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片頭痛

片頭痛が低所得者に多いという研究結果

米国神経学会(AAN)が、8月28日配信のNeurologyオンライン版に掲載した内容です。「片頭痛が高所得層よりも低所得層で多く発症する」ことを示した研究を紹介しています(Does Migraine Affect Income or Income Affect Migraine?)。



研究の方法としては、
・12歳以上の被験者16万2705人が対象。
・片頭痛の症状経験の有無、症状が始まった年齢、および家庭の収入について質問。
・低所得家庭の収入 < 年収入2万2500ドル未満、高所得家庭 ≧ 年収入6万ドル以上 と規定


その結果としては、以下のようなものだったそうです。続きを読む

片頭痛のある女性は脳卒中リスクが高い

前兆として視覚症状を伴う片頭痛のある女性は、特に喫煙と経口避妊薬を併用している場合、脳卒中のリスクが高いことが新しい研究により示され、米医学誌「Stroke」オンライン版に8月9日掲載された。
 
研究を率いた米メリーランド大学医学部のSteven Kittner博士によると、片頭痛のある15〜44歳の女性のグループが脳卒中を発症するリスクは10万人につき20人と極めて小さい。しかし、その女性が喫煙者である場合や高血圧または糖尿病がある場合、脳卒中リスクは高くなる。

今回の研究は、脳卒中を発症したことのある15〜49歳の女性386人のデータを収集し、脳卒中の病歴のない同年代の女性614人と比較したもの。その結果、視覚症状を伴う片頭痛のある女性は片頭痛のない女性に比べ、脳卒中リスクが1.5倍であった。さらに、視覚症状を伴う片頭痛のある女性のうち、経口避妊薬の使用および喫煙をしている女性は、どちらもない女性に比べ脳卒中リスクが7倍であった。最近片頭痛が始まった場合でも、頻繁な片頭痛や長期間の片頭痛がある場合と同じように、脳卒中リスクの増大をもたらす可能性があるという。

視覚症状のある片頭痛は脳卒中の弱い危険因子(リスクファクター)と捉える必要があり、それ自体についてはどうすることもできないが、どのような予防策を取るべきかに影響するとKittner氏は述べ、同症状のある女性は禁煙し、経口避妊薬の使用について医師と十分に話し合う必要があると助言している。
(片頭痛のある女性は脳卒中リスクが高い)


『視覚症状を伴う片頭痛のある女性は片頭痛のない女性に比べ、脳卒中リスクが1.5倍であった。さらに、視覚症状を伴う片頭痛のある女性のうち、経口避妊薬の使用および喫煙をしている女性は、どちらもない女性に比べ脳卒中リスクが7倍』とのことです。つまり、片頭痛もそれ自体脳卒中のリスクとなるが、さらに他の経口避妊薬や喫煙といったファクターが絡むと、リスクが7倍と格段に上がってしまうようです。

片頭痛の発生メカニズムについては、まだ解明されていない部分もありますが、有力な説としては「セロトニン説」と「神経血管説」の2つがあるそうです。
1)セロトニン説
ストレス・緊張などにより脳が刺激を受けると、血液成分である血小板から血管を収縮させる作用を持つセロトニンが多量に放出されるようになり、脳内の血管が収縮する。時間の経過と共にセロトニンが分解・排泄されて減少すると、一度収縮した血管が逆に広がりはじめるようになり、この時に頭痛が起こるようになるというもの
2)三叉神経血管説
脳から伝えられた何らかの刺激が血管周囲にある三叉神経を刺激し、三叉神経の末端から血管を拡張させる作用をもつサブスタンスPなどのさまざまな神経伝達物質が分泌される。その結果、血管が広がり、その周囲に炎症が起こって頭痛として自覚されるというもの。

治療としては、軽症ではNSAIDs、中等症以上ではトリプタン系薬物(セロトニンという1Bと1D受容体に選択的に作用して血管の拡張と炎症を抑える)が用いられます。エルゴタミン製剤(5-HT1受容体刺激作用を持ち、血管収縮作用をもつ)も有効な場合があります。またカフェインも効果的ということで、コーヒーや緑茶を飲むのも良いといわれています。

