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治療

お子さんのドモリ(吃音)「むしろ言語発達優秀」という研究結果

米国小児科学会(AAP)は8月26日、Pediatrics 9月号に「未就学児の吃音に関する研究『4歳までの吃音の自然史、前向き地域研究』」を発表しています(PRESCHOOLERS WHO STUTTER DO JUST FINE EMOTIONALLY AND SOCIALLY, STUDY FINDS)。



研究方法としては、
・吃音症であるオーストラリア人の4歳児1619人を対象
・Early Language in Victoria Study(ELVS)に携わる研究者が調査を行った。
・累積吃音発現率、経過/治療結果を観察

といったものです。

その結果は、以下のようなものでした。続きを読む

多汗症を交感神経切断術で抑制

皮膚の汗腺を刺激する神経を切断する外科手術が、多汗症治療に有用であることが新しい研究で示された。
 
過剰な発汗に悩む多汗症患者は、世界人口の3%にあたる約1億9,700万人存在するといわれる。通常の3〜4倍量の発汗がみられ、主に手のひら、腋の下、顔、足などに症状が現れる。正確な原因はわかっていないが、汗腺を刺激する神経が過剰に作用することにより生じるとされている。治療法には、局所的および経口による薬物療法、ボトックス注射、イオン導入などのほか、このような治療で効果がみられない場合は外科手術という選択肢もある。

米Barrowバロー神経学研究所(BNI、アリゾナ州)のチームによる今回の研究では、両側の胸腔鏡下交感神経切除術を受けた多汗症患者300人の経過を調べた。この手術は、3カ所の小さな切開部から小型ファイバーカメラおよび手術器具を挿入し、多汗の原因となる神経を切断するというもので、極めて侵襲性が低い。被験者のうち129人は手のひら、11人は腋の下、160人は手のひらと腋の下の両方に過剰発汗がみられる患者であった。

この手術により、患者の99.3%で手のひらの多汗症が治まり、61%で腋の下の多汗症が治まった。合併症としては、不整脈2例、術後うつ病1例、術後気胸(胸腔に空気がたまる病態)9例が認められ、このうち5例は胸腔チューブによるドレナージを要した。胸膜癒着のため予防的に胸腔ドレナージを要した患者が4例であった。

このほか、16例に胸、背中、脚など別の部位に多汗が生じる代償性多汗症が認められたほか、7例に誤って神経を損傷したことによるホルネル症候群がみられた。ホルネル症候群では、顔面の発汗、瞼の下垂、神経損傷のある側の瞳孔縮小などがみられる。さらに、6例に肋間神経の損傷による肋間神経痛が認められた。
(多汗症を交感神経切断術で抑制)


多汗症とは、緊張・不安などのストレスから交感神経が狂い、体温上昇とは関係なく汗が過剰に放出される疾患です。 頭部・手・脇に多く見られます。

問題となる交感神経系の過剰な働きを抑えるため、外科的に切除してしまおう、というのが今回の治療法です。

ですが手術である以上、合併症の問題もあり、ホルネル症候群という、上位の交感神経系(C8〜Th12まで)が障害されることで生じる一連の諸症状などがあります。結果、上記のような症状がみられます。

他にも、代償性多汗症や不整脈、術後気胸のようなことが起こる可能性があるそうです。ですが、多汗症で悩まれている方には、革新的な治療法ではないでしょうか。今後、一般的に行われる治療として行われるようになるのでしょうか。

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がん治療薬開発に道? 細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定

ショウジョウバエの全遺伝子を解析し、細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定することに、名古屋大高等研究院の五島剛太特任准教授(32)らの研究グループが成功した。6日付米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。がん細胞の分裂を阻止する治療薬開発につながる成果だという。

五島氏らは、2006年のノーベル医学・生理学賞の受賞対象となった「RNA干渉法」を用い、約1万4,500あるショウジョウバエの遺伝子の機能を1つ1つ破壊し、細胞分裂に必要な205遺伝子を特定した。

膨大な数の遺伝子を分析するために、五島氏らは、全自動顕微鏡とコンピューターによる自動画像解析の手法を確立。従来は5年かかる分析を1年の短期で実現した。

五島氏は「今回特定した205の遺伝子のほとんどは、人間にも存在し、人間の細胞分裂にも重要と思われる。がん細胞の分裂を止める遺伝子治療のターゲットとなりうる」と話した。
(細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定 がん治療薬開発に道)


全てのがんは、遺伝子の突然変異によって発生します。

身体を構成している数十兆の細胞は、分裂・増殖と、「プログラムされた細胞死」(アポトーシス)を繰り返しています。正常な状態では、細胞の成長と分裂は、身体が新しい細胞を必要とするときのみ引き起こされるよう制御されています。すなわち細胞が老化・欠損して死滅する時に新しい細胞が生じて置き換わります。

ところが特定の遺伝子(p53など、通常複数の遺伝子)に突然変異が生じると、このプロセスの秩序を乱してしまうようになります。すなわち、身体が必要としていない場合でも細胞分裂を起こして増殖し、逆に死滅すべき細胞が死滅しなくなります。

このようにして生じた過剰な細胞は組織の塊を形成し、腫瘍あるいは新生物と呼ばれます。腫瘍には良性(非がん性)と悪性(がん性)とが存在する。良性腫瘍は、稀に命を脅かすことがあるが、身体の他の部分に浸潤せず肥大化も見られません。一方、悪性腫瘍は浸潤・転移し、生命を脅かします。

全ての遺伝子の突然変異ががんに関係しているわけではなく、特定の遺伝子の変異が関与していると考えられています。また、発癌には多段階発癌説が提唱されています。すなわち、癌に関与する因子ならびに癌に至るプロセスは単一ではなく、複数の遺伝子変異などが関与すると考えられています。

がん発生に関与すると思われる遺伝子の突然変異が起こり、細胞分裂・増殖に歯止めがきかなくなる…こうしたプロセスの内、細胞分裂の遺伝子が特定されれば、そのうちのどこに異常があるのかをつきとめ、ターゲットとなる遺伝子を、遺伝子治療によって治す、という夢のような話が展開されようとしています。臨床応用はまだまだ先でしょうが、侵襲性や確実性の高い治療が期待できそうです。

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