8月9日に劇症型心筋炎で入院していた俳優山本陽一(40)が3日、都内の病院を退院した。先月下旬からリハビリを開始。50メートルの歩行や、イスから立ったり座ったりする運動、入浴などで心臓の異常がないことを確認し、退院の許可を得た。

今後は週に1度程度の通院で経過を見ながら、仕事復帰のタイミングを探る。所属事務所の関係者は「過度の運動を避ければ、日常生活に支障はないと言われている。入院した後、仕事のスケジュールはすべてキャンセルしているので、これから仕事を選んでいきたい」と話した。7日に会見を行う予定。
(劇症型心筋炎で入院の山本陽一が退院)

心筋炎とは


心筋組織における炎症病変の総称です。臨床像は多彩であり、さまざまな症状や徴候が現れます。経過からは急性と慢性、それに劇症型心筋炎に臨床分類されます。日常遭遇するのは圧倒的に急性心筋炎が多いです。

原因としては、ウイルス、リケッチア、細菌、真菌、寄生虫によって起こるほか、放射線、薬品、毒物などによっても起こることが知られています。日本および欧米では、ほとんどの急性心筋炎の原因はウイルスによると考えられています。

ウイルス感染による心病変は必ずしも心筋のみではなく、心内膜や心膜にも障害をきたすことが多いです。心筋炎は、多種のウイルス感染によって起こることが知られていますが、ヒトでは特にRNAウイルスが多く、ピコルナウイルス群のなかでエンテロウイルス、特にコクサッキーウイルスは、ウイルス性心筋炎をきたすもっとも頻度の高い原因と考えられています。

心筋炎の診断


症状としては、かぜ様症状や消化器症状が先行し、数時間から数日の経過で胸痛、呼吸困難、ショックなどの心症状が出現します。

全身徴候としては発熱、頻脈や徐脈、低血圧が、局所徴候では?音、房室弁逆流性雑音、湿性ラ音、頸静脈怒張、肝腫大、浮腫、心膜摩擦音などに留意する必要があります。

血液検査では、心筋逸脱酵素(CPK、CPK-MB、AST、LDH)や心筋構成蛋白トロポニンTの上昇が有用です。心電図によるST-T波の異常、心ブロック、期外収縮、心房細動、心室頻拍などと、心エコー図による壁肥厚、内腔の狭小化、壁運動低下などが診断に役立ちます。

重症例では、トロポニンTの高値やさらなる上昇、心電図でのR波の減高、異常Q波の出現、それにQRS波幅の拡大が認められます。

心電図変化はもっとも高頻度にみられ診断に有用ですが、急性心筋炎に特異的所見はなく、非特異的なST-T変化のみであることが多いです。経過を追って繰り返し心電図をとることが重要です。

一過性のQ波の出現や急性心筋梗塞類似の変化のみられることもあります。また一過性の第2度または第3度の房室ブロックや、洞性頻脈、心房性および心室性不整脈がみられることが多いです。

心筋梗塞巣の描出に用いられてきたテクネシウムピロリン酸による心筋シンチグラフィは、心筋炎でも陽性所見が得られることが明らかとなり、心筋病変の程度を評価するのに役立つと考えられています。

また、心筋炎ではガリウムによるシンチグラフィが診断に有用であるとの報告もあります。さらに、抗ミオシンモノクローナル抗体を用いた心筋シンチグラフィが心筋炎の診断に応用されつつあります。

確定診断には心筋生検による病理診断が、またウイルス検索にはペア血清での抗体価測定、PCR法やin situ hybridization法によるゲノム検出が用いられます。

心筋炎の治療


心筋炎の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む