片頭痛持ちのかたは多いかと思いますが、特に女性の方はお気をつけ下さい。
片頭痛をお持ちの女性は、禁煙を心がけ、経口避妊薬はそのリスクを考えて使用する、ということが必要となりそうです。

妊娠中の片頭痛が心疾患、脳卒中に関連

妊娠中に片頭痛のある女性は、脳卒中、心臓発作などの血管障害が生じる可能性が有意に高いことを示した研究が、ボストンで開催された米国神経学会(AAN)年次集会で発表された。
 
米デューク大学(ノースカロライナ州)メディカルセンター助教授のCheryl Bushnell博士らは、2000年から2003年にかけて女性約1,700万人の妊娠中のデータを検討した。このうち約3万4,000人が片頭痛の治療を受けており、妊娠中に片頭痛のあった女性は、脳卒中リスクが19倍、心臓発作リスクが5倍、心疾患、血栓などのその他の血管障害リスクが2倍以上であることがわかった。また、分娩時の年齢が35歳以上だった女性は、妊娠中に片頭痛がみられる確率が高かった。

Bushnell博士は、これで因果関係が裏付けられたわけではなく、今後さらに研究を重ねる必要があるが、片頭痛と血管危険因子(リスクファクター)を同時にもつ女性は、妊娠中は危険因子の改善に努める必要があると述べている。

米Montefioreモンテフィオーリ頭痛センター(ニューヨーク市)のRichard Lipton博士は、片頭痛を糖尿病や高コレステロールと同様、管理すべきものとして捉える必要があるとしている。片頭痛のある人は、ただ不安がるのではなく、適切な治療を受け、体重や血圧を適正に保つなどして、心疾患および脳卒中の危険因子を管理することが大切だという。

過去の研究では、妊娠中の片頭痛が脳卒中の危険因子となるほか、心疾患の予測因子にもなることがわかっており、妊娠していない女性でも片頭痛と脳卒中および心疾患との関連が認められている。特に前兆を伴う片頭痛は、心疾患および脳卒中の危険因子であるとの証拠も多数示されているとLipton氏は述べている。

片頭痛は血管性の頭痛であることから、今回の知見は生物学的にも理にかなっているとBushnell氏は述べている。しかし、片頭痛をもつ人が何十万人といる中で、リスクのある人をどのように特定するかが問題だという。差し当たっては、妊娠を先延ばしにしている女性ですでに糖尿病、高血圧、肥満などの危険因子のある人は、よいタイミングでこの情報を得たと考えるべきだと同氏は述べている。
(妊娠中の片頭痛が心疾患、脳卒中に関連)


片頭痛は血管による拍動性の痛みで、若い女性に多く、しばしば家族性です。

片頭痛の前は食欲が旺盛になる、甘いものが食べたくなる、眠気をさすなどと言われていますが、実際に発作を予知することは不可能です。悪心嘔吐・羞明・めまい・圧痛・食欲不振・多幸感などを伴うこともあります。前兆を伴うタイプもあり、視覚暗点・閃輝点(ギラギラ輝く歯車のようなものが見える)・一過性半盲・片麻痺・片側性感覚障害・言語障害などが前兆としてみられることもあります。

片頭痛の原因としては、「三叉神経血管説」が有力視されています。

三叉神経血管説とは、脳から伝えられた何らかの刺激が血管周囲にある三叉神経を刺激し、三叉神経の末端から血管を拡張させる作用をもつサブスタンスPなどのさまざまな神経伝達物質が分泌されます。その結果、血管が広がり、その周囲に炎症が起こって頭痛として自覚されるというものです。

少なくとも、血管による拍動性の痛みで起こると考えられるので、「妊娠中に片頭痛のあった女性は、脳卒中リスクが19倍、心臓発作リスクが5倍、心疾患、血栓などのその他の血管障害リスクが2倍以上である」というのも、うなずけそうです。

片頭痛が、危険なシグナルとなっているかも知れません。
「頭痛がひどくて…」という方は、一度、専門外来などを訪ねられてはいかがでしょうか。

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