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ザ!世界仰天ニュース

亀の背中を持つ少年−先天性母斑という病気

2013年12月18日放送の日本テレビ系の番組『ザ!世界仰天ニュース』にて、「亀の背中を持つ少年」という先天性母斑の少年について特集されていました。



南米コロンビアに住むある少年ディディエの背中には謎のできものがあり、成長するにつれ巨大化し、やがて背中全体を覆い尽くした。母のルースは2005年に観測された日食を見ていて、妊娠中に日食を見ると呪われると村で言われていることから自分を攻め続けていた。

ディディエルの家は貧しく、大きな病院に連れて行くことはできなかった。こうして6年もの間、なにもできないまま、ディディエルは苦しんできた。母は懸命に育てている中、父親は逃げだし、学校で「亀」といじめられていた。

そんな時、ディディエルの人生を変える出来事が起きた。コロンビアのテレビ番組がディディエルを番組で紹介したのだ。

「亀の背中を持っている少年」がいると、話題が広がったころテレビ番組スタッフが家を訪ねてきた。スタッフは、ディディエのドキュメンタリー番組を企画していると提案をしてきて、母は治療のきっかけになるかもしれないとテレビ出演を果たした。

テレビ出演によりディディエの姿が医療関係者の目に止まり、医療関係者の目にも止まり、ディディエの治療が行われることになった。母親とディディエは治療を受けるためコロンビア・ボゴタへ向かい、イギリスの外科医、ニール・ブルストロード医師は「先天性色素性母斑」と診断した。

先天性色素性母斑はホクロのこと。ディディエの体が手術できる状態か診断され、摘出手術が行なわれることになった。

背中に巨大な黒い膨らみを持つディディエの膨らみはホクロだった。手術の日になり、ホクロの全摘手術を行い人工皮膚を貼り付け、体全体から皮膚を切り取って貼り付け再生させる事になった。問題は大量の出血から命の危険があったが、ホクロが背中の筋肉にも食い込んでいて摘出を困難にしていた。

5時間に及ぶ手術は成功した。手術から4ヶ月後にディディエは手術を無事終えたが、医師たちは原因はわからないと説明した。ディディエたちは4ヶ月ぶりにアルゴドン村へ戻り、現在は元気に学校に通っていた。

先天性色素性母斑とは


色素細胞母斑とは、発生異常に基づく奇形の一種で、母斑細胞の増殖したものを指します。発生時期により先天性と後天性に分けられ、臨床像、組織像とも特徴を有します。上記のケースでは、生まれつきであり、先天性色素細胞母斑であると診断されています。

先天性色素細胞母斑は、生下時または生後早期に現れ、体の成長に伴ってゆっくり拡大します。20cm以上に及ぶ巨大母斑は悪性化の頻度が高いといわれています。

通常、巨大なものを除けば2、3個はみられます。直径2〜3mmまでの比較的小さな黒子から体の大部分を占める獣皮様母斑までさまざまなものがあります。褐色から黒色を呈し、扁平なものから丘疹状に隆起するものまであり、疣状を呈したり有毛性のものもあります。

巨大母斑の場合、悪性黒色腫(いわゆる皮膚癌)の発生が問題となります。形状や色調の変化、隆起性の有無などを問診する必要があります。また、神経皮膚黒色症を考慮し、頭蓋内圧亢進症状の有無も重要です。

検査としては、ダーモスコピーや病理組織検査などを行います。ダーモスコピーでは、規則性のある網状斑上に黒褐色塊が多数存在します。病理組織検査では、複合型が多いです。境界部活性が高く、真皮下層まで母斑細胞が増殖します。脈管、付属器周囲にもみられるのが特徴です。続きを読む

