「謎の病気で入院」とされていたジョニー・デップの娘リリー・ローズだが、新作『スウィーニー・トッド』のスタッフによると、病原性大腸菌(O157)による腎機能停止が入院の原因だったようだ。
「病名を聞いたときはみんな息をのんでしまった。しばらくは生死の境をさまようほどの病状だったんだ」とある関係者はいう。リリー・ローズの看病のために撮影を一時中断していたデップだが、来週から撮影に復帰するとのこと。
大腸菌は、健康なヒトの大腸内で生息し、また環境中にも広く分布している微生物ですが、腸管出血性大腸菌O157などのように、ある種の大腸菌はヒトに下痢、腹痛などといった病気を起こします。このような、胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”あるいは下痢原性大腸菌と呼んでいます。
病原大腸菌は、一般的には以下の5種類に分けられています。
1)腸管病原性大腸菌(EPEC)
2)腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)
3)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
4)腸管出血性大腸菌(EHEC)
5)腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)
O157は、腸管出血性大腸菌(EHEC)の仲間の内の一つです。血液が混じった下痢を起こすことから、腸管出血性大腸菌と呼ばれます。日本では、1996年に大阪府堺市で小学生を中心とした大きな集団事例が発生し、散発的な発生例を含めて、その年には17,877名の患者と12名の死者が発生し社会問題となったことは有名です。
症状は、腹痛と水様性の下痢として出現し、翌日に血便がでることが多いようです。嘔吐は少なく、発熱は多くは37℃台と軽度です。
潜伏期間は、一般的に3〜5日ですが感染後10日以降に発症する場合もあります。回復期間は平均8日とされていますが、一部の患者では溶血性尿毒症症候群 HUSといわれる腎臓などの障害を引き起こし重症化(死亡する場合も)、長期化する場合もあります。
ジョニーデップさんの娘さんは、溶血性尿毒症症候群 HUSになってしまわれたようです。小児や高齢者では重症化しHUSを発症する割合が比較的高く、また、EHECも重篤な場合が多いと言われていますので、ご家庭をはじめ、学校や幼稚園、保育園、老人ホーム等の施設では特に注意しなければならない菌です。
溶血性尿毒症症候群 HUSは、
1)細血管障害性溶血性貧血(破砕赤血球を伴う溶血性貧血で、Hb10g/d以下)
2)血小板減少(1万以下)
3)急性腎不全(1.5倍以上)を3つの症状をもって診断します。
一般にHUSは腸管出血性大腸菌感染症の患者さんの約1〜10%に発症し、下痢あるいは発熱出現後4〜10日に発症することが多いようです。下痢が軽快した後に腹痛、元気がない、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向(眠りたがる)、不穏、けいれん、血尿、蛋白尿などの症状が出てくると要注意です。その後、急速に進行します。
このように下痢などが落ち着いて、一安心して発症してくることがあり、腹痛、血便の消失後、1週間は注意して、経過を観察する必要があります。患者さんの約1/4〜1/3は何らかの中枢神経症状が見られます。
治療としては、
1)輸液や利尿剤の投与
2)透析療法
3)輸血
4)高血圧に対する治療
5)中枢神経症状に対する治療
6)その他(血漿輸液、血漿交換、ガンマグロブリン、ハプトグロビンなど)
を行います。
予後としては、急性期の死亡率は約2〜5%といわれています。HUSは大半は自然治癒します。
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病原大腸菌は、一般的には以下の5種類に分けられています。
1)腸管病原性大腸菌(EPEC)
2)腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)
3)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
4)腸管出血性大腸菌(EHEC)
5)腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)
O157は、腸管出血性大腸菌(EHEC)の仲間の内の一つです。血液が混じった下痢を起こすことから、腸管出血性大腸菌と呼ばれます。日本では、1996年に大阪府堺市で小学生を中心とした大きな集団事例が発生し、散発的な発生例を含めて、その年には17,877名の患者と12名の死者が発生し社会問題となったことは有名です。
症状は、腹痛と水様性の下痢として出現し、翌日に血便がでることが多いようです。嘔吐は少なく、発熱は多くは37℃台と軽度です。
潜伏期間は、一般的に3〜5日ですが感染後10日以降に発症する場合もあります。回復期間は平均8日とされていますが、一部の患者では溶血性尿毒症症候群 HUSといわれる腎臓などの障害を引き起こし重症化(死亡する場合も)、長期化する場合もあります。
ジョニーデップさんの娘さんは、溶血性尿毒症症候群 HUSになってしまわれたようです。小児や高齢者では重症化しHUSを発症する割合が比較的高く、また、EHECも重篤な場合が多いと言われていますので、ご家庭をはじめ、学校や幼稚園、保育園、老人ホーム等の施設では特に注意しなければならない菌です。
溶血性尿毒症症候群 HUSは、
1)細血管障害性溶血性貧血(破砕赤血球を伴う溶血性貧血で、Hb10g/d以下)
2)血小板減少(1万以下)
3)急性腎不全(1.5倍以上)を3つの症状をもって診断します。
一般にHUSは腸管出血性大腸菌感染症の患者さんの約1〜10%に発症し、下痢あるいは発熱出現後4〜10日に発症することが多いようです。下痢が軽快した後に腹痛、元気がない、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向(眠りたがる)、不穏、けいれん、血尿、蛋白尿などの症状が出てくると要注意です。その後、急速に進行します。
このように下痢などが落ち着いて、一安心して発症してくることがあり、腹痛、血便の消失後、1週間は注意して、経過を観察する必要があります。患者さんの約1/4〜1/3は何らかの中枢神経症状が見られます。
治療としては、
1)輸液や利尿剤の投与
2)透析療法
3)輸血
4)高血圧に対する治療
5)中枢神経症状に対する治療
6)その他(血漿輸液、血漿交換、ガンマグロブリン、ハプトグロビンなど)
を行います。
予後としては、急性期の死亡率は約2〜5%といわれています。HUSは大半は自然治癒します。
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