IBMのスーパーコンピューター「ブルー・ジーン/L」は米ロスアラモス研究所などで核物理学の研究用に持ちいれられていることで知られている世界最高速級のスーパーコンピューター。
IBMアルマデン研究所のラジャゴパル・アナンサナラヤナン博士と米アリゾナ大学の
ジェームズ・フライ博士などを中心とする研究グループは、ネズミの思考を司る大脳皮質の構造を詳しく研究。その上で、独自のリアルタイム・ネズミ大脳皮質シミュレーション(Real-Time Mouse-Scale Cortical Simulations)というシミュレーション・モデルを用いることで、スーパーコンピューター内の1TBのメモリー空間に800万ニューロン、1ニューロンあたり6300シナプスで構成されたネズミの大脳皮質を再現し、ニューロンによるスパークスをシミュレートすることに成功した。
研究に用いられたブルー・ジーン/Lはネバダ大学で運用されているもので、合計4096個プロセッサ(1プロセッサーあたり256MBメモリ)が用いられたモデルとなる。
研究グループはこのプログラムを使って、実際の動物の脳で見られる大脳皮質内での神経インパルスの流れをシミュレートし、その過程でコンピューター内に再現されたニューロンが自発的にグループ化することなどを再現することに成功したと述べている。
ただし、このシミュレーターで再現できたニューロンの数は実際のネズミのものよりも少なく、また、プログラムの実行速度も実際のネズミの脳の約10分の1にしか過ぎないなど、多くの制約も持っているという。
研究グループでは今後、動作速度の向上を図るなどの改良を加えた上で、大脳皮質内でニューロンやシナプスがどのように思考を形成していっているのか、シミュレーターを通じて解明していきたいと述べている。
(IBM研究所、スーパーコンピューターでネズミの脳活動の再現に成功)
神経細胞 (neuron)とは、神経系を構成する細胞で、その機能は情報処理に特化しています。神経細胞の基本的な機能は、神経細胞へ入力刺激が入ってきた場合に、活動電位を発生させ、他の細胞に情報を伝達することです。ひとつの神経細胞に複数の細胞から入力したり、活動電位がおきる閾値を変化させることにより、情報の修飾が行われています。
神経細胞は主に3つの部分に区分けされ、細胞核のある細胞体、他の細胞からの入力を受ける樹状突起、他の細胞に出力する軸索に分けられます。前の細胞の軸索終末と後ろの細胞の樹状突起の間の情報を伝達する部分にはシナプスと呼ばれる構造が形成されています。
神経細胞の中には、光や機械的刺激などに反応する感覚細胞や、筋繊維に出力する運動神経の細胞などもあります。
ヒトの脳の大脳皮質の神経細胞の数の計測値は、およそ100億から180億くらいのばらつきがあります。そこで、一般には平均値をとってヒトの大脳皮質の神経細胞の数は140億個であるとされています。小脳や脊髄にも沢山の神経細胞があります。小脳だけでも1000億以上の神経細胞があるという概算もあります。従って、中枢神経全体の神経細胞の数は1000億と2000億の間と推定されます。
…ここまでくると、ヒトの脳全体を再現するのは遠い未来だとすぐに分かります。
ですが、子供の頃に抱いていた"スゴイ未来"が着実に近づきつつあるという頼もしいニュースではないでしょうか。
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