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化学療法

非小細胞肺癌は化学療法(抗癌剤治療)でどれくらい延命できるか?

非小細胞肺癌の予後(どれくらい生きられるのか)、そして化学療法による奏効率(どれくらい効くか)について以下に示したいと思います。

なお、肺癌に関する基礎知識がなく、かつ前の記事を読まれていない方は、ご参考ください。

肺癌の病期(ステージ):肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-1) 基礎知識

肺癌の治療方法について:肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-2) 治療方法

肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-3) 予後

非小細胞肺癌の化学療法


前提として、化学療法に耐えられる状態に患者さんがあることが条件となります。その上で検討される非小細胞肺癌での化学療法は、以下のようなものになります。

なお、非小細胞肺癌の化学療法では、

殺細胞性抗癌剤プラチナ製剤シスプラチン(CDDP,ランダ)
カルボプラチン(CBDCA,パラプラチン)
プラチナ製剤以外イリノテカン(CPT-11,トポテシン)
パクリタキセル(PAC、TXL,タキソール)
ドセタキセル(DOC、TXT,タキソテール)
ビノレルビン(VNR,ナベルビン,ロゼウス)
ゲムシタビン(GEM,ジェムザール)
アムルビシン(AMR,カルセド)
UFT(ユーエフティ)内服
TS-1(ティーエスワン)内服
ペメトレキセド(PEM,アリムタ)
分子標的治療薬ゲフィチニブ(イレッサ)内服
エルロチニブ(タルセバ)内服
ベバシズマブ(アバスチン)
クリゾチニブ(ザーコリ)内服

このような薬剤を使用していきます。

標準初回化学療法
1)Platinum doublet
プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)+プラチナ製剤以外の抗癌剤(+αでアバスチンを加えるかどうか)といった形になります。例えば、腺癌(非小細胞肺癌)の患者さんであれば、カルボプラチン+アリムタ(+アバスチン)などが選択されます。

2) 分子標的薬(特定の遺伝子異常がある場合)
たとえば、腺癌でEGFR mutationという遺伝子異常があれば、イレッサなどが選択されます。

2次治療以降
1次治療が効かない、もしくは最初に効いていたが、効かなくなってきた/新たな転移がみられるような場合、2次治療へと入っていきます。
1) ドセタキセルをはじめとする抗癌剤単剤
2) 分子標的薬(特定の遺伝子異常がある場合)続きを読む

非小細胞肺癌に対するTS-1の治療効果について

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京 社長:宇佐美 通)が特定非営利活動法人(NPO)西日本がん研究機構(WJOG)に委託、実施したLETS Study(WJTOG3605)の研究成果が、癌研究領域の主要雑誌である医学誌Journal of Clinical Oncology電子版に掲載されました。

LETS Studyは進行した非小細胞肺癌の標準治療の1つとされているカルボプラチン(以下CBDCA)+パクリタキセル(以下PTX)併用療法に対して、カルボプラチン(以下CBDCA)+TS-1併用療法の非劣性を検証する目的で実施されました。その結果、CBDCA+TS-1併用療法は主要評価項目である全生存期間における非劣性が証明され、癌治療に従事されている医療関係者および治療を受けられる患者さんに肺癌治療の新しい選択肢を示すものとなりました。

CBDCA+TS-1併用療法のメリットは、CBDCA+PTX併用療法に比べ日常生活の質(QOL)に影響を与えるしびれなど神経障害の副作用が少ない点、過敏反応を予防するためにPTXで必要な前処理も必要なく経口剤との併用により利便性に優れている点です。

− LETS(Lung Cancer Evaluation of TS-1) Studyとは −
未治療3B/4期非小細胞肺癌に対するCBDCA+TS-1併用療法とCBDCA+PTX併用療法の無作為化比較第III相臨床試験

カルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)併用療法
CBDCA:AUC 6 PTX:200 mg/m2を第1日目に投与し、これを21日毎に繰り返す。

