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花粉症

花粉症などアレルギーの症状が夜に悪化するワケ

花粉症などのアレルギー疾患について、症状の出方が時間帯によって異なるメカニズムを、山梨大医学部の中尾篤人教授(免疫学)の研究チームが解明したそうです(Biological clock dysfunction exacerbates contact hypersensitivity in mice)。



目や鼻、皮膚などの免疫細胞が、アレルギー反応を引き起こす物質の分泌量を、時間帯によって調整しているという内容で、マウスを使った実験で分かった、という研究です。

鼻炎、喘息、蕁麻疹などの症状が夜間から朝方に悪化することが多いのは、体内時計が関係している、との説が以前にも発表されていましたが、今回はそのメカニズムの一端が解明されたようです。続きを読む

鼻炎治療薬が2割増で売れているワケ

民間調査会社の富士経済(東京・中央)は、2007年の大衆薬の市場動向を予測した調査結果を発表した。鼻炎治療薬の市場規模は前年比2割増の165億円を見込む。各社の新製品投入効果や花粉の飛散が例年より早かったことが規模拡大につながると見ている。催眠鎮静剤市場は57億円で、同16%増加を見込んでいる。
 
鼻炎治療薬市場は07年は花粉量が飛び始めた時期が早く、店頭でも早く陳列されたことが拡大につながるとした。医療用医薬品の成分を転用した大衆薬の発売も規模拡大に貢献する見通し。
(2007年の大衆薬市場、鼻炎治療薬は2割増へ)


以前にも書きましたが、鼻炎薬の代表としてが「抗ヒスタミン薬」が挙げられます。肥満細胞から遊離したヒスタミンが、神経や組織にある受容体に結合するよりも前に、その受容体に結合してしまう作用があります。すなわち、鍵穴に鍵が差し込まれる前に、鍵穴をふさいでしまう作用といえます。

薬の開発時期によって第一世代、第二世代という2つに大まかに分類できます。その大きな特徴としては、以下のように分けられます。
・第一世代
第一世代の抗ヒスタミン薬は即効性があるものの、眠気やノドの渇きなど副作用が強い。このため、車を運転する時や工事現場など危険が伴う場所で働く人は十分注意が必要。

・第二世代
第二世代の抗ヒスタミン薬は即効性こそ低いが、眠気などの副作用が大幅に軽減されています。

私を含めて、花粉症をもっていられる方にはツライ時期かもしれませんが、製薬会社にとっては稼ぎ時、ともいえる春先なのでしょうね。その代わり、その売り上げを元に、より効く治療薬の開発をお願いしたいところです。

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本当は怖い花粉症−口腔アレルギー症候群

本当は怖い家庭の医学で、以下のような症例が取り上げられていました。

小学校5年生を担任するK・Fさんは、20年来の花粉症。それも周りの人より長引き、夏前まで続くため、毎年この時期は憂鬱でしたが、特に対策はしていませんでした。クラス担任にとって新学期まもないこの時期は特に忙しく、自分の花粉症のことなど後回しにせざるを得なかったのです。そんな中、食事のとき、急に口の中にムズムズとしたかゆみを感じたK・Fさん。かゆみは数十分で治まったため、特に気に留めることもありませんでしたが、その後も更なる異変が彼女に襲いかかりました。

症状としては、
1)口の中のかゆみ
2)口の中がイガイガする
3)じんましん
というものが出ていました。


口腔アレルギー症候群は、花粉症の患者さんなどで、リンゴなどの果実によって口腔内のアレルギー症状が起こる病気です。

原因となる食べ物が口腔粘膜に直接接触することで生じるアレルギー反応と考えられています。原因としては、
・バラ科の果物(リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、サクランボ)
・ウリ科の植物(メロン、スイカ)
・バナナ
・ジャガイモ
などがあります。
これらの原因食品は花粉症の原因花粉類と交差抗原性(アレルギーの原因となる物質が共通して含まれていること)があることが知られており、そのために花粉症の患者さんで症状がみられることが多いと考えられています。含まれる抗原の特徴がきわめて似ているため、こうした交差反応が起こってしまうわけです。

