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癌治療

陽子線がん治療患者が大幅増−なかにし礼さんの体験談で

福井市にある福井県立病院陽子線がん治療センターの患者受け入れ数が昨秋以降、大幅に伸びている。県によると、作詞家で直木賞作家のなかにし礼さん(75)が昨秋、陽子線治療で食道がんを克服したことが各メディアに取り上げられ、全国的に同治療に注目が集まったのが要因の一つという。センターには来春、より高精度の照射ができる「積層原体照射システム」が導入される予定で、関係者は「福井で最先端の治療が受けられるということで、さらに関心が高まれば」と期待している。

食道がんを患ったなかにしさんは、心臓の持病のため手術に耐えられないとして、切らずに治す陽子線治療を選択。国立がん研究センター東病院(千葉県)で治療を受け、約半年で復帰した。その様子がテレビや雑誌などで紹介され「なかにしさんの体験談で認知度は一気に高まった」(県地域医療課)。

生きる力 心でがんに克つ(なかにし礼)
生きる力 心でがんに克つ

県立病院陽子線がん治療センターは2010年3月に治療開始。治療患者数は毎月一けたから10人台で推移していたが、“なかにし効果”により昨年10月以降は平均20人以上に急増した。陽子線治療を受けられる施設は全国で数えるほどしかなく、関西圏や中京圏、北陸から治療に訪れるケースが多い。一昨年度は115人、昨年度は152人だったが、本年度は7月末現在で既に101人(県内32人、県外69人)を受け入れた。
(陽子線がん治療患者が大幅増 福井県立病院、著名人の体験談効果)

福井県立病院 陽子線がん治療センター


陽子線治療とは


陽子線治療は、陽子線という種類の放射線を用いた放射線治療です。

がん治療に利用される放射線は、大きく光子線と粒子線の2つに分けられます。光子線とは光の波であり、X線・ガンマ線など従来の放射線治療に広く利用されています。一方、粒子線は、水素や炭素などの原子核といった粒子を加速した放射線です。

陽子線とは、水素の原子核(陽子)を取り出して加速した放射線のことであり、その陽子線を利用した治療法を陽子線治療と呼んでいます。

陽子線治療の特徴


・がん病巣に集中して照射できるため、高い治療効果が実現できるとともに、正常組織への障害を少なくできます。
・身体の機能や形が損なわれることなく治療ができます。
・放射線の影響を受けやすい器官の近くにある病巣に対しても、治療ができる可能性が高くなります。
・手術と比較して身体にかかる負担も少ないため、高齢の方にも優しい治療です。
・身体にかかる負担も少なく通院で出来るため、仕事を続けながら治療することができます。
陽子線治療とは


福井県立病院陽子線がん治療センターの受診方法は、以下のようなものだそうです。続きを読む

癌治療:切らずに治す粒子線治療施設設置へ 名古屋市

名古屋市は、がんを切らずに治す粒子線治療施設を、同市北区で2010年度完成を目指す総合医療エリア「クオリティライフ21城北」の敷地内に建設する。松原武久市長が22日の市議会一般質問で表明した。最新の粒子線治療ができる施設は国内に6カ所しなかく、東海3県では初めてとなる。

粒子線治療は、水素や炭素などの原子核を高速に加速した粒子線を、がん細胞にピンポイントで照射し、破壊する。従来の放射線治療などと比べると臓器への負担や副作用が少なく、手術が困難ながん患者にも治療の道を開くと期待されている。治療法には陽子線と炭素線の2種類があり、市は今回、陽子線を導入する。建設費は85億〜100億円を見込んでいる。

治療費は1回あたり約300万円と高額で保険の適用外だが、専門家らでつくる市の検討委員会が今年2月、「施設導入の社会的意義や必要性は極めて大きい」と提言していた。

クオリティライフ21城北は、北区の志賀公園に隣接する約5万平方メートルに総合病院や障害者支援施設、健康増進支援施設などを整備する。
(がん:切らずに治す粒子線治療施設設置へ 名古屋市)


粒子線は、そのエネルギーによって人体内に入る深さ(飛程と呼びます)が定まり、その飛程の近くでエネルギーを急激に放出して止まります。この現象はブラッグ・ピークと呼ばれています。

加速器を用いて粒子のエネルギーを調節し、腫瘍の部分で粒子が止まるようにすれば、ブラッグ・ピークを利用して体表面から照射の道筋にある正常な細胞にあまり影響を与えず、腫瘍細胞だけをねらい打ちすることができます。また、表層の正常な細胞を傷つける恐れが少ないので、照射する線量を上げることができるわけです。

現在、一般的に放射線治療で用いられているガンマ線などは、ダラダラとエネルギーを放出していくので、正常細胞を傷つけてしまう恐れがあり、副作用や十分に照射できないこともあるわけです。

「建設費は85億〜100億円」とのことなので、おいそれと建設することはできないでしょうが、治療効果が高いため、今後広まっていくだろうと考えられています。

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