落ち着きがないなどの症状が表れるADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの場合、母親の喫煙率が同年代の女性の2倍程度高いことが、大阪府の小児科医の調査でわかった。

母親の喫煙とADHD発症との関係を示す研究は、これまで海外ではあるが、日本では初めてという。

ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による発達障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の小児科医院の安原昭博院長が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。

その結果、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に出産時の年齢が20〜24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。
(ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍)


DSM-IV-TRによる正式名は、注意欠陥・多動性障害 (AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder) といいます。ADHDは多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つといわれています。

集中困難・過活動・不注意などの症状が通常7歳までに確認されますが、過活動が顕著でない不注意優勢型の場合、幼少期には周囲が気付かない場合も多いとのこと。

ADHDを持つ子供は飽き易くすぐに新奇な刺激を求める傾向にあります。
ADHDを持つ子供は、重要なこととそうでないことの区別をすることは出来、一時的には正常に機能できます。しかし識別する力が健常の子供よりも早く尽きてしまい、無視するべき刺激にすぐ反応してしまい、新しいものや面白そうなものに見境なく飛びついてしまう時があるそうです。
正常な子供はおもちゃを観察したり意見を述べたりしながら一つのおもちゃで長く遊ぶが、ADHDを持つ子供はすぐに他のおもちゃを手に取る傾向があります。

更に、何かの作業が中断されると、元に戻るのに正常な子供の何倍もの時間がかかるか、(また別の)次の対象に関心を移してしまいます。

遺伝的な要素が指摘され、一卵性双生児ではきわめて高い頻度で一致し、血縁者に共通してみられることも多い、とされていますが、今回の研究では患児の母親が喫煙率2倍という結果になっています。

果たして、どちらがより強い効果をもっているのかは不明ですが、研究が進むことで、メカニズムが解明され、病態に即した治療法が開発されれば、と思われます。

【関連記事】
自閉症と親の年齢の関連:中高年で授かった子供でリスク大