なお、果物のアレルギーがある人の場合、ゴム(ラテックス)にもアレルギーを起こす場合があり、職業上ゴム手袋を用いる場合などでは注意が必要と考えられます。

症状としては、花粉症のある人が、とくに果物・野菜などを食べたあと、多くの場合は15分以内に、食べ物に直接接触した口唇や舌、咽頭がかゆくなったりはれたりします。じんま疹が出たり、目や鼻の花粉症のような症状や、吐き気、腹痛や下痢などの消化器症状が出ることもあります。また、いわゆるアナフィラキシーの症状になり、喘息発作を起こして呼吸困難が生じたり、重い場合はショックに至ることがあります。

番組によると、口腔アレルギー症候群発症のきっかけは、長期に渡って花粉症を放置していること。さらに過労や風邪などによる、抵抗力の低下が引き金となると考えられています。K・Fさんはこの2つの条件にあてはまっていたため、口腔アレルギー症候群を発症してしまったと考えられるのです。

また、口腔アレルギー症候群を起こしやすいのは、4月から6月に症状が出るシラカバ・ブナ花粉症だそうです。この時期に花粉症の症状が強い人は、注意した方が良さそうです。

治療としては、まず原因と考えられる食べ物の摂取を避けることが最も重要です。症状が重い場合は救急的に医療機関で受診し、喘息発作やショックに対する対策が必要になることがあります。薬物治療としては、抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬や、ステロイド薬の内服を一定期間行う場合があります。

口腔アレルギー症候群から身を守るためには、病院で検査を受け、自分がどの花粉症にかかっているかを知ることだそうです。たかが花粉症と放置せず、きちんと治療を受けることが大切、とのこと。

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スギ花粉入り食品にご注意 厚労省が注意喚起

花粉症の人は、スギ花粉入りの食品に気をつけて――。厚生労働省は、スギ花粉症の人が口にすると、重いアレルギー症状を起こす心配がある健康食品が出回っているとして、注意喚起に乗り出すことになった。

きっかけは、今年2月、和歌山県内の40代女性がスギ花粉のカプセルを飲み、意識不明になる事故が起きたことから。

花粉症の治療に、スギ花粉エキスを少量ずつ注射し体を慣らす「減感作療法」という方法がある。業者は、この治療になぞらえてカプセルを販売したとみられるが、医師の指導のもとで行わなければショック状態に陥る可能性がある。カプセルは、医薬品でないのに、効能や効果をうたっていたため薬事法違反に問われ、現在は売られていない。

女性は、その後、回復したが、厚労省が調べたところ、このほかにもスギ花粉入りの清涼飲料水やあめ、タブレットなど少なくとも10種類の商品がネット上で販売されていることが分かった。

アレルギー患者が多い卵や小麦などを含む加工食品には、表示が義務づけられている。しかし、花粉入りの食品の販売は、厚労省にとっても予想外で、表示を義務化する根拠になる科学的データもない。また、いずれの食品も効果を明確にうたっておらず、規制できないのが実情だ。

このため、厚労省は「健康被害と食品の摂取の因果関係ははっきりしないが、安全のためには注意喚起が必要だ」と判断。医師や薬剤師らが出席する調査会を16日開き、スギ花粉の表示や注意書きを販売業者に指導するかどうかなどについて話し合う。
(スギ花粉入り食品にご注意 厚労省が注意喚起)


花粉入りのカプセルを飲まれて、意識障害を引き起こしたそうですが、これはアナフィラキシーショックを引き起こしたものと考えられます。

アナフィラキシーとは、ハチ毒や食物、薬物等が原因で起こる、急性アレルギー反応のひとつです。アナフィラキシーは、じんましんや紅潮(皮膚が赤くなること)等の皮膚症状や、ときに呼吸困難、めまい、意識障害等の症状を伴うことがあり、血圧低下等の血液循環の異常が急激にあらわれるとショック症状を引き起こします。生命をおびやかすような危険な状態に陥ってしまうことがあります。

ですので、安易にこうした花粉入り食品などに手を出すのは非常に危険です。
減感作療法を行う際には、是非、病院でということですね。

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