カルボプラチン(CBDCA)+TS-1併用療法
CBDCA:AUC 5を第1日目に投与し、TS-1を体表面積に合わせて40mg/m2を1日2回(朝、夕食後)14日間服用し、これを21日毎に繰り返す。


AUC (Area under the curve)
薬物濃度時間曲線下面積。薬が使用された後の血中薬物濃度をY軸に、時間をX軸にとったときに描く山なりのカーブの下側の面積部分。体内の薬物総吸収量の指標になる。
カルボプラチンの薬物動態では、AUCがDLT(投与制限毒性)である骨髄抑制とよく相関する。

− Journal of Clinical Oncology (米国臨床腫瘍学会誌)とは −
American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会:ASCO)の学会誌で、2009年のImpact factorは17.793。癌研究領域における主要な医学雑誌の一つ。

◆ LETS Study試験の概要 ◆
【 目 的 】
本試験の目的は、進行期非小細胞肺癌の初回化学療法においてCBDCA+PTX併用療法に対して、CBDCA+TS-1併用療法の全生存期間における非劣性を証明することである。
【 方 法 】
2006年8月〜2008年5月の間に、日本国内30施設より564例がCBDCA+TS-1群とCBDCA+PTX群に無作為に割り付けられた。CBDCA+TS-1群はCBDCA:AUC 5を第1日目に投与し、TS-1を体表面積に合わせて40mg/m2を1日2回(朝、夕食後)14日間服用し、これを21日毎に繰り返した。CBDCA+PTX群はCBDCA:AUC 6、PTX:200 mg/m2を第1日目に投与し、これを21日毎に繰り返した。
【 結 果 】
プロトコールに規定された中間解析の結果、CBDCA+TS-1療法のCBDCA+PTX療法に対する全生存期間の非劣性が証明された(ハザード比0.928、99.2%信頼区間0.671 - 1.283、非劣性の片側p値 0.002)。全生存期間中央値はCBDCA+TS-1群15.2ヵ月、CBDCA+PTX群13.3ヵ月であり、1年生存率は、CBDCA+TS-1群57.3%、CBDCA+PTX群55.5%であった。
グレード3/4の白血球減少、好中球減少および発熱性好中球減少、脱毛、神経障害の発現率はCBDCA+PTX群で高く、一方、血小板減少、悪心、嘔吐、下痢はCBDCA+TS-1群で高かった。
【 結 論 】
経口のTS-1とCBDCAの併用療法は、CBDCA+PTX併用療法との比較において全生存期間における非劣性が証明されたことから進行期非小細胞肺癌における有効な治療選択肢といえる。
(非小細胞肺癌に対するTS-1の研究成果がJCO(米国臨床腫瘍学会誌)電子版に掲載)

肺癌における化学療法治療


肺癌の治療法としては、主に3種類のものがあります。外科療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法です。治療法の選択は、癌組織型、進展度(staging)、performance status(一般全身状態)、肺肝腎などの主要臓器機能、合併症の有無、により左右されます。

非小細胞肺癌の場合、通常はI期からIIIA期の一部が手術の対象となります(N2 症例に対する手術単独の治療成績は不良であり、集学的治療の対象)。IIIB期症例に対しては、プラチナ製剤を含む化学療法と胸部放射線治療の併用療法が標準であり、IV期は化学療法などが用いられます(ただし、治療意義は生存期間の延長と癌に伴う症状の緩和)。

非小細胞癌、特に肺腺癌であれば、まずはカルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)と、パクリタキセル(PTX)といった組み合わせや、カルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)とアリムタ(Alimta)などの組み合わせがfirst lineとなると考えられます。

最近では、カルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)とアリムタ(Alimta)などの組み合わせに、、血管内皮細胞増殖因子 (VEGF) に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブ(アバスチン Avastin)を加えて治療を行ったりもします。

