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喫煙

「禁煙スペースでも吸えるたばこ」が発売

日本を含めて世界的に禁煙の風潮が強まる中、喫煙者の肩身がどんどん狭くなっている。禁煙エリアは広がる一方で、ビルなどではわずかばかりに設けられた喫煙スペースには愛煙家が殺到しており、とても落ち着いてたばこを吸える状態ではない。とはいえ、他人にまで迷惑を及ぼすのはたしかだし、嗜好品と言えど「個人の自由」の範疇を超えているという意見もよく分かるのだ。

こうした中、世界で“禁煙スペースでも吸えるたばこ”の開発が相次いでおり、愛煙家の間でひそかな人気を呼んでいるのだそう。

まずは、スイスのメーカーが開発し、欧州ですでに販売されている「NicStic」。加熱コイルでニコチンを気化させて吸い込むというもので、煙が発生しない。そのため、タールやホルムアルデヒドといった有害物質も発生せず、禁煙スペースでの“喫煙”が可能となっているのだ。

まずは、スイスのメーカーが開発し、欧州ですでに販売されている「NicStic」。加熱コイルでニコチンを気化させて吸い込むというもので、煙が発生しない。そのため、タールやホルムアルデヒドといった有害物質も発生せず、禁煙スペースでの“喫煙”が可能となっているのだ。

「NicStic」の公式サイトを見てみると、ドイツ語のみで英語のサービスはまだ提供していないようだけど、写真を見る限り、箱もそのもの自体もたばこそっくり。Hotwiredの記事によると、たばこで言う葉を巻いている部分が加熱コイル入りのプラスチック製チューブとなっており、フィルターにあたる部分がニコチンが入りの容器となっているようで、この2つをつなげることにより、チューブのコイルがフィルター内のニコチンを気化させる仕組みになっているそうなのだ。

チューブは3.7ボルトのリチウム電池が内蔵されたケースで充電し、1回の充電で20回ほどの“喫煙”ができるのだそう。フィルター1つには2ミリグラムのニコチンが含まれており、“喫煙”時間は約3分。充電器を兼ねたケースとチューブ3本、ニコチン入りフィルター1カートンが1セットになっている。

気になる味のほうは、体験した人の感想によると「ひどい」「前日に使った灰皿を下で触ったような味」「味がない」「刺激がない」「本当に2ミリグラムのニコチンが入っているのか」などなど。どうも芳しくないようなのだ。たしかに、たばこを吸い終わった灰皿のニオイをかいでみると、ニコチンがいかに臭いかが分かるのだ。Hotwiredも〈たばこの煙とどちらがましか、というにおいがする〉〈喫煙者さえ不快に思うはっきりとしたニコチン臭が発生する〉としている。
(「禁煙スペースでも吸えるたばこ」が発売)


たしかに、副流煙などを発生せず、周囲に影響が全くないというのなら、近くでいくら喫煙されようが問題はないわけです。

受動喫煙とは、喫煙をする者の周囲の人間が、その煙を吸引する行為です。環境たばこ煙とは、副流煙(喫煙者が直接吸う主流煙に対し、たばこの先から立ち上る煙)と、呼出煙(喫煙者の吐き出す煙)が交じり合ったものを指します。

受動喫煙は死亡率や様々な疾患を増加させることが、複数の科学的証拠に基づいた上で示されています。

特に、新生児や乳幼児は、自発運動ができず環境に極めて受動的で、呼吸器や中枢神経などが発達途上であり身体的な影響を受けやすいため、受動喫煙を避けられるような配慮がなされるべきです。

疫学的な研究によって受動喫煙と関連づけられている疾患として、悪性腫瘍(がん)や心筋梗塞などの循環器系疾患などがあります。たとえば、7369人の肺癌患者を対象としたメタ解析では、夫婦での受動喫煙による肺癌の相対リスクは1.25倍、職場の受動喫煙については1.17倍と報告されています。

乳幼児の受動喫煙により、乳幼児突然死症候群(SIDS)、呼吸器感染症、中耳炎、気管支喘息、子供の行動障害、思春期における喫煙率などが増加することが報告されています。

まだ「煙のでないたばこ」は発展途上のようですが、喫煙が問題にならない日がくるのでしょうか。

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喫煙は寿命3.5年縮める…厚労省研究班調査

たばこを吸う男性は、吸わない男性に比べて40歳以降の余命が約3・5年短くなることが、厚生労働省研究班(研究班長・上島弘嗣滋賀医大教授)の大規模な疫学調査でわかった。

