幼い頃から病弱で、風邪が流行る時期には必ず体調を崩し、学校は休みがちのステイシーは、家族の誰かが病気にかかると、必ずうつった。

そんな彼女だったが、19歳の時に結婚、無事に子どもを授かった。しかし、結婚から3年後、ステイシーは肺の病を発症し、余命1年を宣告される!一体なぜ彼女の家族は次々と病に侵されていくのか…?この謎を解き明かすべく各国で研究が始まった。

この情報から、家族性の遺伝病、そして易感染性の疾患であり、免疫系に何か問題があることが分かります。

そんな中、いち早くイギリスの医師が、ステイシーの血液(白血球)の中には、体に入ってくる細菌やウイルスと闘う細胞の多くが無いことから「DCML欠損症」と判明した。そのため彼女の体は菌と闘うことができず、通常は害を及ぼすことの無い非常に弱い細菌やウイルスにも感染していたのだ。医師から提案された治療法は「造血幹細胞移植」。治療により命を落とす可能性もあったが、何もしなければ余命は1年…まだ幼い娘のためステイシーはこの治療を受けることを決意した。

運よく数日で適合するドナーが見つかり、すぐに移植が行われた。移植後の拒絶反応もなく経過は良好。その後、ステイシーの医師たちは、免疫を正常に作れない原因遺伝子が「GATA2遺伝子」であることを突き止めた。「原因が解明されるまでは命を落とす人が多かったけれど、今は治療法が確立され、早期治療を行えば完治する病です」と医師は言う。

「DCML欠損症」については、「Dendritic cell, monocyte, B and NK lymphoid deficiency defines the lost lineages of a new GATA-2 dependent myelodysplastic syndrome」という論文によると、最初、国立衛生研究所のスティーブン・ホランドらによる論文において、2010年に『Blood』で記述されたそうです。

この免疫不全症候群は、若年成人に多くみられ、樹状細胞、単球、BおよびNKリンパ系(DCML欠乏)などの異常がみられ、非定型マイコバクテリアやウイルス感染、骨髄異形成症候群(MDS)および白血病への進行などの病態をみせることが知られている、とのことです。また、この疾患は、常染色体優性遺伝するとのことです。
上記にもある通り、GATA -2遺伝子 変異が最初に研究したグループでは、ほぼすべてのケースで発見されていることから、原因遺伝子であることが考えられています。

DCML欠損症では、肺疾患の評価も非常に重要であるとされています。呼吸不全となることで、致死的な状態となる可能性があるためです。治療法としては、造血幹細胞移植を行うべきであるとされ、高度な呼吸不全であっても患者に対して行っても、迅速に肺胞マクロファージ欠損の補正ができ、回復できる可能性があるそうです。
そして移植から3年、ステイシーさんは元気を取り戻していた。そして何と!強い抗がん剤治療を受けたにも関わらず、2人目の子どもを妊娠し、今年1月6日に無事女の子を出産した。

最近見つかった珍しい疾患ではありますが、迅速な治療の甲斐あって、救命できたそうです。1人目のお子さんもGATA-2遺伝子変異は見つかっていないとのことで(常染色体優性遺伝ではあるみたいですが、発見されなかったそうです)、何よりと考えられます。

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