また、上皮成長因子受容体(EGFR)の変異がある場合、チロシンキナーゼ阻害薬である経口薬、ゲフィチニブ(イレッサ)が用いられるケースもあります。

上記の論文は、点滴による化学療法であるカルボプラチン+タキソールと、点滴と内服薬による化学療法であるカルボプラチン+TS-1という治療の効果の比較を行った研究です。両者に差は無かった、という結果だったようです。

たとえば点滴による化学療法が行いにくい高齢者などでは、後者の治療も選択肢となれば、非常に有用であると考えられます。

TS-1という薬は、以下のようなものです。続きを読む

肺癌で化学療法を行い闘病、亡くなった−野沢那智さん

声優や俳優として活躍した野沢那智(のざわ・なち 本名=のざわ・やすとも)さんが、10月30日、肺がんのため都内の病院で死去した。72歳だった。

東京都出身。国学院大学を中退後、劇団「七曜会」などを経て、77年に劇団「薔薇座」を設立。演出家、俳優として活躍した。

洋画の吹き替えでは、アラン・ドロン、アル・パチーノ、ブルース・ウィリスなど幅広い役柄をこなし、テレビアニメでも「新エースをねらえ!」「ベルサイユのばら」「スペース・コブラ」などさまざまな作品で活躍した。

また、ラジオDJとしても活動し、67年からスタートしたTBSラジオの深夜放送「バック・イン・ミュージック」では白石冬美とのコンビで大きな人気を博し、15年にわたり多くのリスナーに親しまれた。
([演劇ニュース] 声優・俳優の野沢那智さんが死去)

肺癌とは


肺癌とは、肺や気管支から発生した悪性腫瘍で、一般にその特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数 × 年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます。中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

小細胞癌は、原発性肺癌の15%を占め、きわめて悪性度が高く、発見時にすでに遠隔臓器への転移や肺門縦隔リンパ節転移をみることが多いといわれています。

小細胞肺癌は、重喫煙者で男性に多いです。多くは肺門型(縦隔のある中心部付近に発生しやすいです。ちなみに肺門とは、左右の肺の内側面中央にある部分で、第5から第7胸椎の高さに相当する)で、区域枝から亜区域枝の上皮の基底膜近辺に発生し、気管支粘膜下を長軸方向に浸潤増殖するという特徴があります。

非小細胞肺癌の腺癌は、肺癌全体の約40%を占め、最も頻度の高い組織型です。女性肺癌の80%は腺癌であり、非喫煙者が多いです。ほとんどの症例で気管支肺胞系の末梢に発生し、孤立結節型の増殖を示し、画像上、結節影を形成します。

腫瘍細胞は、肺胞細胞を置換して隣接する肺胞、小葉へと進展します。腺癌の特殊型である細気管支肺胞型は円柱状の腫瘍細胞が肺胞壁に沿って増殖し、新たな腫瘍間質の形成がみられず、臨床的には多量の喀痰を伴い、しばしば肺炎や間質性肺炎と誤診されることもあります。

肺癌の治療


肺癌治療としては、大まかに分けて手術治療、放射線治療、化学療法(点滴や内服などによる抗癌剤)があります。放射線治療と化学療法、手術後に化学療法が行われたり(術後、切除してきたリンパ節から悪性腫瘍細胞がみとめられたりした場合や、再発した場合など)といった組み合わせはありますが、大まかに分けてこうした治療が行われます。

化学療法としては、以下のようなものがあります。続きを読む

肺癌で抗癌剤による治療を受けていた−つかこうへい さん

劇作家・つかこうへい氏(61)が肺がんのため入院していることが25日、明らかになった。報道各社にファクスで公表した。

現在、抗がん剤治療を受けているという。つか氏作・演出の舞台「飛龍伝 2010ラストプリンセス」(東京・新橋演舞場、2月3日開幕)は、病院でけいこのビデオを見て演出の指示を出しており「昨日今日で、ほぼ完ぺきなものができあがっております」とコメント。予定どおり上演される。

