人格が変わったり、異常行動をとったりすることが多い認知症の一種、「前頭側頭型認知症」(FTD)の原因とみられる異常たんぱく質の正体を、東京都精神医学総合研究所のグループが突き止めた。30日から東京都内で開かれる日本神経病理学会で発表する。病気のメカニズムの解明や治療法開発につながる可能性がある。

FTDは、65歳以下の認知症としてはアルツハイマー病に次いで多い。FTDは、脳に、タウというたんぱく質がたまるタイプと、タウ以外のたんぱく質がたまるタイプに分けられるが、タウ以外のたんぱく質の正体は分かっていなかった。

長谷川成人チームリーダーと新井哲明主任研究員らは、患者の脳に異常にたまっている物質を詳しく調べ、TDP43とよばれるたんぱく質であることを突き止めた。このたんぱく質は、筋肉が次第に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の脊髄にもたまっていることを見つけた。米国グループも同じ結論を発表している。

アルツハイマー病では、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいる。今回の成果も治療法の開発につながる可能性がある。
(認知症の原因のひとつ? 異常たんぱく質の正体解明)


アルツハイマー病では主に側頭葉内側や頭頂葉の萎縮が目立つのに対し、前頭葉や側頭葉前方の萎縮が目立つものを、前頭側頭型認知症と言います。

前頭側頭型認知症にはピック病と呼ばれるものや筋力低下、筋萎縮、嚥下しにくかったり、呂律が回らないといった筋萎縮性側索硬化症の症状を伴うものも含まれます。前頭側頭型認知症はほとんどが65歳以下で発症し、性格変化と社交性の消失が初期からみられ、アルツハイマー病で初期からみられるような記憶障害は目立ちません。

大きく分けて、1)行動変化が目立つタイプ 2)失語症状が目立つタイプ 3)蓄えられた言葉や物の意味が失われていくタイプ の3つです。

症状は、自己中心的な行動や抑えのきかない行動、繰り返しの行動、決まり切った行動パターンや強いこだわり、周囲への無関心、無頓着、無表情、寡黙、言葉の意味が理解できない、知人に会っても誰かわからないなど。また病気の進行とともに甘い物の大食や偏食など、食嗜好の変化がみられることも多くあります。

根本的な治療が無く、患者さんの周囲が対処に苦慮するといったことになってしまいます。少しでも進行を遅らせることが出来るように、今回の発見で治療薬開発に繋がれば、と思われます。

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