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肥満

アメリカ臨床腫瘍学会「肥満が癌のリスクになる」

アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)は9月12日、広く認識されていないものの、「肥満が、米国における癌死に対する重要な寄与因子の1つになっている」という研究所見を紹介しています(ASCO Statement on National Childhood Obesity Awareness Month)。

「現在は、喫煙が主要かつ予防可能な癌の原因となっているが、これが今後10年のうちに肥満に取って代わられる」と、ASCOは予想しています。

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過度の肥満は、亡くなってからも迷惑?

オーストラリアで5日に発表された2件の調査では、同国の主要都市以外の人口の3分の2以上が太り過ぎもしくは肥満であり、検視の現場において極度に肥満体型の死体が安全上の問題を引き起こしていることが分かった。

学術誌「メディカル・ジャーナル・オブ・オーストラリア」に掲載された調査によると、同国の地方部では、男性の約75%、女性の64%が太り過ぎだった。オーストラリア全体では人口約2100万人のうちの320万人前後が肥満とされており、これと比較すると極めて高い比率。

同調査を率いたエドワード・ヤヌス教授はこの問題について、食事の改善や運動量の増加など、緊急な対応が必要だと警鐘を鳴らしている。

一方、別の調査で病理学者らは、肥満体型の死体は動かすのが大変で、標準サイズの台車などには危険なほど重いとし、検視の現場には新たに「頑丈な」施設が必要だと述べた。

同調査では、これら肥満体型の死体が過去20年で2倍に増えたとし、現在では「運搬上の大きな問題」かつ「職業安全衛生面での深刻な課題」になっていると指摘している。
(オーストラリアの検視施設、肥満死体の取り扱いに苦慮)


現在、成人においては(乳幼児ではBMIはKaup指数と呼ばれ、18.0以上が肥満傾向とされる)体重による肥満診断として、BMIが頻繁に用いられています。日本肥満学会基準によると、BMIが、25.0以上29.9以下なら肥満度I、30.0以上34.9以下なら肥満度II、35.0以上39.9以下なら肥満度III、40.0以上なら肥満度IVと分類されています。

肥満は数多くの疾患のリスクファクターとなります。特に、皮下脂肪型よりも内臓脂肪型(腹部CT上、内臓脂肪と皮下脂肪の比が0.276以上で診断)のほうが、合併症の頻度は大きくなるといわれています。

高脂血症や高血圧、動脈硬化を引き起こし、動脈硬化は虚血性心疾患、脳卒中などの原因にもなります。また糖尿病によって、糖尿病性腎症、網膜症、末梢神経障害などを起こすリスクも上がります。現在、国内では透析導入の最多である原因は、糖尿病性腎症となっています。

多くのリスクをもち、さらには遺体の重さで迷惑をかけてしまうとは…ダイエットは自分のためにも、他人のためにもなるようです。

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肥満になるのを決めるのは遺伝子より友人関係−。友人が肥満になると、自分も肥満になる可能性が高くなり、肥満は友人から友人に感染する、との興味深い調査結果を米ハーバード大医学部などの研究チームがまとめ、米医学誌に発表した。

調査結果によると、配偶者が肥満である場合、自分も2〜4年以内に肥満になる可能性は、そうでない場合に比べ37%高く、兄弟が肥満の場合は40%、友人が肥満の場合は57%それぞれ高かった。お互いを親友と考えている場合、肥満となる可能性はさらに高まった。この傾向は肥満の親友が遠隔地に住んでいて滅多に会えない状況でも変わらず、親しさを感じる度合いが低いと、あまり影響を受けないことも分かった。

同じ食生活を送っているはずの夫婦間より、友人間の“肥満感染度”が高い理由について、研究者の1人は、人は友人の考え方や行動に、より強い影響を受ける傾向があり、「友人が太っていると肥満への許容度が増すからではないか」と解説している。

さらに、逆もまた真なりで、友人や家族がやせるとその本人もやせる傾向が高くなり、ダイエットも単独で行うより、友人同士で取り組むほうが効果があるという。

この研究は1971年から2003年までの32年間にわたり、米東部の約1万2000人の住民を対象に行われた心臓病に関する調査データを基に行われた。住民の家族や友人も調査対象に含まれていたことから、今回の結果を導き出せたという。
(太ったのは遺伝子でなく友人のせい!? )