楽しみにしていた「飛龍伝」の開幕を控え、病に倒れていた。つか氏は昨年12月9日に行われた同舞台の製作発表も欠席。「体調不良のため」としていたが、関係者によると「昨秋ごろには告知を受けていたのではないか」という。

病気を隠し今月6日からのけいこには参加していた。別の関係者は「大声を出したり、セリフを書き換えたり、普通にお元気でした」と証言。「病気のことは全く感じられず、いつもどおりのつかさんでした」という。だがその後、中旬くらいから姿を見せなくなった。この時期に体調を悪化させて入院したとみられる。つか氏がけいこを欠席することは珍しいことではなかったが、不在が続き最近になって出演者の間から心配する声があがっていたという。

つか氏はファクスを通じ「キャスティング等、全て決まった後の肺がんの告知でございましたので、まことに辛うございました」と心境を告白。「病院で抗がん剤投与の治療中でございます」と報告した。

現在は演出助手に毎日けいこのビデオを病室に運ばせ、病床からセリフの書き換えなどを指示。「昨日今日で、ほぼ完ぺきなものができあがっております」と来月3日開幕にGOサインを出している。
(つかこうへい氏肺がん…昨秋ごろ発覚か)

肺癌とは


肺癌とは、気管支および肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍で、一般にその生物学的特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数 × 年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます。中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

肺癌は多彩な症状を示します(早期では無症状のことが多く、進行期になると多彩な症状)が、肺門型(気管が肺に入る入口付近)の肺癌では咳・痰などの症状が出やすく、肺野型(肺門から離れたところにできた癌)では無症状・健診発見が多いと言われています。

咳、痰などの症状がある場合、まずは胸部レントゲン写真撮影を行います。次に、癌かどうか、あるいはどのタイプの肺癌かを調べるため、喀痰細胞診、穿刺吸引細胞診などによる細胞診、気管支鏡や経皮的肺生検(CTガイド下肺針生検)などを行って組織診を行います。

胸部CTでは、単純胸部X線で描出できない小結節、肺門、縦隔リンパ節転移、隣接臓器浸潤、胸膜播種、他臓器転移を明確に描出することができます。CT画像でみられる悪性病変の特徴は、胸部X線の場合と同様ですが、さらに鮮明な画像が得られます。肺野末梢型の孤立結節影の画像上の鑑別診断には、thin slice CTが有用です。

らせんCT(ヘリカルCT、スパイラルCT)は、CT寝台を移動しながら連続スキャンに画像を得る方法です。撮影時の設定により、肺野陰影の存在診断,陰影の質的診断などを目指した診断が可能となります。また、寝台を止めてスキャンした場合、CT断面の透視画像となり、生検などの場合に用いられます。

気管支ファイバースコピーは、咳、痰、血痰などの症状で肺癌が疑われる症状を有する場合、または胸部画像診断で肺癌が疑われる場合が対象となります。こうした場合、さらに生検が行われ、組織学的に検査が行われることもあります。また、経皮的肺生検(CTガイド下肺針生検)が病理学的な診断に用いられることもあります。ほかにも、ファイバースコピーあるいは透視下、CTガイド下針生検で診断のつかない場合、VATS生検や開胸生検を行い確定診断を得ることもあります。

血液検査や胸水検査で、腫瘍マーカーが測られることもあります。腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞などが産生する物質で血液を中心とする体液、排泄物組織などに見い出され、腫瘍の存在、性状、進展度を示唆する蛋白質です。

肺癌では、CEA、NSE、Pro GRP、CYFRAなどが上昇する場合があります。通常、血漿または血清中の濃度を検討することが多いです。

ですが、いずれも特異性、感受性に問題があり、特定診断に用いることはできません。主として治療効果判定や再発の有無のチェックに用いることが多いです。

肺癌と抗癌剤治療


化学療法による治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む
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