謎のめまいは記憶喪失の前兆−インスリノーマという疾患

ザ!世界仰天ニュースにて、「謎のめまいは記憶喪失の前兆?」というニュースが取り上げられていました。

イギリス・ロンドン。この町に住む64歳のシェリー・ギラン。以前は映像プロデューサーとして活躍していた彼女は、めまいに悩まされていた。はじめは疲れからきているのだろうと思っていたが、その後も時間、場所を問わずめまいが頻繁に起きていた。少し不安になり耳鼻科や眼科で検査を受けるが、特に異常は見られなかった。

そんなある日、シェリーが車で外出しようとした時めまいが…そして今までにない頭痛、手の震えに襲われた。しばらくして症状は治まったが妙な事が…なんと40年以上乗っているはずの車の運転の仕方が分からなくなっていた。心配になった息子のマーカスは一緒に脳神経外科へ行くが、やはり原因はわからない。

めまいは次第に悪化し、日常の記憶が無くなることも…。そんな母の姿を見かねてマーカスはもう一度病院へ連れて行く。総合病院で全身くまなく検査をすると…なんと原因はすい臓にあった。

病名は「インスリノーマ」。すい臓にできた悪性度の低い腫瘍により血糖値が下がり、エネルギー源である糖が脳に回らなくなったことから脳の機能が低下、めまいが起きていた。その後、シェリーは腫瘍の切除手術を受けめまいの恐怖から解放された彼女は、カメラ片手に相変わらず元気に暮らしている。

インスリノーマとは


インスリノーマとは、膵島腫瘍の一つで、膵β細胞が腫瘍化し、血糖値による制御を受けないインスリン分泌を生じるため、空腹時の低血糖症を生じる疾患です。

大部分(80%)は良性で単発ですが、ほぼ10%が多発、10%が悪性とされています。膵島細胞は膵管上皮に存在する共通の細胞から分化して形成されます。したがって、その腫瘍化は時にインスリン以外のホルモンを同時に産生することもあります。一部(数%)は、多発性内分泌腫瘍multiple endocrine neoplasia1型(MEN1型)の部分症としてみられます。

正確な頻度は明らかでないですが、年間100万人に1人程度と、比較的珍しい疾患です。好発年齢は40〜60歳ですが、あらゆる年代に発症し、女性にやや多い(男性:女性=1:1.5)です。

低血糖による症状として、
1) 低血糖に反応して分泌されたカテコールアミンによる症状(交感神経亢進症状:頻脈、冷汗、心悸亢進など)
2) 低血糖による中枢神経症状(異常行動,見当識障害,人格変化など)
があります。

低血糖症との疑いを持つことがなにより重要です。なお、ほとんどの場合は空腹時の低血糖ですが、まれに食後数時間後の低血糖症としてみられることもあります。過食傾向になるためか、やせたインスリノーマ患者はほとんどいないそうです。続きを読む

顔がわからない姉妹-相貌失認という疾患

ザ!世界仰天ニュースで、「顔がわからない姉妹」というニュースが紹介されていました。

イギリス・ヨークシャーに住む姉妹ヴィクトリアとドナ。一見普通に見える彼女たちだが、実はある病に苦しみ続けていた。病の名は「相貌失認(そうぼうしつにん)」。人間の「顔」だけが全く識別できないという病にかかっている。そんな2人はこれまでどうやって生活してきたのか?
 
友達もいて普通に会話をし、端から見れば変わった様子は無かったが姉妹は友人達の顔を全く認識出来ていなかった。目、鼻、口といった顔のパーツはわかるが、顔が認識出来ないため誰だか分からない。写真を見ても自分がどこにいるかすらわからない。そのため、2人は声、髪型、しぐさ、体つきなどにより人を識別していたのだ。そのように工夫をすることで生活を送っていた。そのため、両親すら異常に気付かず、本人たちも顔が識別できないということは当たり前だと思っていた。
 
そんな姉妹も成長し、仕事をし、そして恋をした。やがて姉妹は結婚し妹のドナには娘も生まれた。しかし相変わらず人の顔が分からず、もちろん娘の顔もわからないため、大きなリボンを付けて他の子供と区別出来る様にしていた。そんな2人に転機が訪れた。
 
