東京都生活安全課が昨年10月、12歳以下の子供を持つ親を対象に実施したアンケート調査(有効回答数1146)によると、子供の髪の毛を染めた経験がある親は4・1%で、初めて染めた年齢は4、5歳をピークに未就学児が63%を占める。

髪の毛を染めるには、ヘアスプレーなど「染毛料(化粧品)」で一時的に色を変えるか、色持ちが長期間続く「染毛剤(医薬部外品)」を使うかの、2種類の方法がある。頭皮のトラブルは主に後者の染毛剤が引き起こすが、都の調査では染めた経験のある子供の8割以上が染毛剤を使用していた。
 
染毛剤は、主にメラニン色素を壊す脱色剤と、脱色と化学染料の浸透を同時に行う酸化染毛剤に分けられる。生活安全課によると、脱色剤に含まれる過酸化水素は皮膚や目に刺激が強く、酸化染毛剤に入っているパラフェニレンジアミンはぜんそくや腎臓障害、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)を発生させる可能性もあるという。
 
いずれも初回は問題なくても、繰り返し使うことでかぶれなどのアレルギー症状が出ることがあり、症状が出れば以降はずっとアレルギー体質が続く恐れがある。子供は皮膚が弱く、免疫機能が完成されていないため、大人よりも肌のトラブルが起きる危険性が高いという。

問題の多い子供の染毛だが、即効性のある対策は難しいのが現状だ。
都がアンケートと同時期に市販の染毛剤・脱色剤35商品を購入して表示を調べたところ、「幼少児への使用禁止」を記載していたのは15商品だけだった。都では今年3月、「日本ヘアカラー工業会」に対し、全商品に幼少児使用禁止の注意書きをつけるように要望した。
(子供の毛染め、ご用心! 炎症・ショック症状の恐れ)


染毛剤(カラーリング剤)の主成分は、パラフェニレンジアミンなどの酸化染料で、使用時に過酸化水素水と混合することにより酸化発色し、髪を染めます。同時に、過酸化水素による脱色(毛髪中のメラニン色素を破壊)が起こるため、染料の配合濃度に応じて「白髪染め」から「おしゃれ染め」まで、色調の異なる染毛が可能となっています。

第1液といわれているのは、パラフェニレンジアミンなどの芳香族アミン、修正剤、アンモニア水、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤などを含んだ液体です。第2剤は過酸化水素とトリートメント剤が入っていることが多いようです。

こうした液体において、酸化染毛料(ジアミン系染料)には、パラフェニレンジアミン・フェニレンジアミン・アミノフェノールなどの発色剤と、染めあがりの色合いに変化をつけるための修正剤としてメタアミノフェノール・メタフェニレンジアミンなどが含まれ、さらに、着色成分としてのニトロ化合物も含まれています。これらの化学物質は、発がん性が指摘されているものです。

さらに、ジアミン系の酸化染料は、体質により皮膚アレルギー反応(接触性皮膚炎)を起こすことがあります。重篤な場合では、喘息や腎臓障害、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)を起こしてしまうこともあるそうです。さらに、汗とともに染料が流れ、目に入ってしまい角膜剥離が起こった、などの障害も起こりうるようです。

ある程度の年齢になり、自己判断でする分には良いかもしれませんが、子供の内は避けた方がよさそうです。親御さんは、是非とも安全性の面を考慮して、お子さんに染毛なさるのは控えていただいた方が良さそうです。

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