寿命に対する喫煙の影響が、具体的な数値として明らかになったのは国内で初めて。喫煙対策の重要性を示す研究として注目される。

1980年に、全国300か所の保健所で健診を受けた男女約1万人(平均年齢約50歳)を対象に、喫煙習慣の有無や喫煙量を質問し、1999年まで追跡調査。亡くなった約2000人の年齢と喫煙習慣から平均余命を算出した。

その結果、80年時点でたばこを吸っていた男性の場合、40歳時の平均余命は38・6年で、吸わない男性の42・1年に比べ、3・5年短かった。1日に2箱以上吸う男性の余命は38・1年で、非喫煙者との差が4年に拡大した。

65歳男性では、喫煙者の余命は16・8年で非喫煙者は19・3年。女性の場合、吸う人の40歳時の余命は43・4年、吸わない人は45・6年で、いずれも喫煙者が短くなった。

80年の時点では、調査した男性の喫煙率は62%と高く、その後も高率で喫煙を続けたとみられる。一方、途中で禁煙に転じた人がいる可能性もあり、研究班では、仮に誰も禁煙しなかったら余命格差はさらに広がったとみている。

調査時、「禁煙した」と答えた人の余命は、大半の世代で喫煙者と非喫煙者の間の値となり、禁煙が余命を延ばす効果も確認された。

喫煙が寿命を縮めるのは、肺がんや脳卒中、心筋梗塞(こうそく)による死亡率が高まるためで、研究を主導した村上義孝・滋賀医大特任講師は「平均寿命が3・5年短くなることは、ほぼ20年前の寿命に逆戻りしたことに匹敵する。たばこの影響は大きい」と話している。

海外では、喫煙が寿命を短くする数値を示した研究がある。日本では、喫煙で肺がん、心筋梗塞の死亡率が高まるとの報告はあるが寿命への影響を調べた研究はなかった。2005年、日本人の喫煙と寿命の関係についてただした民主党衆院議員の質問主意書に対し、政府は「数値等の資料がないため、回答は困難」と答弁書を出している。

国の調査では、2005年の日本人の平均寿命(0歳時の平均余命)は男性78・56歳、女性85・52歳。この差にも、喫煙習慣の男女差が大きく影響していると研究班ではみている。
(喫煙、40歳男性で寿命3・5年縮める…厚労省研究班調査)


タバコは、中枢神経作動薬であるニコチンを含みますが、ニコチンには明らかな依存性があることが知られています。

例えば動物実験において、レバーを押すことでニコチンを静脈内投与するような仕組みを作ると強化行動が起こります。喫煙の依存性は、喫煙者のうち5割以上の者が禁煙の失敗を経験しており、禁煙の成功率は5〜10%程度であるというデータからも示されています。また、ニコチンの中断により離脱症状を生じるが、これはニコチンの投与によって軽減します。

喫煙は、多くの問題を引き起こします。
タバコの煙には、発癌性を有する化学物質が含まれており、一方でニコチンには依存性が認められています。そのため、喫煙者は長期間にわたり繰り返し発癌性物質に曝露される行為を繰り返してしまう傾向が高いです。

喫煙によって罹患率が増加することが示されている癌として、肺がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がんなどがあります。

また、喫煙により慢性気管支炎、肺気腫(これらの2つの疾患のことをCOPDとも言う)などが生じます。軽度のものを含めると、習慣的喫煙者のほぼ100%に気腫性変化が生じます。

他にも、循環器、妊娠中の胎児への影響など、吸っている本人および周囲の人への副流煙での害が考えられます。

3年半の延命と、健康に過ごせる人生が送れるかも知れません。今からでも、禁煙されてはいかがでしょうか。

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この40年で10倍に増えた膵臓ガン

発見が難しく、生存率も低い膵臓ガン(以下、膵ガン)の死亡率が過去50年間で40倍近くにも増えており、毎年2万人以上が亡くなっています。膵ガンは特に喫煙と関係があり、禁煙を10年以上続けると発症リスクは非喫煙者並みに減るとも言われています。

膵がんは60歳頃から増えるガンで、高齢化に伴って1960年代から80年代後半まで増加、その後は横ばいまたは漸増傾向にあります。死亡率(人口10万人当たりの死亡数)は男性の方が高く、女性の1.7倍です。1950年の死亡率はわずか0.5でしたが、2004年には19.4と39倍も増加、すべてのガン死亡数のなかで第5位となっています(男性の場合)。

