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不妊

不妊で結婚を反対された女性、赤ちゃんを誘拐

中国浙江省で、恋人に、赤ちゃんが生まれたと信じさせようと必死なあまり、赤ん坊を誘拐した女(36)に懲役1年6カ月の判決が下された。新華社通信が30日、報じた

恋人の家族らが、子宮の腫瘍が原因で子どもが産めないとして、結婚に反対したため、女は妊娠したふりをしていた。

女は出産を装って病院に入院、2日後の『出産日』に、産婦人科病棟でうたた寝をしていた女性の赤ん坊を誘拐した。女は恋人に電話をして、家につれて帰るよう頼んだ。

女は2日後に自首、誘拐された赤ん坊は家族の元に戻された。新華社は、自首したことで刑が大幅に軽減されたと報じている。
(不妊で結婚を反対された女、赤ちゃんを誘拐)


不妊の定義(WHOによる)は、「避妊なしで2年以内に妊娠に至れない状態」となっていいます。妊娠に至れない状態を原発性不妊、一度以上の妊娠・分娩後妊娠に至れない状態を続発性不妊と区別する場合もあります。

日本においては、妊娠を望んでいるカップルの約10%が不妊症であるとされており、不妊治療を受ける人たちも、増加傾向にあります。2006年に出産した30代女性を対象に5月下旬に実施した調査で、「不妊治療を受けていた」との答えが13.8%だったそうです。

不妊の女性側の問題としては、
・副腎、肝臓、腎臓、脳下垂体の異常
・卵巣、黄体の機能障害
・更年期障害
・ターナー症候群
・クラミジア感染症による炎症
・生殖器官の狭窄
・ホルモン障害
・無月経


上記のニュースでは、『子宮の腫瘍』が問題となっており、・生殖器官の狭窄(子宮筋腫など)が原因だったのではないでしょうか。そもそも子宮は内側から、粘膜層、筋層、漿膜層で構成されています。子宮筋腫とは、筋細胞の女性ホルモンであるエストラジオールに対する感受性が強いか、同じく女性ホルモンであるエストラジオールの量が過剰か、またはその両方かによって腫大した状態です。

一節によれば、30代女性の3人に1人は筋腫があるといわれています。ですが、体内の女性ホルモン(エストラジオール)が原因ですから、閉経すれば、筋腫は自然に縮小します(この原理で薬物治療は行われます)。

子宮筋腫が子宮内膜に及んでいると、月経に関する異常(過多月経、月経遷延、過多月経による貧血など)や妊娠に関する異常が起こってきます(子宮内膜は、受精卵が着床する場所であるため)。筋腫が原因で妊娠しないということはまず無い、と言われていますが、大きさによっては、妊娠、出産の経過に影響を及ぼす場合があります。

治療法としては、薬物療法(乳ガンや子宮内膜症で使用するGn-RHアゴニスト)で管理不可能な筋腫、または妊娠、出産の経過に影響すると判断された筋腫、および肉腫の可能性を否定できない場合、手術(原則として筋腫核出術)が適応となります。この手術はジャガー横田さんが受けられており、その後、無事に妊娠・出産されておられます。

36歳ということで焦っていた、ということもあるのでしょうが、なんとも大変な事態を引き起こしてしまったようです。赤ちゃんが無事だったことが救いです。

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不妊と「すりこみ遺伝子」の関連を調査−東北大

ある種の遺伝子異常が男性不妊と関連しているのかどうかを調べる臨床研究に、東北大とセント・ルカ産婦人科(大分市、宇津宮隆史院長)のチームが近く本格的に乗り出すことが明らかになった。

不妊治療で体外受精をする際、運動能力が高い精子を選んで卵子と受精させるが、妊娠に至らないケースも多く、未知の原因が疑われている。遺伝子異常との関連が解明されれば、将来、診断や治療に生かせる可能性もあるという。

日本産科婦人科学会にも研究登録を申請済みで、倫理委員会小委員会が審査中。
計画によるとチームは、不妊治療を受ける男性患者約100人から精子を提供してもらい、遺伝子に異常がないかを調べる。中でもチームが注目するのは、父、母からそれぞれ受け継いだ計2つの遺伝子のうち、一方だけが働くように調節された「刷り込み遺伝子」と呼ばれる遺伝子の異常。

海外で近年、体外受精や顕微授精などによって生まれた子供では、刷り込み遺伝子の異常で起こる奇形や病気の割合が多いと報告されているためだ。有馬隆博東北大准教授(婦人科学)は「不妊男性の精子に遺伝子異常があった可能性が考えられる」と話す。

チームが一部の遺伝子を対象に予備的に実施した調査では、不妊治療中の男性から採取した精子サンプルの約4分の1で、1〜3つの刷り込み遺伝子に異常が見つかったという。
(不妊と遺伝子の関連は 東北大などが研究へ)


2006年に出産した30代女性を対象に5月下旬に実施した調査で、「不妊治療を受けていた」との答えが13.8%だったそうです。少子化対策として不妊治療費の負担軽減が必要と指摘する声も43.8%に上っており、出産数の過半数を占める30代女性の間で、不妊治療に抵抗感が薄れ、期待が大きいことがわかっています。

ですが、一方でその切なる願いが届かないこともあるようです。その問題点の一部として、不妊男性の精子に遺伝子異常があった可能性が考えられるケースがあるそうです。中でも、上記ニュースのように「刷り込み遺伝子」と呼ばれる遺伝子の異常が存在している、とのこと。

このインプリント(刷り込み)遺伝子は、「卵子だけで作られたマウス誕生の成功率が30%に上昇した」という話題でも出てきました。精子から伝わった場合にしか働かない2つのインプリント遺伝子を、卵子でも働くように操作し、いわば"雄型"の卵子を作る"という手法により、卵子を"騙す"ことで成功率を上げた、とのことです。

このことから、マウスの卵子の遺伝子を操作し、父型のインプリントに似せた遺伝子の働きを再現することで、哺乳類の発生には、父型と母型の両方の遺伝情報が必要(たとえ、一方は発現しなくても)なことが考えられます。

この部分に異常があることで、妊娠ができない、ということの一端になっていることがある、と考えられている訳ですね。もし、この異常を回避(上記の実験のように、あたかも卵子や精子を"騙して"、インプリント遺伝子に異常がないと思わせる、もしくはインプリント遺伝子を正常化することで)することができれば、妊娠できるようになるかも知れない、と期待されます。

今後も不妊治療は大きな存在になっていくことかと思われます。研究が進み、解決策が登場することを願います。

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