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相貌失認

ブラット・ピットさんが告白した、失顔症(相貌失認)って何?

両乳房切除という大手術を行った婚約者のアンジェリーナ・ジョリーを献身的にサポートしているブラッド・ピットが、自らが失顔症(相貌失認)に悩まされていることを激白している。映画パンフレット 「Mr.&Mrs.スミス」出演ブラット・ピット/アンジェリーナ・ジョリー

アンジェリーナの勇断の後、ブラッドはメディアのインタビューでその心境を赤裸々に語っているが、エスクワイア誌のインタビューで、「僕は、相当多くの人たちから嫌われていると思っている。なぜなら、僕は彼らからとても失礼な人間だと思われているからなんだ。挨拶程度ではなくて、面と向かって話をした人でさえも、なかなかその人の顔を覚えられないんだ。今まではどうにかうまく切り抜けてきたつもりだけど、この一年、どのタイミングでこの話をしようかと悩んで、正直に言おうと決心したんだ。それで、『どこでお会いしましたっけ?』って正直に聞くようにしたんだけど、ごまかすより事態は悪くなってしまって、相手をもっと怒らせることになってしまったんだ」。

「時々、『その節はお世話になりました』なんて言うと、もっと厄介だね。独りよがりでうぬぼれ屋だと思われてしまうんだ。どうしてそうなってしまうのかわからないんだけど、恐らく失顔症っていう症状だと思う。この世界では、何度も同じ人に会う必要があるんだ。それなのに顔を忘れてしまうから、人に会う度に不快な思いをさせるのではないかって、いつも心配しなくちゃいけない。だから、家にいる方が気が楽なんだ。子供の世話で家から出られないって思われているみたいだけど、実際には全くその逆だよ。そろそろ検査をする必要があると思っている」と、辛い心中を語っている。

他のインタビューで、ブラッドは「ほとんど友達はいない」と語っていたが、このような理由であれば、同じく「あまり友人がおらず家族が全て」と語っていたアンジェリーナとは、実にお似合いのカップルだと言えそうだ。
(「顔を覚えられない」ブラッド・ピットが失顔症を激白)

失顔症(相貌失認)とは


相貌失認は、「正常の記憶能力や視力を有しているにもかかわらず、ヒトの顔に対する認知が障害された状態」を指します。

分類としては、
・それまで知っていた人の顔をみても誰だかわからない(既知相貌失認)
・人の顔が覚えられない(未知相貌失認)

といった症状を呈するまれな失認の一つです.

後天性の相貌失認は、たとえば、脳梗塞などにより後頭葉−側頭葉の脳損傷によって生じることが報告されており、とくにこの領域にふくまれる右紡錘状回は、顔認識の重要な機能を有していると推定されています.

顔認識には、2 つの視覚系、すなわち後頭葉一次視覚野を経由した背側系と、後頭葉一次視覚野を経て側頭葉に向かう腹側系経路が関与すると言われています。背側系路にふくまれる上側頭溝では、人間の表情や視線の区別・解釈がおこなわれます。

症状としては、「顔であることは分かる。目や鼻があることは分かる…だけど、誰だか分からない」といったものです。馴染みのある家族の顔であっても、判別することができなくなり、本人にとっても周囲の方々にとっても大変な思いをされることがあります。続きを読む

稀少疾患などの症例集−ザ!世界仰天ニュース

以下は、仰天ニュース系の症例を扱ったものを記しています。
ザ!世界仰天ニュース」からの内容を、医学的な解説を交えて紹介しています。

稀少な遺伝性疾患や、代謝・内分泌疾患など、実際にあった症例を再構成し、分かりやすく説明されております。医学書の平板な説明よりも、こうした番組の再現VTRなどで、驚きをもって勉強したことの方が、記憶に残りやすいという利点もあると思われます(たしかに、大袈裟にしている面も否めませんが)。

2009.05.06付記
以下のように、それぞれの掲載月ごとに分類して並べました。下にいくほど、掲載年月が新しくなっています。

2009.09.09付記
「ザ!世界仰天ニュース」の掲載内容は、以下のページに分けました

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「人の顔を覚えられない」…相貌失認とは

2007年02月28日放送の「ザ!世界仰天ニュース」で、先天性相貌失認の女性が取り上げられていた。

小さなころから、リンダ・ヒューマンさんを悩ませてきたことがあった。

それは、人の顔を覚えられないことだった。
クラスメイトの同じ友人にに、何度も自己紹介をしてまわったりしていた。
「クラスメイトは、毎日同じ人なの?先生も?」と母親に訊いたこともあった。毎日会っているにもかかわらず、同じ人物であると認識できなかった。

そこで、初めて自分の顔を覚える能力に問題があることを知る。そうやって恥ずかしい思いをするぐらいなら、と人に話しかけることをやめたリンダ。大きくなっても友達も出来ず、誕生日パーティーを開いてもらっても、来てくれる人たちは、知っている人たちのはずなのに、誰が誰か全くわからない。そして、彼女は、そのパーティーの写真を見ても誰が誰だか、わからないのだ。写真を必死に思い出そうとするが、顔にモザイクがかかったようで、はっきり見えない。自分はこの障害を持って生きていかなければならないと、確信したという。

それからは、壮絶とも言えるような"工夫"をして暮らしていったという。
待ち合わせのときは、時間よりもずっと前に場所に行き、探すのではなく、探されるのを待つ。さらに働くようになって、オフィスで人を探すときは、あせらず、自然に、人に尋ねながら、少しずつ探し求める人物に近づいていく。パーティーなどにはなるべく出席せず、遠くのスーパーまで買い物に行く。ばったり、知り合いにあってしまわないようにコソコソと生活する日々。

そんな生活に疲れた彼女は旅行に出た。旅先では、知り合いに会って、人違いをしてしまう心配はない。出会う人、全てに「はじめまして」とあいさつし、「さようなら」と言って別れればいいのだ。しかし、その大好きな旅で友人に秘密を知られてしまうことになってしまったのだ。



先天性相貌失認の患者さんの話は、他にも「人の顔がなかなか覚えられない」などで読むことが出来ます。

「SMAPがカツラを着けただけで認識できない」…という症状からも分かるとおり、日常生活を送るのが非常に難しそうだと思われます。

相貌失認とは、目は見えているものの、顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔が解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状のこと。

顔を見分けることは脳の最も高度な機能の一つであり、これは後頭葉(fusiform face area (FFA) : 紡錘状回顔領域)で行なわれている。しかし後頭葉の損傷などによりこの機能が失われる事を相貌失認という。

損傷の箇所や規模によって実際の症状は変わり、表情を見分けられない、男女の区別ができない、自分や知人の顔が分からない、など様々があります。

もしかしたら、明らかになっていないだけで、結構な数の方がこうした症状で苦しんでいらっしゃるのかもしれませんね。高次脳機能障害に対して、周囲の方の理解が、広まることを願います。
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