膵臓は胃の後ろにある長さ20センチメートルほどの臓器で、消化液を十二指腸に分泌し、また血糖を調節するホルモンを作りだしています。膵ガンになると、黄だんや左肩、腰などの痛み、下痢などの症状が出ることもありますが、自覚症状がないこともあります。症状が出た時点ではかなり進行しているケースが多く、5年生存率も10%程度と非常に低いのが特徴です。

喫煙が膵ガンの危険因子であることはほぼ確実なようで、喫煙者は非喫煙者に比べて1.5〜2.5倍程度も発症リスクが高く、10年間以上禁煙すれば非喫煙者と同じ程度のリスクまで下がるといわれています。

50歳代前の愛煙家は今からでも禁煙したいものです。最近の研究によると、ビタミンDを1日当たり400IU以上摂取すると、膵ガンの発症予防に効果があるという報告も出ています。

また2センチメートル以下の膵ガンであれば、外科手術や放射線、化学療法などで5年生存率が37%にまで上がりますので、人間ドックなどで腹部エコー検査などを受け早期発見を心がけましょう。
(この40年で10倍に増えた膵臓ガン)


膵臓は膵液を産生する腺房、膵液を運ぶ膵管、および内分泌腺であるランゲルハンス島などからなりますが、膵癌の約90%は膵管から発生する膵管癌(ductal cell carcinoma)である。通常「膵癌」といえば膵管癌を指します。

そのほか稀なものとして、膵内分泌腫瘍(pancreatic endocrine tumor)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm; IPMN)などがあります。IPMNは浸潤性膵管癌の発生母地となることが知られており、慎重な経過観察を必要とします。

危険因子としては、
1)喫煙
2)肉やコーヒーの過剰摂取
3)肥満および膵炎、胆石症、糖尿病
4)家族因子
5)年齢(50〜70歳代が高リスク)

などがあります。
症状としては、上記の通りです。
腹痛、体重減少、黄疸、耐糖能異常などが主な症状ですが、初期には無症状のことが多いです。進行癌になると背部痛、腹痛、下痢が出現しますが、これは癌が膵臓にとどまらず周囲に広がったことを示します。

膵頭部(膵臓の右側)の癌では皮膚や尿の黄染で発症することもありますが、これは腫瘍が総胆管を閉塞して黄疸が出現するためです。
一方、膵内分泌腫瘍は種々のホルモン(インスリン、ガストリン等)を分泌し、低血糖や消化管潰瘍などの特徴的な症状を呈します。

進行度によって手術、全身化学療法、放射線療法、あるいはこの組み合わせて行われます。治癒切除(癌を取りきること)が可能であれば手術が第一選択となります。

ともかく、禁煙によって、禁煙10年で発症リスクが減少するとのこと。
今からでも、禁煙してみませんか。

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ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍

落ち着きがないなどの症状が表れるADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの場合、母親の喫煙率が同年代の女性の2倍程度高いことが、大阪府の小児科医の調査でわかった。

母親の喫煙とADHD発症との関係を示す研究は、これまで海外ではあるが、日本では初めてという。

ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による発達障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の小児科医院の安原昭博院長が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。

その結果、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に出産時の年齢が20〜24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。
(ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍)


DSM-IV-TRによる正式名は、注意欠陥・多動性障害 (AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder) といいます。ADHDは多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つといわれています。

集中困難・過活動・不注意などの症状が通常7歳までに確認されますが、過活動が顕著でない不注意優勢型の場合、幼少期には周囲が気付かない場合も多いとのこと。

ADHDを持つ子供は飽き易くすぐに新奇な刺激を求める傾向にあります。
ADHDを持つ子供は、重要なこととそうでないことの区別をすることは出来、一時的には正常に機能できます。しかし識別する力が健常の子供よりも早く尽きてしまい、無視するべき刺激にすぐ反応してしまい、新しいものや面白そうなものに見境なく飛びついてしまう時があるそうです。
正常な子供はおもちゃを観察したり意見を述べたりしながら一つのおもちゃで長く遊ぶが、ADHDを持つ子供はすぐに他のおもちゃを手に取る傾向があります。

更に、何かの作業が中断されると、元に戻るのに正常な子供の何倍もの時間がかかるか、(また別の)次の対象に関心を移してしまいます。

遺伝的な要素が指摘され、一卵性双生児ではきわめて高い頻度で一致し、血縁者に共通してみられることも多い、とされていますが、今回の研究では患児の母親が喫煙率2倍という結果になっています。

果たして、どちらがより強い効果をもっているのかは不明ですが、研究が進むことで、メカニズムが解明され、病態に即した治療法が開発されれば、と思われます。

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