2010年7月、街を歩いていた姉のヴィクトリアに男性が話しかけて来た。それは5年以上付き合いがある彼女の主治医だったがヴィクトリアは白衣を着ていない彼に気付けなかった。顔がわからないと打ち明けると、主治医に検査を勧められ脳の検査を受ける。そして妹のドナも検査した結果、姉妹揃って相貌失認であることが正式に診断された。
 
病気だと知って驚いた姉妹だが、互いにカバーし合い、様々なアイデアを駆使して前向きに生きている。

相貌失認とは


相貌失認は、「正常の記憶能力や視力を有しているにもかかわらず、ヒトの顔に対する認知が障害された状態」を指します。

分類としては、
・それまで知っていた人の顔をみても誰だかわからない(既知相貌失認)
・人の顔が覚えられない(未知相貌失認)

といった症状を呈するまれな失認の一つです.続きを読む

耳に振り回された女性−整形手術失敗後に吹っ切れた

ザ!世界仰天ニュースにて、「耳にふりまわされた人生」というニュースが取り上げられていました。

2000年、イギリスに住むタニア(29歳)は幼い頃からずっと自分の耳にコンプレックスを抱え生きてきた。タニアの耳は決して異常なものではなかったが、小学生の頃に耳が大きいとからかわれて以来20年近くずっと自分の耳が醜いものと決めつけ隠してきた。

タニアは21歳で結婚、子宝にも恵まれた。愛する夫と子ども…幸せな家庭を築けるはずだったが、耳へのコンプレックスが家庭を壊していく。タニアは子どもの耳までひどく大きいと感じ、こんな耳をしていると我が子も不幸な人生を歩んでしまうと思い込み、執拗に子どもの耳を隠すことにこだわった。そしてタニアの耳への異常な執着がきっかけで夫婦は離婚してしまう。

耳へのコンプレックスをどうしても取り除けないタニアは、ついに耳の整形手術を決意した。しかし、手術は失敗!彼女の左耳の一部が壊死し、とれてしまった。しかし、この出来事で彼女はなぜか吹っ切れた。それまでの耳に対するこだわりが一気に無くなったのだ。耳の一部を失って、初めて自分の耳を体の一部と認識できるようになり、自分の耳が好きになった。そして耳を隠す事もしなくなった。

今度は周囲の人が彼女の欠けている耳を心配し、耳の再建手術を勧めた。その手術は肋骨の中の一部の骨を取り出し、耳に移植するというもの。彼女は手術を受けた。それから7年、仰天スタッフはタニアさんのもとを訪ねた。左耳はきちんと再建され、彼女自身も満足しているという。現在、タニアさんはもう耳のことで人生を振り回されることなく、幸せに暮らしている。

外耳再建術とは


外耳再建術とは、先天性あるいは後天性耳介変形に対する再建術です。
新生児期の耳介軟骨は可塑性(物体に力を加えて形を変えることすなわち歪みを作ったとき、力を取り除いても変形がそのままになる性質)があるので、耳介軟骨隆起異常は生後3〜5か月まではスプリントによる矯正治療が可能であるといわれています。多くの先天性耳介異常は、4〜5歳以降には再建術施行可能であるといわれます。

小耳症などは、自家肋軟骨を移植することで、全耳介軟骨フレームの再建が行われます。タニアさんのケースでは、失われた耳の一部を移植で補ったようです。続きを読む
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2006年02月27日より運営している医学系ニュースサイトです。
当初はレポートの掲載や医師国家試験の問題解説を行っていましたが、そちらは『医学生のレポートやっつけサイト』に移行しており、こちらは医学ニュースを取り扱うこととなりました。
国内の3大疾病である癌、脳卒中、心筋梗塞から稀な難病、最新の治験・治療法など、学んだことを記していきたいと思います。時には微笑ましいニュースから、社会的な関心事となっている医学の問題、感動的な闘病記など、幅広く取り扱っていきたいと思います。ブログパーツ
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