ミュージシャンの大滝詠一さん(65)が30日午後、自宅で倒れて、そのまま死亡していたことがわかった。
大滝さんは、30日午後5時半ごろ、東京・瑞穂町の自宅で倒れ、病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。
大瀧詠一
死因は、解離性大動脈瘤で、65歳だった。大滝さんは、フジテレビの月9ドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌などを手がけたほか、多くの歌手に楽曲を提供していた。
(ミュージシャン・大滝詠一さん、解離性大動脈瘤のため死去 65歳)
動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の三層構造になっています。「大動脈解離」とは、大動脈壁の中膜層が内外に剥離する病態をいいます。簡単に言えば、心臓から全身に血液を送り出す大動脈、その血管壁に亀裂が生じ、流れ込んだ血液によって、本来1本のはずの流れが、2本になってしまう疾患です。2本に分かれた血管は極めてもろく、破裂すれば即死してしまう可能性もあります。
多くの場合、粥状硬化や中膜壊死のある大動脈において生じ、亀裂(エントリー)を生じた内膜から大動脈壁内に血液が侵入し、中膜層を解離させながら病変が進展していきます。中でも、瘤を形成する症例は解離性大動脈瘤といいます。
大動脈瘤とは、何らかの原因により大動脈壁が脆弱化し、限局的に動脈内腔が拡張した状態を指します。大動脈瘤は「正常動脈径より50%以上の拡大、あるいは動脈が局所的に3.0cm以上拡大した状態」と定義されます。
大動脈瘤の部位により、上行大動脈瘤、弓部・胸部下行大動脈瘤、腎上部腹部大動脈瘤、腎動脈分岐部以下の腹部大動脈瘤(腎下部腹部大動脈瘤)、胸腹部大動脈瘤に分類されます。
部位別では腎動脈分岐部以下の腹部大動脈瘤(腎下部腹部大動脈瘤)が約60%と最も多く、次いで上行大動脈瘤16%、弓部下行大動脈瘤7%、腎上部腹部大動脈瘤5%、胸腹部大動脈瘤2%の順となっています。
大動脈解離の症状としては、上記のように突然の激烈な胸部や背部痛があります。痛みは最初が一番激しく、その後ジワーッと長く続きます(12時間〜数日)。痛みの部位は、肩などに移動することもあります(胸部に発生して、腹部に移動することも)。
血圧は通常高値ですが、破裂や心タンポナーデ、冠動脈閉塞を合併するとショックに陥ることもあります。心嚢液、また胸水の貯留により心不全、呼吸不全を呈することもあります。心臓、脳、肝臓、腎臓などの臓器障害、上・下肢の血行障害を呈することもあります。(上行大動脈解離では心タンポナーデ、縦隔内出血を生じ、下行大動脈解離では縦隔、胸腔へ、腹部大動脈解離では腹膜腔あるいは後腹膜腔へ出血する)。
単純CTでは、大動脈の拡大・胸腔などへの出血が確認できますが、解離の程度、範囲、血栓閉塞の有無など確定診断には造影CTが必要となります。大動脈造影でも診断できます(比較的安全に施行でき、CTで検出困難な解離腔なども診断できる可能性もあります)。心エコーでも、胸壁からのアプローチで上行大動脈基部の拡大、フラップ、心膜腔への出血、大動脈弁閉鎖不全が検出できます。血液検査では、一般的な炎症所見として白血球増加、赤沈値促進などがみられ、疼痛がおさまってもCRPや赤沈値は比較的長期に、時には数ヶ月にわたって異常値を示します。続きを読む
大滝さんは、30日午後5時半ごろ、東京・瑞穂町の自宅で倒れ、病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。
大瀧詠一
死因は、解離性大動脈瘤で、65歳だった。大滝さんは、フジテレビの月9ドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌などを手がけたほか、多くの歌手に楽曲を提供していた。
(ミュージシャン・大滝詠一さん、解離性大動脈瘤のため死去 65歳)
大動脈解離とは
動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の三層構造になっています。「大動脈解離」とは、大動脈壁の中膜層が内外に剥離する病態をいいます。簡単に言えば、心臓から全身に血液を送り出す大動脈、その血管壁に亀裂が生じ、流れ込んだ血液によって、本来1本のはずの流れが、2本になってしまう疾患です。2本に分かれた血管は極めてもろく、破裂すれば即死してしまう可能性もあります。
多くの場合、粥状硬化や中膜壊死のある大動脈において生じ、亀裂(エントリー)を生じた内膜から大動脈壁内に血液が侵入し、中膜層を解離させながら病変が進展していきます。中でも、瘤を形成する症例は解離性大動脈瘤といいます。
大動脈瘤とは、何らかの原因により大動脈壁が脆弱化し、限局的に動脈内腔が拡張した状態を指します。大動脈瘤は「正常動脈径より50%以上の拡大、あるいは動脈が局所的に3.0cm以上拡大した状態」と定義されます。
大動脈瘤の部位により、上行大動脈瘤、弓部・胸部下行大動脈瘤、腎上部腹部大動脈瘤、腎動脈分岐部以下の腹部大動脈瘤(腎下部腹部大動脈瘤)、胸腹部大動脈瘤に分類されます。
部位別では腎動脈分岐部以下の腹部大動脈瘤(腎下部腹部大動脈瘤)が約60%と最も多く、次いで上行大動脈瘤16%、弓部下行大動脈瘤7%、腎上部腹部大動脈瘤5%、胸腹部大動脈瘤2%の順となっています。
大動脈解離の症状としては、上記のように突然の激烈な胸部や背部痛があります。痛みは最初が一番激しく、その後ジワーッと長く続きます(12時間〜数日)。痛みの部位は、肩などに移動することもあります(胸部に発生して、腹部に移動することも)。
血圧は通常高値ですが、破裂や心タンポナーデ、冠動脈閉塞を合併するとショックに陥ることもあります。心嚢液、また胸水の貯留により心不全、呼吸不全を呈することもあります。心臓、脳、肝臓、腎臓などの臓器障害、上・下肢の血行障害を呈することもあります。(上行大動脈解離では心タンポナーデ、縦隔内出血を生じ、下行大動脈解離では縦隔、胸腔へ、腹部大動脈解離では腹膜腔あるいは後腹膜腔へ出血する)。
単純CTでは、大動脈の拡大・胸腔などへの出血が確認できますが、解離の程度、範囲、血栓閉塞の有無など確定診断には造影CTが必要となります。大動脈造影でも診断できます(比較的安全に施行でき、CTで検出困難な解離腔なども診断できる可能性もあります)。心エコーでも、胸壁からのアプローチで上行大動脈基部の拡大、フラップ、心膜腔への出血、大動脈弁閉鎖不全が検出できます。血液検査では、一般的な炎症所見として白血球増加、赤沈値促進などがみられ、疼痛がおさまってもCRPや赤沈値は比較的長期に、時には数ヶ月にわたって異常値を示します。続きを読む