肥満の生じやすい家系や、いくら食べても太りにくい人というのは、確かに存在します。これは、遺伝的要因の存在があると考えられています。

20世紀終わりに、レプチンというホルモンがエネルギーの消費増加と食物摂取量低下をもたらすという発見がなされ、肥満遺伝子の発見例として話題になりました。レプチンとは、脂肪組織によって作り出され、エネルギーの取り込みと消費の制御に重要な役割を果たす16kDaのペプチドホルモンで、食欲と代謝の調節を行っています。

また、体内に痩せる傾向に働く遺伝子があることがわかっており、β3アドレナリン受容体が関係あると考えられています。β3アドレナリン受容体は、おもに白色脂肪組織と褐色脂肪組織の細胞表面に存在しています。働きとしては、アドレナリン(エピネフィリン)の刺激を受ける役割をしています。

このβ3アドレナリン受容体に変異があるとアドレナリンの刺激を受けることができなくなってしまいます。また、脳の満腹中枢から出る刺激も受け取れなくなり、褐色脂肪組織にも、満腹中枢からの刺激が伝わらないために、エネルギーがうまく消費されず肥満につながります。つまり、β3アドレナリン受容体の遺伝子に変異があると、「基礎代謝量が低い」体になってしまうというわけです。

こうした遺伝的な要因もあるかと思いますが、友人が肥満の場合、太りやすくなると言う結果が出たようです。食生活がより影響されやすい、夫婦よりも太りやすいというのは興味深いです。

また逆に、ダイエットも単独で行うより、友人同士で取り組むほうが効果があるとのことです。「朱に交われば赤くなる」といった諺は、体型にもあてはまるようです。

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肥満と糖尿病発症のDNA差異発見

肥満と糖尿病のなりやすさに関係するDNAの微妙な違い(SNP=スニップ)を英オックスフォード大などのグループが見つけ、13日付の米科学誌サイエンス(電子版)で発表した。新たな治療法につながる可能性がある。

SNPは、DNAを構成する塩基の配列が1カ所だけ異なっていること。グループは国際協力で見つかってきた49万カ所のSNPについて、糖尿病患者2000人と患者でない3000人とで頻度に差があるものを探した。

その結果、患者では非患者に比べて、16番染色体にあるFTOと呼ばれる遺伝子で、塩基配列の1カ所がT(チミン)ではなくA(アデニン)の人の割合が高くなっていることがわかった。

父母からいずれもAを受け継いだ人(研究対象の欧州白人では約16%)は、いずれもTの人に比べ、糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病になるリスクが約5割高くなっていた。

欧州の白人約3万8000人を対象に、体重(キロ)を身長(メートル)で2回割る「BMI」という指標を使って、2型糖尿病になりやすい肥満との関係も調べた。ともにAの人はともにTの人に比べ、平均体重が3キロ重く、BMIが30以上の肥満になるリスクが約7割高いことがわかった。

欧州では父母のどちらか、あるいは双方からAを受け継いだ人は4〜5割程度だが、日本人では1割程度とみられる。FTO遺伝子の働きはまだわかっていない。

板倉光夫・徳島大ゲノム機能研究センター長は「極めて大規模な解析で注目される。肥満や糖尿病の仕組み解明や治療法の開発につながる可能性がある」といっている。
(肥満と糖尿病発症のDNA差異発見 英グループ)


SNPs(Single Nucleotide Polymorphism:スニップ)とは、1塩基多型を略した語。
DNAの塩基配列は、同じヒトであっても個人によって僅かずつ異なっていることがわかっています。

この違いは、全ゲノム中の約1%、数にすれば、数百万箇所あるとされています。
こういった遺伝子の相違の中で最も頻繁に見られるのが、塩基配列のある箇所でA-TとG-Cの塩基ペアが1箇所だけ置き換わっている場合であり、これを、SNP(1塩基多型)といい、それがたくさんあるので、その複数形として、SNPs(1塩基多型)となります。

病気の罹りやすさ、薬の効きやすさ、副作用の出やすさなどが個人で異なることもSNPに関連すると考えられています。この遺伝子解析により、肥満や糖尿病の仕組み解明や治療法の開発につながる可能性があるとのことで、結果が待たれます。
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