毛髪は、皮膚の傷が治る過程でも自然に再生して生えてくることを、米ペンシルベニア大医学部のグループが動物実験で突き止めた。脱毛症の新たな治療法の開発につながる成果で、17日付の英科学誌ネイチャーに発表される。
同大の伊藤真由美研究員らは、毛が生えそろった大人のマウスの背中の皮膚を1〜2平方センチほど切り取って経過を観察。表皮がふさがった時の傷が直径5ミリ以上の大きさだと、中心部から毛が生えてくることを確認した。皮膚の内部では、毛根や毛根を包む「毛包」が新たに作られていた。
この毛包を分子生物学的な手法で調べたところ、周囲にある普通の表皮細胞からできたことが判明。いったん分化した大人の表皮細胞にも、新たな毛包を作る能力があることが確認された。また細胞増殖にかかわるたんぱく質の量を調整して、毛包の数を増減させることもできた。
皮膚の傷に毛包が再生する現象は約50年前にウサギやマウス、人などで報告されていたが、科学的に証明されたのは初めて。研究グループは「毛包の再生条件を操作して傷を目立たなくしたり、傷を利用して脱毛症を治す方法の開発につながる可能性がある」としている。
(傷跡から毛髪再生、脱毛症治療に光明)
脱毛症と一口に言っても、その原因は様々です。
男性型脱毛症や脂漏性脱毛症、老人性脱毛症、円形脱毛症、制癌剤の投与などが原因の薬物脱毛症、瘢痕性脱毛症、出産後に起こる産後脱毛症などがあります。
今回の実験では、傷跡からの瘢痕性脱毛症で、「毛包」が失われてしまっている状態です。毛包は皮膚の中で毛髪を支え、毛髪を産み出している重要な部分です。特に毛包下部の毛乳頭では成長期になると活発に細胞分裂が繰り返され毛髪の元となる細胞を作り出しています。毛乳頭には、毛細血管が入り込んでおり、そこから栄養分を補給しています。
こうした組織がなくなれば、本来なら生えないと考えられますが、実際は新たな毛包を作る能力があり、周囲にある普通の表皮細胞からできることが証明されたようです。
この技術が再生条件を自由に操作できるようになり、臨床応用されれば、事故などで傷を負った方などには美容上、非常に有用な治療法となるのではないでしょうか。
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この毛包を分子生物学的な手法で調べたところ、周囲にある普通の表皮細胞からできたことが判明。いったん分化した大人の表皮細胞にも、新たな毛包を作る能力があることが確認された。また細胞増殖にかかわるたんぱく質の量を調整して、毛包の数を増減させることもできた。
皮膚の傷に毛包が再生する現象は約50年前にウサギやマウス、人などで報告されていたが、科学的に証明されたのは初めて。研究グループは「毛包の再生条件を操作して傷を目立たなくしたり、傷を利用して脱毛症を治す方法の開発につながる可能性がある」としている。
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