諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が12日、東京都内で会見し、不妊の夫婦の受精卵で、妻に代わって出産する「代理出産」を引き受けるボランティア女性を公募すると発表した。根津院長は「緊急避難的な実施が必要な患者さんもいる。少しでも患者の役に立ちたい」と訴えたが、専門家からは「代理出産する女性には危険が伴い、公募は問題だ」などの批判が上がっている。
根津院長は5例の代理出産を実施したことを明らかにしている。不妊の夫婦の体外受精した受精卵で、夫婦の姉妹や母が妊娠・出産してきたが、姉妹に妊娠・出産の経験がなかったり、母が高齢の場合は実施してこなかったという。
根津院長は「こうした夫婦に力を貸しても良いという方を募り、子どもを持ちたい夫婦を助けるシステムを作りたい」と語った。妊娠・出産中の事故に対応する補償制度についても保険会社などと検討するという。
根津院長も会員の日本産科婦人科学会は現在、代理出産を認めていない。生命の危険もある妊娠・出産を他人に任せる問題や、女性の体の「道具化」につながる恐れがあるためで、厚生労働省の生殖補助医療部会も刑罰付きで禁止することを求める報告書をまとめた。
日本学術会議は、代理出産の是非を含めた生殖補助医療のあり方について検討している。
科学史家の米本昌平さんは「近親者による代理出産なら、代理出産する女性に危険があっても許される例があったかもしれないが、広く公募するとなると話は違い、大きな問題だ。厚生労働省が事情を聴くなど、政府としての対応も必要ではないか」と話す。
(代理出産:根津院長が暴走?ボランティア女性公募を発表)
代理母出産とは、「ある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産すること」とのこと。
代理母出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、自主規制が行われているため、国内では原則として実施されていない。しかし、代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっている。
この制度の不備を突く形で、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が、国内初の代理母出産を実施し、2001年5月にこれを公表した。また、タレントの向井亜紀が国内の自主規制を避ける形で海外での代理母出産を依頼することを大々的に公表し、これを実行した。そして、これらの事件により、代理母出産は、その是非も含めて社会的な注目を集めることとなった。
ですが、ベビーM事件のように「受け渡しを拒否」するといったことが起こっていたり、出産時に問題が起こるといったこともある。法整備が行われる前に、代理母出産を推進することは非常に危険な行為だと思われるのだが、一方で代理母出産を認める方向性の議論も必要だと思われる。根津院長の熱意が、議論を推進する作用を持っていることもまた事実だろう。
議論を尽くし、きちんとしたガイドラインが作成され、不妊に悩む夫婦が救われることを望む。
【関連記事】
向井亜紀「アメリカ人の子供として育てる」
「代理母問題」向井亜紀夫妻の出生届、不受理が確定
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根津院長は「こうした夫婦に力を貸しても良いという方を募り、子どもを持ちたい夫婦を助けるシステムを作りたい」と語った。妊娠・出産中の事故に対応する補償制度についても保険会社などと検討するという。
根津院長も会員の日本産科婦人科学会は現在、代理出産を認めていない。生命の危険もある妊娠・出産を他人に任せる問題や、女性の体の「道具化」につながる恐れがあるためで、厚生労働省の生殖補助医療部会も刑罰付きで禁止することを求める報告書をまとめた。
日本学術会議は、代理出産の是非を含めた生殖補助医療のあり方について検討している。
科学史家の米本昌平さんは「近親者による代理出産なら、代理出産する女性に危険があっても許される例があったかもしれないが、広く公募するとなると話は違い、大きな問題だ。厚生労働省が事情を聴くなど、政府としての対応も必要ではないか」と話す。
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代理母出産とは、「ある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産すること」とのこと。
代理母出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、自主規制が行われているため、国内では原則として実施されていない。しかし、代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっている。
この制度の不備を突く形で、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が、国内初の代理母出産を実施し、2001年5月にこれを公表した。また、タレントの向井亜紀が国内の自主規制を避ける形で海外での代理母出産を依頼することを大々的に公表し、これを実行した。そして、これらの事件により、代理母出産は、その是非も含めて社会的な注目を集めることとなった。
ですが、ベビーM事件のように「受け渡しを拒否」するといったことが起こっていたり、出産時に問題が起こるといったこともある。法整備が行われる前に、代理母出産を推進することは非常に危険な行為だと思われるのだが、一方で代理母出産を認める方向性の議論も必要だと思われる。根津院長の熱意が、議論を推進する作用を持っていることもまた事実だろう。
議論を尽くし、きちんとしたガイドラインが作成され、不妊に悩む夫婦が救われることを望む。
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